紫外線
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紫外線(しがいせん)は波長が10-400nm、すなわち可視光線より短く軟X線より長い不可視光線の電磁波である。光のスペクトルで紫よりも外側になるのでこの名がある。英語のUltravioletも「紫を超えた」という語(ラテン語のUltraは、英語のbeyondに相当)から来ている。日本語では、紫外線と呼ぶのが一般的であるが、violetを菫色とも訳すことから、文学作品などでは、菫外線(きんがいせん)と呼ばれることもある。また、英語のUltravioletからUVと略される。
赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対し、紫外線は化学的な作用が著しい。このことから化学線とも呼ばれる。紫外線の有用な作用として殺菌消毒、ビタミンDの合成、生体に対しての血行や新陳代謝の促進、あるいは皮膚抵抗力の昂進などがある。
波長による分類法として、波長380-200nmの近紫外線(near UV)、波長200-10nmの遠紫外線もしくは真空紫外線(far UV (FUV)もしくはvacuum UV (VUV))、波長1-10nmの極外紫外線(extrene UV,EUV or XUV)に分けられる。また、人間の健康や環境への影響の観点から、UVA(400~315nm)、UVB(315~280nm)、UVC(280nm未満)に分けられることもある。フォトリソグラフィやレーザー技術において、遠紫外線(deep UV(DUV))は前期のFUVと異なり波長300nm以下の紫外線を示す。
太陽の光の中には、UVA、UVB、UVCの波長の紫外線が含まれているが、そのうちUVA、UVBはオゾン層を通過、地表に到達する。UVCは、物質による吸収が著しく、通常は大気を通過することができない。地表に到達する紫外線の99%がUVAである。(UVCは、オゾン層の反応で生成されるものもある)
物質の屈折率は入射した光の波長に依存する。光学部品(光学窓やレンズなど)の素材としてよく用いられる石英ガラスは、紫外線の波長域では屈折率が著しく減少し、光の透過率が急激に減少する。このため、石英ガラスを使った光学部品で紫外線光を取り扱う事は困難である。そのため特殊な材料(例えば、溶融石英(波長200nm以上で使用可)やフッ化カルシウム、フッ化マグネシウム(150nm以上で使用可))を使用した専用の光学部品が使用される。
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[編集] 紫外線の波長ごとの特徴
- 近紫外線 (波長 380-200nm)
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- UV-A (波長315nm~400nm)
- 太陽光線の内5.6%通過。皮膚の真皮層に作用し蛋白質を変性させる。細胞の物質交代の進行に関係しており、細胞の機能を活性化させる。また、UV-Bによって生成されたメラニン色素を酸化させて褐色に変化させる。サンタン(suntan)。
- UV-B (波長280nm~315nm)
- 太陽光線の内0.5%通過。表皮層に作用するが、色素細胞がメラニンを生成し防御反応を取る。これがいわゆる日焼けである。また UV-B には発癌性が指摘されるが発癌するのは高齢者、しかも肌の露出した部分のみというケースが多い。サンバーン(sunburn)。
- UV-C (波長200nm~280nm)
- オゾン層で守られている地表には今のところ到達しない。強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強い。
- 遠紫外線、真空紫外線(VUV) (波長 200nm-10nm)
- 極端紫外線 (波長10nm以下)
- 極端紫外線は、物質の電子状態の遷移により放出される。30nm近辺の波長は、価電子帯の電子が伝導帯に遷移する際に放出されるのに対し、それより短い波長のものは、内側の核電子のエネルギー状態の変化により放出される。この長波長側の端は、He+によるEUV/XUV放射が30.4nmである。波長の短いものはサイクロトロン放射によっても放出される。この領域の紫外線は、X線と分類されることもある。
[編集] 発見
赤外線が発見されてすぐ、ドイツの物理学者ヨハン・ウィルヘルム・リッターが、スペクトルの反対側である、紫より短いスペクトルを探し始めた。1801年に、光に反応する銀の塩化物を使用して、紫の外側の目に見えない光を発見した。これは、化学光(chemical light)と呼ばれた。その頃、リッターを含めた科学者は、光は、「酸化発熱要素」(赤外線)、「照明要素」(可視光)、「水素化還元要素」(紫外線)の3つから構成されていると結論づけていた。スペクトルの他の領域との統合は1842年、マケドニオ・メローニ、アレクサンドレ・エドモンド、ベックーレルらの研究まで分からなかった。その間、紫外線は、「科学線放射(arctinic radiation)」とも呼ばれていた。
