西武20000系電車
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20000系電車(20000けいでんしゃ)は、2000年(平成12年)2月20日に営業運転を開始した西武鉄道の通勤形電車。
[編集] 概要
101系の老朽化に伴う車両取り替えを目的に登場した。テーマは「環境と人に優しい」。車両製造は日立製作所が担当し、頑丈且つ低コストのダブルスキン構造を採用したA-trainシリーズである。車内外の騒音や振動が非常に小さい。
運転台はワンハンドルマスコンを採用したが、8500系(レオライナー)の両手操作形とは異なる左手操作形となった。また乗務員支援や、機器監視・自動検査を行う高機能車両情報装置ATIが採用されている。力行・ブレーキ・放送や案内表示などの制御指令もこの装置を用いるため、大幅な配線削減が図られている。
車体はアルミ合金製(無塗装)で、制御装置は6000系に続いて日立製作所製のVVVFインバータ制御方式が採用されたが、20000系から半導体素子にIGBTを採用する事により6000系と比較して低騒音化が図られた。主電動機出力は135kwである。補助電源装置には三菱電機製のIGBT素子のSIV(静止型インバータ)を採用した。
6000系、9000系に続いて自動放送装置、ドアチャイムの他、車内にLED式の案内表示器をドア上部に設置した。前面・側面の種別・行先表示器はいずれもLED式の一体型のタイプを使用。また、優等列車に運用される際、走行中は側面LED表示を消灯するようになっており、さらなる省エネ化が施されている。量産先行車と2次車の各2編成については窓ガラスに韓国・ハンファ化学製のものが使用されているが、その後に製造された車両に関しては日本製のガラスを使用している。近年は床の高さやつり革を下げたり、手摺りを増やすなどの改良が行われている。また2005年に増備された20108F・20158Fにはヘッドライトに高圧放電灯(HID)を採用していたが、現在は通常のハロゲン灯に改造されている。今後の新型車両にもHIDを採用しないか、または採用前の試験用として搭載していたとの見方もある。
前面は非貫通構造のため、東京メトロ有楽町線への乗り入れはできず、もっぱら地上区間での運用が行われている。
登場時は新宿線のみの配置であったが、後に池袋線にも登場している。8両固定編成(50番台)と10両固定編成(0番台)があり、前者は主に各駅停車を中心に使用され、後者は主に優等列車に使用されている。但し、新宿・池袋線からの乗り入れ時以外を除けば、2・4・6両編成がないため、国分寺・西武園・西武秩父の各線内での運用はできない。但し8両編成はイベントのために西武秩父線に乗り入れる事もある。
[編集] 在籍数
2006年1月現在、10両編成8本(80両)と8両編成8本(64両)の計144両が在籍し、池袋・新宿・拝島線で運用されている。なお、これで当初計画で予定していた数が揃ったため増備は終了と思われる。しかし池袋線で使用されている10両編成(以前は6000系も含まれていた)は新宿線への貸出しが多く、新宿線内でも池袋線所属(20000系)の編成を見かけることが多い。
池袋線運用車
- 10両編成車:20102F・20104F・20106F・20107F・20108F
- 8両編成車:20151F・20158F
新宿線運用車
- 10両編成車:20101F・20103F・20105F(6103Fの代車だがそのまま新宿線に運用に就くこととなった)
- 8両編成車:20152F・20153F・20154F・20155F・20156F・20157F
10両編成車は20105F以降、8両編成車は20157F以降にそれぞれ折り畳みシートの設置やスタンションポールの増設(7人掛け座席1つあたり2本)が施されている。
20101Fと20151Fが2002年11月に登場した20102F導入前の9月に池袋線に貸し出された。20102Fの導入後、20101Fは新宿線に返却されたが、20151Fは12月に池袋線所属となった。
20157Fは2004年7月6日に池袋線でデビューしたが、2005年3月13日に新宿線所属となる。
新宿線の20000系と6000系が検査する際に池袋線の20000系を代走で走らす事も度々ある。
2005年11月3日に入間航空祭の影響で20101Fが池袋線を走行した。