シェルパ
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シェルパ族は、ヒマラヤ山脈登山の支援を主な生業としている、ネパールの高地少数民族である。
彼らの祖先は16世紀にチベットを離れ、南方のネパールに移住してきたとされる。 現在の居住地域は主にエベレスト南麓のクンブ地方で、他にインドのダージリンやシッキムにも住む。
この地域は寒冷な高地で農業は難しく、以前は放牧と交易によって生計を立てていた。 しかし20世紀に入り外国人によるヒマラヤ登山が始まると、高地に順応した身体を買われて荷物運び(ポーター)として雇われるようになり、その後登山技術を磨いた彼らは案内人(ガイド)としても雇われるようになった。 今では彼ら無しではヒマラヤ登山は成立しないと言われるほど重要な存在となっている。 (登山隊内のシェルパのリーダーはサーダと呼ばれ、登山隊員もその意見を尊重する。)
このため、そもそも少数民族の名称に過ぎなかったシェルパは、ヒマラヤの現地人登山ガイドを表す一般名称となった。現在では、他の民族の出身者でもシェルパ族を名乗る場合がある。
登山案内人の職はネパールの平均収入と比べて高収入で、この職を得る競争は激しい。 しかし死の危険も大きく、多くのシェルパが登山中に命を落としている。
現代シェルパ族の生活は登山観光と密接に結びついており、登山支援の他に宿場経営、通訳などにも従事している。
近年では、ヒマラヤに限らず登山の荷物運びや案内役をシェルパと称することがある。日本ではかつて強力(ごうりき)と呼ばれていた人々がシェルパと名乗っていることもある。その例として、「立山シェルパ村」というNHKドキュメンタリーがある。