[編集] 健康への影響
人間が、太陽の紫外線に長時間さらされると、皮膚、目、免疫系へ急性もしくは慢性の疾患を引き起こす可能性がある。大気で除去されるUVCは、過去ほとんど注意が払われていなかったが、高エネルギーであるため、UVAやUVBよりはるかに危険である。例えば、UVCを使用する、池型滅菌装置などは、光源を池型滅菌装置の外でスイッチを入れると被曝の危険性が存在する。
[編集] 皮膚
UVA,UVB、UVCは皮膚を形成するコラーゲンの繊維にダメージを与え、皮膚の加齢を加速する。一般に、UVAは危険性が一番小さいが、皮膚の加齢、DNAへのダメージ、皮膚がんの可能性等に影響を及ぼす。UVAは、日焼けを引き起こすことはないが、UVBより深く皮膚の中に浸透し、SPFテストで測定することができない。
UVBは、皮膚がんを引き起こす。生物のDNAは吸収スペクトルが250nm近辺に存在しており、紫外線が照射されると、皮膚等の細胞中のDNAを構成する分子は励起される。このDNA分子の励起は、DNA螺旋を構成する「はしご」を切り離し、隣接する塩基で、チミン-チミン、シトシン-シトシン、ウラシル-ウラシル等の二量体を形成する。これの二量体は、通常生成することはなく、DNA配列の混乱、複製の中断、ギャップの生成、複製のミスを発生させる。これは、がん等の突然変異を引き起こす。 紫外線による突然変異は、バクテリアにおいて簡単に観察されることができる。これは、地球環境問題でオゾンホールやオゾン層の破壊が懸念される理由の1つである。
紫外線照射に対する防御として、人間の体は茶色の色素のメラニンを分泌し、日焼けすることにより、紫外線の平均レベル(人種により異なる)を下げようとする。この色素は紫外線の侵入を阻害し、より深い部分の皮膚組織へのダメージを減らす。また、市販の日焼け止めローション、クリームも紫外線の侵入を防ぐ。これらの製品では、「SPF値」「PA」と呼ばれる紫外線防御効果が記載されている。
SPF値はSun Protection Factorの略で主に日焼けの原因であるUVBの遮断率を表している。SPF25の場合は、無対策の場合と比較して紫外線が1/25になり、SPF100は1/100になる。PAはProtection of UVAの略で、UVAの遮断に対する効果を表している。
PAは+(効果がある)、++(かなり効果がある)、+++(非常に効果がある)の3段階で表記される。PAがSPFと異なり、数値で表記されないのは、UVAのブロック率を評価する良い分析法が存在しないためである。
[編集] 目
強度の強いUVBは目に対して危険で、紫外眼炎(電気性眼炎)や、白内障、翼状片と瞼裂斑形成になる可能性がある。
保護メガネは、紫外線(特に短波長の紫外線)にさらされる環境で働く場合や、その様な環境にいる場合には有効である。保護メガネで覆われていない横から目に入る紫外線を防止するために、高高度の登山家が使用するような完全に覆われた保護メガネを使用したほうが曝露に対するリスクが減少する。登山家は、大気による減衰が小さくなり、雪や氷による反射が存在することにより、通常より高いレベルの紫外線にさらされため、そのような完全に覆われた保護メガネを使用している。
通常のメガネは、わずかの保護効果がある。ガラスはUVAに対して透明であるのに対し、プラスチックは通過率がガラスより低いため、プラスチックレンズは、ガラスのレンズより保護効果があり、材質(例えば、ポリカーボネート)によっては、ほとんどの紫外線が妨げる場合もある。ただし、いくら良いレンズによる保護措置を行ったしても、レンズ以外の経路を経由した紫外線からは目を完全に守ることは出来ない。レンズ以外の経路を経由する光を確認するには、レンズの部分をアルミホイルのような不透明なもので覆って、明るい光のそばに立つことで確認することができる。ほとんどのコンタクトレンズは紫外線を吸収し網膜を保護する。
[編集] 紫外線による利点
紫外線による利点は、皮膚におけるビタミンDの生成である。グラント(2002)は、UVB照射時間が短いことが、ビタミンDの欠乏を起こし、アメリカで何万もの死者が生じていると主張している。ビタミンD欠乏は、骨軟化症(くる病)を生じさせ、骨の痛みや、体重増加時には骨折などの症状を生じさせる。
他にも皮膚の疾患(例えば乾癬と白斑)の治療において、紫外線の利用が可能である。これには、311nmの波長による紫外線が効果的である。また、精神病の治療に、精神賦活薬(PUVA治療)とともに、UVA、UVB紫外線が利用される場合がある。
[編集] 利用
[編集] ブラックライト
