酒石酸
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酒石酸 | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | 2,3-ジヒドロキシブタン二酸 |
別名 | |
分子式 | C4H6O6 |
分子量 | 150.09 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 無色固体 |
CAS登録番号 | [147-71-7](D体) [87-69-4](L体) [133-37-9](ラセミ体) [526-83-0](立体不定) |
SMILES | C(C(C(=O)O)O)(C(=O)O)O |
性質 | |
密度と相 | g/cm3, |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | 20.6 g/100 mL (20 ℃、ラセミ体) |
への溶解度 | |
への溶解度 | |
融点 | 168–170 ℃(L体) 206 ℃(ラセミ体) |
沸点 | ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | |
旋光度 [α]D | +12.0(L体、c = 20、水中、20 ℃) |
粘度 | |
屈折率 | |
出典 | ICSC(ラセミ体) |
酒石酸(しゅせきさん)は果実や酒類に含まれる有機化合物で、示性式が HOOC−CH(OH)−CH(OH)−COOH と表されるヒドロキシ酸。IUPAC命名法では 2,3-ジヒドロキシブタン二酸 (2,3-dihydroxy butanedioic acid) となる。ワインの樽にたまる沈殿(酒石、tartar)から、カリウム塩として発見されたためこの名がある。常温常圧で無色の固体。極性溶媒によく溶ける。分子量は 150.09。
[編集] 不斉炭素
酒石酸は2つの不斉炭素を持つため、L-(+)-酒石酸(2S,3S)、D-(−)-酒石酸 (2R,3R)、メソ酒石酸 (2R,3S) の3種類の異性体が存在する。フランスのルイ・パスツールがラセミ体(DL体)の酒石酸塩(酒石酸ナトリウムアンモニウム)を、その結晶の形をもとに光学分割することに成功し、光学異性体の概念を史上初めて示したことで知られる。天然に比較的多く存在するのはL体である。右のメソ酒石酸は天然には存在せず、キラリティを持たない。
[編集] 用途
酒石酸は食品添加物としての使用が認められており、酸味料などとして食品に添加される。医薬においては水溶性を改善するため、酒石酸の塩として供給されているものがある。有機合成化学の分野では光学分割剤として用いられる他、誘導体が不斉触媒などとして使われている(酒石酸ジエチルを用いるシャープレス酸化が有名)。