カメラ付き携帯電話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カメラ付き携帯電話(カメラつきけいたいでんわ)は画像撮影機能(一部はビデオ撮影なども)が画像送受信機能のついた携帯電話である。広義にはカメラ付きのPHS端末を含む。
1997年にフィリップ・カーンが発明し、爆発的な普及となった商品の原型は世界で初めて、日本のキャリアのJ-PHONE(現ソフトバンクモバイル)とメーカーのシャープにより1998年から2000年にかけて構想・開発され、2000年11月1日に市場投入された(現在のカメラ付き携帯電話のルーツとして。カメラが付いている携帯電話としては、前年にDDIポケットより発売されている。後記参照)。のちに世界中のメーカーによって熾烈な開発競争がおこなわれ、携帯電話の歴史を大きく変える出来事に発展した。特徴は、携帯電話とデジタルカメラの機能を単に一つにまとめただけでなく、撮った画像をメールに添付して送ったり、インターネット上の画像投稿掲示板に直接アップロードできるなどの、一体化ならではの機能である。日本国内において、2003年にはそれまでのいわゆる「カメラなし」携帯電話をほとんど駆逐し、携帯端末市場のみならずデジタルカメラ市場にも影響を与えるほどのヒット商品となった。これを受けて徐々にカメラ付き携帯電話向けの商品(特殊効果レンズ、ケータイプリンターなど)も発売されるようになり、ブログなどにも直接アップロードできる機能などへ発展したり、QRコード機能とも連携するようになった。
一方で、カメラ付きのヒットは携帯電話の高機能化競争に一層の拍車をかけたとも言える。また、盗撮や「デジタル万引き」などの犯罪行為を誘発するなどの社会問題も生んだ。
目次 |
[編集] 日本の歴史
[編集] 誕生前夜
1999年9月にDDIポケット(現ウィルコム)より発売された、京セラ製端末のVP-210が世界初のカメラ付き携帯電話(PHS)である。カメラ部は11万画素のCMOSセンサーが使われていた。撮影したJPEGファイルを添付しEメールで送受信できるが、テレビ電話用なので液晶面側にカメラがあり、外側に向けることはできず自分を撮る以外には使い辛い。現在の”写メール”に代表される用途のカメラ付き携帯電話とは異なるコンセプトで作られ、「お見合いに使えるテレビ電話端末」と宣伝されていたが、市場にはあまり受け入れられなかった。
同時期に、三菱電機からも、別付けのカメラを持つツーカー・デジタルツーカー向け携帯電話が発売されたが、これも画像データのやり取りができないなど使い勝手は今一つで市場には受け入れられなかった。
また、NTTドコモも写真にある「キャメッセ」という商品を発売した。これはドコモの携帯電話にアダプターを装着することで、写真(静止画)を撮影できるほか、それを使った加工が楽しめるというものだった。
[編集] 誕生期
2000年10月にシャープ製携帯端末J-SH04が商品化され、J-PHONE(現ソフトバンクモバイル)から2000年11月に発売されたのが現在のカメラ付き携帯電話のルーツになり、シャープの21世紀最初の大ヒット商品となり、数年で急激に世界中に広がった。この端末の特徴は、
- 背面部にデジタルカメラが付いた
- J-スカイウォーカーでメール送信できる
と現在のカメラ付き携帯電話の特徴を備えた初の端末となった。また自分を撮影するための鏡が背面に付いていること、撮影音を消せないなどの配慮がなされていた。ストレートタイプ(折りたたみタイプはJ-SH07から)。当初は縦128×横96ピクセルのフルカラー撮影が可能であった。メモ用途としても性能は十分とは言えず、必要性を疑問視する声も少なくなかったが、2001年6月に登場した「J-SH07」は縦160×横120ピクセルの撮影・表示が可能であるとともに、TNT液晶によって可視性が飛躍的に向上しており(TNT液晶自体はその先代機種であるJ-SH05で初めて採用され高い評価を受けていた)、後追いで写メールの名称がつけられ、Jフォンが2002年3月、4月にauを抜いて業界2位にまで上り詰める原動力となった。
この商品はシャープIC事業部の若手技術者が着想したもので、企画(お父さん達)と協力して0次のコンセプトが練り上げられ、また、Jフォンとシャープ通信事業部やIC事業部の技術者達(お父さん達)が苦労に苦労を重ね、並々ならぬ愛情を注ぎ込んで創り出した製品であるとされる。開発当初は、「仕事で頑張っているお父さんが仕事の合間に子供の様子を見ることができるように」、「我が子ができるだけキレイに撮れ、できるだけキレイに表示されるように」、「奥さんや子供が簡単に撮影して、送ってもらえるように」と考えられたとされる。
[編集] 他社への波及
まず、2001年11月にツーカーが三洋電機製TS11に続き、2002年4月、auがカシオ計算機製A3012CAで後追いをした。その後、2002年6月にNTTドコモもシャープ製SH251iでiショットの名称でサービスを開始した。その後、カメラ付きが携帯電話の主流になっていった。
なお、ドコモでもFOMAでは、サービス入りの2001年10月よりカメラは付いていたが、高い本体価格、当時は狭かった通話可能エリア、電池の保ちの悪さなどから主流ではなかったので、余り騒がれる事はなかった。
[編集] さらなる性能向上