ブラックライトはわずかに眼でわかる長波長の紫外線を放射する。ブラックライトの蛍光灯は、使用される蛍光体が異なる以外、通常の蛍光灯と同じ方法で作成される。この蛍光灯では、通常白い蛍光灯が、ウッドのガラスと呼ばれる深い青紫のガラスに置き換わる。
偽造防止のために、重要な証明書(例えば、クレジットカード、運転免許書、パスポート)には、紫外線照射時に見ることの出来るマークを含むものもある。ほとんどの国が発行しているパスポートは、紫外線感度の高いインクで偽造防止の細い線が書かれている。
例えば、ウクライナのビザスタンプとステッカーは、通常の可視光の元の裸眼では見えないが、紫外線照射時に見ることの出来る大きくて詳細な紋章が書かれている。また、アメリカ合衆国により出されるパスポートは、最後のページのバーコードに沿って紫外線の感度の高い偽造防止の細い線が存在する。
[編集] 蛍光灯
蛍光灯は、低圧の水銀蒸気をイオン化することにより紫外線を作り出す。蛍光管の内側の蛍光物質は、紫外線を吸収しそれを可視光線に変える。
水銀蒸気の放射する紫外線はUVC領域であり、蛍光物質を塗布されていない水銀アーク灯からの放射を防備なしに皮膚や目に受けることは非常に危険である。 一般的な蛍光灯のガラスはUVC領域の透過性の悪いガラスが使われているため蛍光物質が部分的に剥がれても危険は生じないが意図的にUVC領域を放射させる事を目的とした殺菌灯は透過率が極めて優れる石英ガラスが使用されているため直視することは大変 危険である
水銀灯の光は、離散的な波長で構成されている。より、連続発光スペクトルに近い紫外線源としては、キセノンアーク灯(太陽光のシミュレータに使用される)、ジュウテリウムアーク灯、水銀キセノンアーク灯、金属-ハロゲン化物アーク灯とタングステンハロゲン白熱灯等がある。 また水銀灯やメタルハライドランプも発光管に石英ガラスが使われており外側のバルブが破損状態で点灯しているのもUVCが強力に放射されているため直視は極めて危険である
[編集] 天文学
天文学において、非常に熱い物体は紫外線を放射する。(ウィーンの法則)しかし、地上から紫外線観測を行うことは、オゾン層の存在により難しいので、ほとんどの観測は宇宙から行われることになる。(電波天文学、宇宙観測を参照)
例えば、1990年代のNIXT、MSSTA、最近のSOHO/EIT、TRACE等の観測衛星において使用されている。
[編集] 紫外線を用いた害虫駆除
紫外線を用いた害虫駆除装置が、羽虫等の昆虫駆除に使用される。紫外線により引き寄せられてきた昆虫は、装置の電気ショックで死亡するか、罠により捕獲される。
[編集] 可視分光光度法
紫外線/可視光分光器は、化学構造解析のような化学分析技術として広く使用されている。紫外線照射は、試料に蛍光剤が存在するかを確認のために、可視分光光度法において使用される。
[編集] 鉱物の解析
紫外線ランプは、鉱物や宝石を調べたり、様々な含有物の検証を行う際に使用される。これらの含有物は可視光の元でも確認できるが、紫外線を照射した際や、照射した場合でも長波長と短波長の紫外線では、異なる蛍光を示すことがある。
このように紫外線による蛍光を利用した紫外線蛍光色素は、様々な用途に使用されている(たとえば、生化学的用途や犯罪捜査の用途)。蛍光たんぱく質(GFP,Green Fluorescent Protein)は、遺伝学でのマーカーとして使用される。たんぱく質の様な多くの物質は、紫外線に対して吸収帯域を持ち、これは生物化学分野もしくは関連する分野で関心がもたれている。その様な研究には、紫外線吸収分光光度計が使用される。
[編集] フォトリソグラフィー
半導体(IC、LSI)の露光工程において、微小パターン形成には、波長の短い光を用いた露光が必要となる。このフォトリソグラフィーには、紫外線が使用される。
フォトリソグラフィーでは、半導体表面に塗布された、フォトレジストと呼ばれる感光性の樹脂に、フォトマスクと呼ばれるガラス板上に描かれた図形を通して紫外線を照射し、マスク上に書かれた構造をフォトレジスト上に転写する。その後、この様に形成されたレジストをさらにマスクとして、エッチング、メタル形成、酸化膜形成等を行い、目的の構造を作成する。
初期のフォトリソグラフィーでは、光源にg線(436nm)が使用されていたが、その後、加工構造の微細化に伴い、i線(365nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)と短波長化が進み、更に短波長化を進めるため、これらの液浸エキシマレーザーも開発されている。研究段階ではEUV、X線を用いた露光装置もある。
この様なフォトリソグラフィーは半導体や、ICのみならず、プリント基板の製造においても使用されており、紫外線はエレクトロニクス産業では広く使用されている。
[編集] 電気的絶縁のチェック
