ETCS
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ETCS(European Train Control System)は、ヨーロッパの鉄道における、統一列車制御システムの名称である。
ETCSは、欧州連合(EU)が中心になって開発している"ERTMS"(European Rail Traffic Management System)の一部と位置づけられている。
ETCSプロジェクトに参加しているのは、ヨーロッパの鉄道事業者、鉄道産業界、鉄道関係の研究機関、EUや各国政府機関など、多岐にわたっおり、非常に大きなプロジェクトとなっている。
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[編集] 背景
ヨーロッパの鉄道は、歴史的に、各国で個別に構築され発展してきたため、車両や線路の規格、複線での進行方向、電化方式、信号システムなどが、国によって異なっている。そのため、複数の国にまたがる列車は、ヨーロッパ共通規格の客車(RIC規格)や貨車(RIV規格)で運用され、国境を越える場合は、牽引する機関車を国境駅で付け替える方式で対応し、この方式が長年にわたって採用され続けてきた。
しかし、この方法では、国境を越える毎に機関車を付け替えなければならず、その手間がかかることや、スピードアップの障害となる。そこで、ヨーロッパの鉄道では、国境を越えて自由に列車が行き来できる(相互運用性、インターオペイラビリティ)ような努力が続けられてきた。機関車や電車や気動車を、多くの国で運用可能なように、規格を共通化することや、複数の電源方式に対応した複電圧式の電車・電気機関車の開発が、それである。
信号システムに関しては、電化方式や規格以上に、国ごとの共通性がなく、しかも、一つの国に複数の信号システムが存在する場合もあり、一つの機関車に、その機関車が運用される国の全ての信号システムを搭載しなければならない場合も数多く存在する。
ヨーロッパの鉄道におけるインターオペイラビリティの向上のためには、ヨーロッパで統一された信号システムの開発が必須であり、その結果、1990年代前半から、世界鉄道連合(UIC)が中心となって、ヨーロッパ統一信号システムの仕様策定と開発に着手することになった。これが"ETCS"である。
[編集] ETCSの「レベル」
ETCSには「レベル」という概念が存在する。「レベル」によって機能は異なるが、各レベルは上位互換性が確保されることが条件となっている。即ち、上位レベルのシステムは、下位レベルの機能を全て含む必要がある。
- ETCS Level1
- 地上信号機と軌道回路を利用した方式で、日本のATSに相当する。地上と車上の通信には、"Eurobalise"(ユーロバリーズ)と呼ばれるトランスポンダを介して行う。車両側には"European Vital Computer(EVC)"と呼ばれる車載コンピュータを搭載し、"ETCS Trainborne"と呼ばれる車載側システムでブレーキパターンを保持し、列車制御を行う。列車の位置検出は、軌道回路によって行う。なお、列車の運転間隔を詰めるため、Eurobalise同士をループ回線で結び、進行現示時に直近のEurobaliseからブレーキパターンをキャンセルできるような構成も、仕様として定義されている。
- ETCS Level2
- ETCS Level1の上位互換システムである。日本のATCのような車内信号方式であるが、地上から車上への伝送は、地上の無線基地局と車載アンテナの間で、GSM-Rと呼ばれる、GSMを鉄道用に改良したデジタル無線によって行う。列車の位置検出は、軌道回路によって行う。Eurobaliseは、列車の位置情報を補正するために使用する。
- ETCS Level3
- ETCS Level2の上位互換システムである。列車制御に必要な情報は全て車両側に搭載し、地上の無線基地局とGSM-Rで通信することにより、移動閉塞を実現する。軌道回路やケーブルや地上の信号機は不要となる。Eurobaliseは、列車の位置情報を補正するために使用する。
2006年現在、ETCS Level1とETCS Level2が、実用段階に入っている。
[編集] 採用路線
[編集] 業界団体UNISIG
UNISIGとは、ETCSシステムの開発・製作・販売・サポートを行う業界団体である。現在、以下の6社が加盟している。カッコ内は製品名。
[編集] 日本国内の対応
日本では、ETCSやERTMSが採用される可能性は全くと言っていいほど存在しない。そのため日本では、ETCS関する情報は、極めて少ないのが現状である。