東急2000系電車
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2000系電車(2000けいでんしゃ)は、1992年(平成4年)3月29日に営業運転を開始した東京急行電鉄の通勤形電車。
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[編集] 概要
田園都市線の輸送力増強に伴い、1992年から1993年(平成5年)にかけて、10両編成3本(30両)を東急車輛製造で製造した。2003編成は当初8両編成で登場し、東横線に投入した後10両編成化した上で田園都市線に転属した。
この2003編成10両化用の中間車2両を製造した後、1999年(平成11年)に目黒線用の新3000系が登場するまで、東急では旅客営業用電車の新規製造は途絶えることになる。
帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)半蔵門線に乗り入れるため、乗り入れ協定に準拠する仕様となっている。8500系よりも新しい車両だが、東武鉄道の乗り入れ対応の機器類は搭載せず、東武線への乗り入れはしない。そのため8500系の東武線乗り入れ非対応編成と同様、前面には東武線乗り入れ非対応を示す「K」のマークを貼付している。平日は最低1編成が中央林間-押上で折り返す30K運用で終日運用につくが、土曜・休日は精算運転などの例外を除いて運用にはつかない。
[編集] 外観
- 9000系とほぼ同様の軽量ステンレス鋼製20m級車体の4扉車である。
- 冷房装置は1000系と同一の能力10,000kcal/hのものを4台搭載しており、室外機カバーは2個ずつ一体とした。
- 行先表示器は第1・2編成は幕式、第3編成はLED式である。第3編成は2005年(平成17年)3月24日より東横線の5050系と同様のフルカラーLED式に交換した。
- LED式2段案内表示器とドアが開くのを知らせる予告ランプをそれぞれ千鳥配置で、さらにはドアチャイムを、改造によって扉上部に設置している。
- 2005年頃に3編成すべてに補助排障器(スカート)を装着した。
[編集] 内装
2000系は「人にやさしい電車」をめざして、在来各系列では見られなかったアイデアを各所に施している。
- 1992年製の1次車では、車椅子スペースを設置すると共に3・9号車において次のような試行を行った。なおこれらの試みは2次車以降で一部改良の上全面的に採用した。
[編集] 諸元
- GTO素子を用いた日立製作所製VVVFインバータ制御で、京王電鉄8000系・西武鉄道6000系と類似の仕様であり、1台の制御器で2両分8個のモーターを制御(1C8M)する。
- 主電動機は定格出力170kWのかご形三相誘導電動機で定格回転数を高くしている。9000系での反省を生かしてか、粘着性能が高く空転はほとんど見られない。
- 起動加速度3.3km/h/s
- 最大減速度(常用)3.5km/h/s
- 駆動装置 CFRP製TDカルダン継手平行カルダン方式
- 歯車比 99:14=7.07
- 制動装置 回生ブレーキ併用全電気指令式空気ブレーキ(HRD-R)
- 補助電源装置 東芝製静止形インバータ(SIV)
[編集] 運用
- 全車を長津田検車区に配置し、田園都市線から東京地下鉄半蔵門線への直通運用に使用する。前述のとおり東武線には直通できず、2006年3月18日ダイヤ改正以後は例外を除き平日のみの運用となっている。
- 第3編成はサハ(付随車・T)2両を抜いた8両編成で落成し、8000系更新に伴う車両不足に伴い一時東横線で使用していたが、1993年11月に中間車であるサハを2両新製し、田園都市線に移籍した。この際に東急形ATSを撤去した。
[編集] 編成
- 電動車(M)6両、付随車4両で6M4T構成の10両編成。
←渋谷・押上 | 1 (Tc2) | 2 (M2) | 3 (M1) | 4 (T2) | 5 (M1) | 6 (M2) | 7 (T1) | 8 (M2) | 9 (M1) | 10 (Tc1) | 製造年 |
形式 | クハ2000 | デハ2250 | デハ2200 | サハ2700 | デハ2350 | デハ2300 | サハ2800 | デハ2450 | デハ2400 | クハ2100 | |
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機器類 | SIV,CP | CONT | SIV,CP | CONT | CP | SIV,CP | CONT | ||||
車号 | 2001 2002 |
2251 2252 |
2201 2202 |
2701 2702 |
2351 2352 |
2301 2302 |
2801 2802 |
2451 2452 |
2401 2402 |
2101 2102 |
1992年 |
2003 | 2253 | 2203 | 2703 | 2353 | 2303 | 2803 | 2453 | 2403 | 2103 | 1993年 |
- 凡例 CONT:主制御器(1C8M)、SIV:補助電源装置(静止形インバータ)、CP:空気圧縮機