ジョン・ウィリアムズ (作曲家)
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ジョン・ウィリアムズ(John Williams、1932年2月8日 - )は、アメリカニューヨーク生まれの作曲家。ロサンゼルスで亡命ユダヤ系イタリア人作曲家、カステルヌオーヴォ=テデスコに作曲を師事。ジョン・ウィリアムズ (ギター奏者)は別人。元TOTOのメンバーで、ポピュラー作曲家、ヴォーカリストのジョセフ・ウィリアムズは息子である。
アーウィン・アレン監督のTV『宇宙家族ロビンソン』、『タイムトンネル』や映画『ポセイドン・アドベンチャー』の音楽担当として注目される。スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』のテーマがアカデミー賞を受賞したことで脚光を浴び、その後は主に映画音楽を手掛ける。スピルバーグの主要作品や、ジョージ・ルーカスの監督による映画『スター・ウォーズ』シリーズの音楽がよく知られている。また、1984年のロサンゼルスオリンピック、1996年のアトランタオリンピック、2002年のソルトレークシティーオリンピックでの開会式の音楽も有名である。2012年のオリンピックがニューヨークに決まればまた開会式の音楽を担当するはずだったが、それは叶わず、80歳になった記念の「バースデー音楽」とはならなかった。
さらに1980年に、アーサー・フィードラーの死去で空席になっていたボストン・ポップス・オーケストラの指揮者につき、1993年までつとめた。現在でも名誉指揮者の座にある。クラシック音楽では、同楽団を指揮して、ホルストの『惑星』を録音した。
映画音楽は、後期ロマン派から近代全般の影響を感じることができる。(主に、エルガーやプッチーニ、リヒャルト・シュトラウスやコルンゴルトなどの流れを汲んだ、典型的なロマン派の音楽様式による明快な旋律と巧みな転調、教会旋法の多様など。)また、とくにすぐれた効果的なオーケストレーションは特徴的である。またTVシリーズ時代から印象的で期待感を抱かせるイントロを持つテーマ、(『ホーム・アローン』や『ハリー・ポッター』など若い主人公達の世界がチャイコフスキー的な表現によって現れる事もある。)状況や心理の描写性に富んだ曲作りに長けており、それらが映画作品をより深みのあるものにしている点は、多くの監督が彼を大作やエンターテイメント性の高い映画に好んで起用する所以である。いくつかの映画音楽では、ブルースやモダン・ジャズ、ミュージカルの影響も認められ、もちろんアメリカの作曲家の影響は色濃い。
これに対して、数は少ないものの正統的なクラシック音楽も手がけており、特に若い頃には無調様式によって、ヴァイオリン協奏曲と、より前衛的なフルート協奏曲を作曲した。映画音楽を原作とする作品(独奏楽器つきのこともある)は、当然ながら調性音楽として作曲されている。『未知との遭遇』では目立たない形でトーン・クラスターなども使用されており、20世紀までに開拓された用法を調性音楽に接ぎ木するような形で大衆にわかりやすく提示するタイプの作風をもっているともいえる。
[編集] 代表作品
- 1965年『宇宙家族ロビンソン』
- 1966年『タイムトンネル』
- 1968年『巨人の惑星』
- 1971年『屋根の上のバイオリン弾き』(アカデミー編曲賞)
- 1971年『11人のカウボーイ』
- 1972年『ポセイドン・アドベンチャー』
- 1974年『タワーリング・インフェルノ』
- 1975年『大地震』
- 1975年『ジョーズ』(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
- 1977年『スター・ウォーズ』(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
- 1977年『未知との遭遇』(グラミー賞受賞)
- 1978年『スーパーマン』(グラミー賞受賞)
- 1979年『1941』
- 1980年『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(グラミー賞受賞)
- 1981年『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(グラミー賞受賞)
- 1982年『E.T.』 (アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
- 1983年『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』
- 1984年『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』
- 1984年『ザ・リバー』
- 1986年『スペースキャンプ』
- 1987年『イーストウィックの魔女たち』
- 1988年『偶然の旅行者』
- 1989年『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』
- 1989年『7月4日に生まれて』
- 1989年『アイリスへの手紙』
- 1990年『ホーム・アローン』
- 1990年『推定無罪』
- 1991年『JFK』
- 1992年『ホーム・アローン2』
- 1992年『遥かなる大地へ』
- 1992年『パトリオット・ゲーム』
- 1993年『ジュラシック・パーク』
- 1993年『シンドラーのリスト』(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
- 1997年『セブン・イヤーズ・イン・チベット』
- 1998年『プライベート・ライアン』(グラミー賞受賞)
- 1999年『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』
- 2001年『A.I.』
- 2001年『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 2002年『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
- 2002年『マイノリティ・リポート』
- 2002年『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』
- 2002年『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
- 2004年『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
- 2004年『ターミナル』
- 2005年『宇宙戦争』
- 2005年『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』
- 2005年『SAYURI』(ゴールデングローブ賞受賞)
- 2005年『ミュンヘン』
[編集] オリンピック
ジョン・ウィリアムズは、1984年のロサンゼルスオリンピック以降計3回行われているアメリカでのオリンピックで、楽曲を提供している。
- 1984年 ロサンゼルスオリンピック
- 『オリンピックファンファーレとテーマ』(Olympic Fanfare and Theme)
- この曲はグラミー賞を受賞している。
- 『オリンピックファンファーレとテーマ』(Olympic Fanfare and Theme)
- 1996年 アトランタオリンピック
- 『サモン・ザ・ヒーロー』(Summon the Heroes)
- 2002年 ソルトレークシティーオリンピック
- 『コール・オブ・チャンピオン』(Call of the Champions)
また、1988年のソウルオリンピックの際にもNBCの番組のために『オリンピック・スピリット』(The Olympic Spirit)を提供している。この曲は、日本のTV番組『オールスター感謝祭』の中でも使用されている。
[編集] 受賞歴
- アカデミー賞 5回(作曲賞 4回・編曲賞 1回)
- アカデミー賞ノミネート45回は現役の映画人の中で最も多く、歴代2位である(アルフレッド・ニューマンと同じ回数)。
- ノミネート止まり40回は史上最多である。
- エミー賞 2回
- グラミー賞 18回
- ゴールデングローブ賞 4回
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