競争時代に入り、さらなる性能向上が求められた。2003年5月ごろより、ドコモが三菱電機製D505iで、auがカシオ製A5401CAで、そしてJフォンがシャープ製J-SH53と、各社メガピクセル携帯電話を登場させた。その中でもソニー製SO505iはデジカメ機能を重視し「電話機能付きデジカメ」とも言うべき機種で、新規即解約してデジカメとして使う人が続出した。こういった対応について携帯電話業者ではその携帯電話に契約していないと、デジカメ機能を使えなくするなどと言った対策を取られた。その年の12月ごろよりドコモがD505iS、auがA5403CA、ボーダフォンがV601SHと200万画素級も出てきて、デジカメ替わりに使う人が増えてきた。
さらに2004年7月ごろに、auよりA5406CAが300万画素に到達、ボーダフォンがV602SHが200万画素、2倍光学ズームとなった。さらに2005年5月17日には、ドコモのFOMA端末D901iSが、ハニカムCCD200万画素ながら記録画素が400万画素で登場した。しかし、カメラ機能強化が端末販売に貢献できるとは限らない状況になり、ボーダフォンでは、ベースはほとんど同じである902SHと802SH(130万画素)を併売していた例など、全体として画素数競争は一段落している。今現在デジタルカメラでも画素数競争よりも画質や手ブレ防止などといったユーザービリティに関する競争が激化している為、カメラ付き携帯電話にもこういった競争になる可能性がある。2006年9月に久方ぶりに500万画素・光学3倍ズームのSoftBank 910SHが発表された。
カタログスペック自体はデジカメ並みになったが、搭載するレンズや画素、処理エンジンなどの関係で本来のデジカメとは性能差はある。
2006年10月1日現在、日本のカメラ付き携帯電話で高性能な機種は以下のものである。
[編集] 高性能なカメラ付き携帯
- 500万画素 光学3倍ズーム
- 320万画素 光学2倍ズーム
- vodafone V604SH(ボーダフォン・シャープ)
- vodafone 903SH(ボーダフォン・シャープ)
- vodafone 904SH(ボーダフォン・シャープ)
- 320万画素
- W31CA(au・カシオ計算機)
- A5406CA(au・カシオ計算機)
- F902iS (ドコモ・富士通)※CMOSイメージセンサ
- W41K (au・京セラ)※CMOSイメージセンサー 手ぶれ補正機能搭載
- A5515K(au・京セラ)
- SO902i(ドコモ・ソニー・エリクソン)※CMOSイメージセンサ
- SH902i(ドコモ・シャープ)
- SH901iS(ドコモ・シャープ)
(それ以下は例が膨大になるので割愛)
[編集] 動画対応機の登場
2001年10月に登場したFOMAでは、当初より動画対応機をリリースしている。松下製P2101Vだが、録画時間が短く本体にしか保存できなかった。メール送信はできない。その当時のFOMAは性能のバランスが悪く、人気は出ていない。その後継機として2003年3月に出たP2102Vが、「ムービースタイル」と呼ばれて、FOMA初の大ヒットとなった。今後発売されたFOMAはビデオカメラ並みの機能を持っている。また、画像サイズによってはメール送信できる。 auも2002年9月に東芝製A5301Tを発売している。約15秒の動画をメール送信できる。その後2003年12月に出た、A5403CAで本格的ムービー機能を搭載している。 Jフォンも2002年3月に出たJ-SH51で、動画対応している。その機種はメールサイズ対応で、本格的ビデオ機能を持つ機種は2003年5月に出たJ-SH53で対応となっている。 また、2005年12月に発売されたW33SAで、VGAサイズの動画撮影に対応。続いて2006年5月、ボーダフォンからは、VGA液晶を備えた上で、VGAサイズ動画撮影に対応した904SHがリリースされた。
[編集] 外付けのアプローチ
DDIポケットが2000年11月に発売したTrevaは、対応機に外付けするタイプのカメラユニットである。カメラ性能はCMOSの10万画素。重量が10 gで持ち運びしやすく、値段は約4000円ときわめて安価で、対応機のRZ-J90が同時発売された。これらの対応機は2004年7月のAH-J3003Sまで販売された。2003年に入り、DDIポケットもカメラ付き携帯を出して、外付け時代は終わった。外付けのアプローチは面白いものがある一面、カメラ付き携帯の販売が遅れたのも事実である。
[編集] 日本国外
日本国外でもカメラ付き携帯は増えてきている。2004年に大韓民国のサムスン電子が発売した500万画素機及び300万画素光学3倍ズーム機が発売された参照。さらにその機種の新機種では700万画素・光学3倍ズームになった参照。2005年6月14日現在の最高性能である。
[編集] カメラ付き携帯が普及した事で発生した問題
普及と共に、書店で書籍のページを撮影して買わずに済ます「デジタル万引き」の問題が表面化した。また、無断で他人の写真を撮る(特に猥褻な目的)、などエチケットや法に反する利用が問題になり、政府による調査や業界団体による広告キャンペーンなどのきっかけともなった。これらの防止策として、現行製品はカメラ撮影をするときにはマナーモードになっているときも含め、必ずシャッター音が出るようになっている。 企業秘密を写真に撮る問題も発生し、カメラ付き携帯電話の持ち込みを規制する企業も現れた、また、美術館用に一時的にカメラを目隠しするテープも開発された。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 書きかけの節のある項目 | 携帯電話 | カメラ