AMステレオ放送
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AMステレオ放送(AMステレオほうそう)とは、中波放送(AM放送)のステレオ放送である。
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[編集] 概要
- 世界的には主にカーン方式、モトローラ方式、マグナボックス方式、ハリス方式、ベラー方式が存在する。日本では、上記5方式を比較の結果、モトローラ方式を国内標準として採用した。
- 国内のAMステレオ放送に対応するラジオ受信機では、AMモノラル放送・AMステレオ放送どちらも聴取できるほか、従来の(非対応)受信機ではそのままAMステレオ放送をモノラル放送として聴取できる。
- 1992年開始当初は「AMラジオの最初で最後の進化」「AMラジオのFM化」と言われ、トーク番組などで流れる音楽が開始前と比べて多くなった。
- 日本では1992年のAMステレオ放送開始と同時にソニーとアイワが初めて日本で対応した製品を出し、その他のメーカーもその後対応した。しかし数年後アイワを除くメーカーは対応した製品を出すことは少なくなっていく。アイワはその後も対応していたがソニーに吸収合併された後は対応を打ち切った。
- 現在では高級オーディオを除き、10を下回る数の製品しか発売されていない。
- 普及しなかった原因として、まずNHKがこの放送方式に対応しなかったからである。その理由は2つある。
- 放送法において、NHKは「日本全国に均一な放送をする」義務が定められており、全国47都道府県すべてにAMステレオ放送を導入すると、莫大な経費がかかるとされたこと(しかし、地上波テレビのステレオ放送も最初から全国一斉実施ではなく「日本全国に均一な放送」となるまでに時間を要したこと(総合テレビでは実用化試験放送時代から数えて8年、本放送開始から数えて4年、教育テレビは半年)やNHK-FMの文字多重放送が一部区域のみの実施で「日本全国に均一な放送」でないことと矛盾するという意見もある。なお、NHK-FMの文字多重放送も受信料収入減による予算・事業計画の見直しにより2007年3月に終了する事が事実上決定した)。
- すでに超短波放送(FM)でステレオ放送を行っており、NHK中波放送の聴取者は高齢層が多かったためにAMステレオ放送を生かせる番組が少ないとされ(尤も、ラジオ第1・2放送の番組の中にもステレオで収録した番組が存在する)、中波でのステレオ放送は不要と判断したこと(ラジオ第1・2放送の一部番組はFMでも放送されている)。
- しかしながら、韓国のような1MW(メガワット=1000kW)クラスの大出力送信所設置(日本の中波送信所の最大出力は500kW)と中継送信所の統廃合でNHKでも低コストでのAMステレオ放送導入が容易だったと思われるという意見や、AMステレオ放送不実施決定後、NHK-FMが、関東以外での県域放送を大幅に縮小して地域ブロック単位の放送を推進したことや山口県岩国市のように隣県の放送局の聴取がかなり容易な地域でも、山口県域の情報を得るため、NHK第一放送の中継送信所を無駄に増設したことからNHKのAMステレオ放送不実施を疑問視する意見もある。なお、NHK放送センターのラジオセンター131スタジオと132スタジオは将来のAMステレオ放送実施を目的にステレオ放送に対応した設備になっているがAMステレオ放送不実施決定後もステレオ放送に対応した機材は実際にステレオ放送されるFM放送(ラジオ深夜便、昼の散歩道など)や地上デジタルラジオ実用化試験放送で活用している。
- また、民放局もプロ野球中継や音楽番組のステレオ放送を目的とした大都市中波局と実施当時民放FM局がなかった岡山県や和歌山県の中波局での実施に止まり、音楽番組の聴取率不振や上記のNHK不実施を反映したせいか、実施されていない民放局の方が多い(未実施の民放局でもラジオのスタジオはほとんどがステレオ放送に対応している)。また、AMステレオ実施の民放局でもほとんどの局は本局のみでしか行われていない。
- また、普通のモノラル受信機に対してAMステレオ受信機は値段が高いこと(最低でも4,5千円程度。安売りしていた積水化学も売上不振で撤退)や、受信する為のICチップを生産しているメーカーが少ない事も普及しなくなった原因と考えられる。
- 札幌テレビ放送(現・STVラジオ)が1996年10月に開始して以後、新規に開始した局は存在しない。そんな中、九州朝日放送(KBCラジオ)が2007年4月1日をもってAMステレオ放送を終了し、従来のモノラル放送に移行する事を発表しており、今後追随する放送局が出てくる可能性もある。
[編集] AMステレオ放送実施局
- TBSラジオ&コミュニケーションズ
- QR 文化放送
- LF ニッポン放送
- WBS 和歌山放送 ※親局1431kHzのみ
- RSK 山陽放送 ※全域1494kHzだがステレオ放送は親局・高梁局のみ
- RKK 熊本放送 ※県全域1197kHzだがステレオ放送は親局のみ
[編集] 対応機種
現行機のみ掲載。この他にも対応機種は多数ある。
[編集] 据置型
- Retradi R2 (組み立てキット)
[編集] ラジカセ
- 松下電器産業(パナソニック)
[編集] CDラジカセ
- RC-QS14 (教育用)