紫外線の新たな用途として、電気試料上のコロナ放電(単に「コロナ」と呼ばれる)を観測することがある。試料の絶縁の劣化や汚染はコロナを引き起こす。そのコロナでは高電界が空気をイオン化し、窒素分子を励起し、紫外線の放射を引き起こす。 コロナは試料の絶縁性を低下させる。コロナはオゾンとわずかな酸化窒素を作り出し、酸化窒素は、周囲の空気中の水分と反応し亜硝酸もしくは硝酸の蒸気を作りだす。
[編集] 殺菌
紫外線ランプは生物学研究所と医療施設で場所や道具の殺菌に使用される。 市販の低圧水銀灯は254nmの紫外線を86%放射する。DNAの紫外線に対する吸収スペクトルは、約265nmと約185nmの2箇所にピークを持ち、この254nmは、その片方とよく一致する。185nmの紫外線は、DNAへの吸収率としては良いが、環境に存在する水や、ランプに使用される石英ガラスが、185nmに対して不透明であるため、この用途には使用されない。 これらの殺菌用の波長の紫外線は、DNAの隣接した塩基を二量体化する。微生物のDNA上にこれらの欠陥が十分に蓄積すれば、(たとえその微生物が死滅しないとしても)、微生物の増殖は抑えられ、無害になる。実際には、紫外線の照射の隙間や影により、照射されない微生物が存在するため、これらのランプは他の殺菌技術の補助として使用される。
[編集] 上水道の殺菌
- 紫外線は効果的な殺ウイルス、殺菌効果を有している。これを排水処理施設のみでなく、上水道の殺菌処理に使用するということが、海外では実施されている。SODISと呼ばれる工程は、スイスの研究機関により広く研究され、少量の水の処理には利用可能であることが証明された。この工程では、汚染された水を透明なプラスチックビンに入れ、6時間強烈な日光を浴びせる。汚染された水は2つの同期した装置においてこの処理を行われ、UVA(波長320-400nm)の照射を受け、水温が上昇する。水温が50度より上昇すれば、殺菌工程は3倍の速度になる。日本では塩素による殺菌を行っているが、1970年代後半から、塩素と水中の有機物の反応によるトリハロメタン等の発ガン性物質の生成が問題となり、紫外線による消毒が注目をあびている。
- この紫外線殺菌は紫外線からDNAを守る細胞壁等を持っている原生生物(例えば、ジアルジア)と比較して、むき出しに遺伝情報を持っているバクテリアやウィルスに対して有用であると考えられていた。しかし、近年、紫外線が微生物であるクリプトスポリジウムの駆除に効果的であるということが発見された。その報告結果では、実際に飲料水を処理する方法として、2つの米国の特許と紫外線を利用している。
実験はジアルジアがexcystationの状態であるより、infectivityの状態にあるとき、UVCの放射に非常に影響されやすいことが判明した。これにより、原生生物は高照射のUVCに対して耐性があるが、低照射で殺菌されることが判明した。
[編集] 食品加工
消費者による「新鮮」もしくは「新鮮に近い」食品の要求により、食品加工手法に非加熱的な方法を使用する要望が増加している。更に、食中毒に対する危険を避けるための食品加工方法の改善要求も存在する。
紫外線は、不要な微生物の除去のために、食品生産において使用されている。 例えば、フルーツジュースの低温殺菌工程では、強度の強い紫外線の照射が使用されている。この工程の効果はジュースの紫外線吸収度(ビールの法則)に依存する。
[編集] 火災検知
火災検知には、紫外線検知器が用いられる。物質は燃焼する際に特有のスペクトルを放出するが、ほとんどの物質(例えば、炭化水素、金属、硫黄、水素、ヒドラジン、アンモニア等)は紫外線領域と赤外線領域両者に発光スペクトルを持つ。例えば、水素が燃える炎は、185~260nmの範囲で強く、赤外線領域で弱く発光が存在する。一方、石炭の炎は非常に弱い紫外線と非常に強い赤外線の波長の光を放出する。このように火災検知器は、紫外線と赤外線両者の検知器を備えた方が、紫外線のみの検知器より信頼性が向上する。
全ての炎には、多少の差はあるがUVBバンドの放射が存在する。一方、太陽の光におけるこのバンドの紫外線は地球の大気により吸収される。その結果、紫外線検知器は、太陽の光に反応し警報をならさず(「太陽に対して不感」)、検知器は室内外どちらにおいても使用可能である。
火災以外の用途として、紫外線検知器は、アーク放電、電気火花、稲妻、非破壊検査に使用されるX線、放射性物質の検知にも使用される。
紫外線吸収ガスや蒸気は、炎からの紫外線を減少させ、炎の検知能力を減少させる。同様に霧状のオイル(オイルミスト)の存在や、検知器上へのオイルの皮膜の付着は同様の効果をもたらす。
これらの紫外線検知器は、シリコンカーバイド(SiC)と窒化アルミニウム(AlN)を用いた、固形デバイスを用いたものと、光電管の原理を利用したガス管を用いたものがある。
[編集] 光反応性の樹脂(接着剤等)
