西武多摩川線
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多摩川線(たまがわせん)は、東京都武蔵野市の武蔵境駅と府中市の是政駅を結ぶ西武鉄道の鉄道路線である。俗に終点駅の駅名から、是政線とも呼ばれる。
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[編集] 路線データ
[編集] 歴史
多摩川線は、1910年8月に設立された多摩鉄道によって開業した路線である。多摩川河原で採取した川砂利を運搬するのが目的であった。
1917年10月22日に境(現・武蔵境)~北多磨(現・白糸台)間、1919年6月1日に北多磨~常久(現・競艇場前)間、1922年6月20日に常久~是政間が開業した。1927年8月30日に(旧)西武鉄道に合併され、同社の多摩川線となった。1950年に電化され、1967年に貨物輸送を廃止した。
延長構想はいくつかあり、是政から南西、東京競馬場、上石神井駅、さらには多摩ニュータウン建設計画時に京王・小田急とともに路線を延長する案があったが、輸送量が逼迫している中央線を介しての都心へのアクセスとなることがネックとなり、すべて断念された。
元が川砂利運搬と沿線工場への貨物輸送のための路線であったたが、アメリカンスクール、多磨霊園、多摩川競艇場のアクセス路線として活用されて来た。近年には沿線の宅地化が進み、また東京外国語大学、警察大学校、警視庁警察学校、さらには味の素スタジアム(東京スタジアム)が多磨駅に近い関東村跡地に建設されたことから、輸送需要が増えつつある。
[編集] 車両
多摩湖線国分寺口とともに、最も古い車両が集約される路線として知られる(こうした車両転用は、支線の数が比較的多い大都市の鉄道会社ではよく見られる)。また列車無線、列車種別表示、連結器の電気栓、スタフ(乗務員用の時刻表)など、本線系でしか使わない機能の一部が、独自仕様または省略となっている。
ワンマン運転化の直前には401系や701系電車が使用されていたが、1996年からワンマン運転用の改造が施された101系電車が使用されている。但し各駅は有人のため、運転手はドア操作や次駅の放送のみで、車内での運賃の収受はない。
[編集] 運転
列車の行き違いは日中は新小金井駅と白糸台駅で、早朝と夜間は多磨駅で行う。
日中は12分毎、早朝と夜間は20分毎の運転である。早朝には白糸台始発の列車がある。
[編集] その他
武蔵境駅でJR中央線に接続し、乗客の流れとしては事実上、中央線の支線的存在である。西武の路線であるが、歴史的経緯上他の西武線と接続している駅はなく、それが利用客の素朴な疑問・ウンチクとして語られることも多い。なお武蔵境駅と西武新宿線田無駅・西武池袋線ひばりヶ丘駅の間に西武バスが多数運行されているので、バスを使った乗り換えは可能である。このため、保線作業など職員の一部は多摩川線専属がおらず、上石神井駅から出張して来る。
このため、車両の大規模な検査や整備を行う場合は、JR線を甲種輸送の形で武蔵境~新秋津間を貨物列車として機関車に牽かれて、整備工場である西武所沢工場(現在は武蔵丘車両検修場)へ回送していたが、中央線の高架化に関連して甲種輸送ができなくなったため、部品を輸送することで対応している。但し、これは高架化後に連絡線が設けられるまでの暫定措置と見られる(参考:武蔵境駅付近高架化のプレスリリース(PDF))。
全駅に自動改札機が設置されていないため、レオカード(SFレオカードを除く)のみが使用できる。だが、2007年3月に発行される予定のICカードPASMOは、多摩川線にも導入される予定で、JR東日本の簡易Suica改札機の様な改札機を各駅に設置して対応する。また、武蔵境駅では高架駅完成時に自動改札機の導入とJRへの連絡改札口が設置される模様である。
[編集] 駅一覧
駅名 | 駅間 キロ |
累計 キロ |
接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
武蔵境駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道:中央線(快速) | 東京都 | 武蔵野市 |
新小金井駅 | 1.9 | 1.9 | 小金井市 | ||
多磨駅 | 2.2 | 4.1 | 府中市 | ||
白糸台駅 | 1.4 | 5.5 | 京王電鉄:京王線(武蔵野台駅・多磨霊園駅:徒歩乗り換え) | ||
競艇場前駅 | 1.5 | 7.0 | |||
是政駅 | 1.0 | 8.0 | 東日本旅客鉄道:南武線(南多摩駅:多摩川に架かる是政橋を渡り徒歩乗り換え) |
※2001年3月28日に多磨駅は多磨墓地前駅から、白糸台駅は北多磨駅からそれぞれ改名。