首都圏大規模停電
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首都圏大規模停電(しゅとけんだいきぼていでん)は、2006年8月14日に日本で発生した大規模な停電。東京を中心とする関東地方一帯で発生し、139万世帯の住宅や鉄道、地下鉄などに電力が供給されなくなり、都市機能が麻痺した。
この地域一帯の電力を管轄する東京電力の管轄内では東京電力が設立された1951年以来、1987年7月23日に起こった280万世帯の停電に次ぎ、停電した世帯数が史上2番目に多い。電力量では過去4番目。
被害
2006年8月14日の日本標準時午前7時38分頃に、東京23区東部と神奈川県横浜市、川崎市の一部、千葉県浦安市、市川市の一部を中心に、広い範囲で発生した。このうち、神奈川県内では約10分で復旧、千葉県内でも午前8時20分ごろまでに復旧した。
停電により信号機の停止を始め、東日本旅客鉄道や地下鉄、ゆりかもめなどの交通機関に影響が出たほか、ビルのエレベーターに人が閉じ込められる事故が相次いだ。電力の暫定復旧後も電力供給が十分でなかったことから、交通機関では冷房の出力を弱めて運行が行われた。
携帯電話が繋がりにくくなったり、NTT東日本によるひかり電話が一時不通になるなど、ライフラインにも大きな影響を与えた。
また、日本政府は危機管理センターに情報連絡室を設置した。
原因
この停電の発生原因は天災でなく人災である。東京都江戸川区と千葉県浦安市の間に流れる旧江戸川に架かる275キロボルトの送電線にクレーンを搭載した作業船が、クレーンを上げた状態で通行し接触したことが原因であるが、この送電線は発電所に近く、電力を送電する上での幹線であったため停電の規模が大きくなった。千葉県警浦安署などの調べでは、クレーン船は浚渫現場に向かう途中で33メートルの高さまでクレーンを上げ、高圧線に接触した。操縦士は「橋をくぐる際に下げたクレーンを通過後に上げた。送電線に気付かずに接触してしまった」と話しているという。千葉県警及び警視庁からの通報により、現場検証が続く。
この送電線は両岸から鉄塔を通じて架かっていたが、最低部で水面から16メートル、最上部でも32メートルであり、高圧送電線としては低い場所へ架かっていた。この鉄塔には4本1組の送電線が6組架かっており、そのうち3組が損傷した。この3組のうちにはメインの送電線が含まれており、またそのバックアップとなる送電線も損傷した。架線は切断されなかったものの、損傷の状態が激しく、復旧には約1ヶ月が掛かるものとみられる。