一部の接着剤と保護膜は、光反応性の樹脂を成分としている。特定の波長の紫外線を適切な量と強さで照射することにより、光反応(重合)が生じる。接着剤等の樹脂は硬くなるか、分解される。この反応は非常に早く、数秒もかからない。用途は、ガラスやプラスティックの接着、光ファイバーの保護、床の保護、オフセット印刷の紙仕上がりと歯の充填材、フォトリソグラフィーに使用されるフォトレジスト等が存在する。
[編集] 公衆便所での薬物乱用の阻止
紫外線のライトは、一部の国の公衆便所や公共の輸送機関で薬物の乱用の阻止を目的として設置されている。これらのライトの青い色は、皮膚の蛍光と組み合わさって、薬物常習者が静脈を見つけることを困難にする。しかし、麻薬常習者が公衆便所の外で静脈の位置に印をつけ、中でその印を確認できることから、このライトの有用性は疑われている。抑止効果に関しての裏づけとなる証拠はない。
[編集] EPROMの消去
EPROM(消去可能プログラマブル読み込み専用メモリ:Erasable Programmable ROM)の一部は紫外線の照射によりメモリ内容の消去が可能である。EPROMは電源を切っても記憶内容が消えないROMとして使用できるが、チップに紫外線を照射することでメモリの消去が可能である。書き込みと消去にはストレスがかかるため、通常、書き換え可能回数は20回前後であると言われている。
[編集] 低表面エネルギーポリマーの準備
紫外線は、接着剤のために低表面のエネルギーポリマーを準備することに利用できる。紫外線を浴びたポリマーは、ポリマーの表面エネルギーの上昇により、酸化する。一旦ポリマーの表面のエネルギーが上昇すると、接着剤とポリマー間の結合は強くなる。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- Soda Lime Glass Transmission Curve.
- B270-Superwite Glass Transmission Curve.
- Selected Float Glass Transmission Curve.
- Health effects of UV radiation.
- Matsumura, Y. & Ananthaswamy H. N. (2004). "Toxic effects of ultraviolet radiation on the skin". Toxicology and Applied Pharmacology Volume 195, Issue 3, pp. 298-308.
- Nolan, T. M. et al. (2003). "The Role of Ultraviolet Irradiation and Heparin-Binding Epidermal Growth Factor-Like Growth Factor in the Pathogenesis of Pterygium". American Journal of Pathology.
- Di Girolamo, N. et al. (2005). "Epidermal Growth Factor Receptor Signaling Is Partially Responsible for the Increased Matrix Metalloproteinase-1 Expression in Ocular Epithelial Cells after UVB Radiation". American Journal of Pathology.
- Grant, W. B. (2002). "An estimate of premature cancer mortality in the U.S. due to inadequate doses of solar ultraviolet-B radiation". Cancer Volume 94, Issue 6, pp. 1867-1875.
- Deep UV Photoresists.
- Corona - The Daytime UV Inspection Magazine.
- Ware, M. W. et al.. "Inactivation of Giardia muris by Low Pressure Ultraviolet Light" (PDF). United States Environmental Protection Agency.
- UV radiation and melanoma in US Hispanics & blacks. Hu S, et al. (2004) Arch Dermatol. 140 (7), 819-824
[編集] 外部リンク
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