リアクション芸人
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リアクション芸人(りあくしょんげいにん)は、テレビのバラエティ番組の中などで特殊な仕事(主に体を張った仕事、汚れ役、ドッキリや罰ゲームを仕掛けられてリアクションをとって笑いを誘ったりする)をするタレント、そういう芸風を持つタレントのこと。基本的に男性のお笑い芸人が主。デブタレ(デブタレント)と分類カテゴリが重複しているタレントもいる。
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[編集] 特徴、特性、傾向
芸能界におけるジャンル、カテゴリはお笑いタレント、お笑い芸人に属するが、基本的に体を張った仕事が多く、肌を露出する機会も多いため、それが”汚れ役”と言われることから「ヨゴレ」(ヨゴレ芸人)と呼ばれることもある。ただ、「ヨゴレ」という通称については、普段リアクション芸人とは呼ばれることのないタレント、芸人が、体を張った仕事を指して「ヨゴレな仕事」という風に使うこともある。だがこれは蔑視、あるいはそれに近い言葉とされているので最近ではあまり使われないが、ダチョウ倶楽部の持ちギャグで「ヨゴレでごめ~んね」というものがある。リアクション芸を扱った番組として、古くは『元祖どっきりカメラ』から系統が続いているが『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』において一般的な知名度を確立させたと言われる。
リアクションという言葉にあるように、まずは誰かのアクション(ここで言うところの=いじる)ありき、つまり「いじる人」がいてこそ成立し、「いじられる人」の存在が明確化され、活きてくる(持ち味が出る、存在意義が出る、笑いを取ることができる)タイプの芸人である。体を張った仕事を軸としている為、トーク(特にアドリブ)があまり得意でなく、漫才やコント等もテレビ番組等で殆どしない芸人が多い。また、いじられ上手な芸人が多いため、それと比例してM(マゾ)な性癖者が多いのではないかと思われる。
- ギャラの額は中の上~中の下クラスが一般的だが、キャリアや知名度、仕事内容、番組の予算、所属事務所の力によってまちまち。(ただしバラエティ番組においてリアクション芸人は、ひとつの番組にて同時に多人数を必要とする場合も多く、番組の制作サイドはギャラ単価をできるだけ低く抑える必要がある。そのためギャラの額をあまり高く設定してしまうと使ってもらえなくなる可能性があり、ギャラの設定次第では命取りになる。)
- 特番の時期が特に忙しい。
- 女性にはあまりモテない。
- 「抱かれたくない男」ランキングの常連。
- 街で若者や怖いお兄さんに絡まれることがよくある。
- 冠番組を持たない(持てない)。
- 体を張った仕事を軸としている為、トークがあまり得意でない(故にアドリブが苦手である)。
- 自宅等に近所の子どもなど一般人がやってきて悪戯をされたりからかわれることがある。街へ出ても同様の事をされる。
- テレビ局やスタジオの楽屋、酷い場合は私生活においても、ドッキリ臭い場面に出くわすと隠しカメラを探してしまう。
[編集] 一般的な評価
その芸風は「下品、低俗」「いじめを連想させる」「芸とは言えない」と批判される事も多い。またルックスもあまり良くなく、肌を露出する機会が多い(だらしない体型の者が多い)からか、芸能界や世間一般での評価は低い。特に女性には極めて受けが悪く、人気のある美少年アイドルなどとは対極のポジションにいる。大手雑誌、週刊誌などが発表する「芸能人好感度ランキング」にはほとんど登場せず、逆に「抱かれたくない男ランキング」などでは常に上位を独占、常連となっているケースが多い。ただ、皆が嫌がる仕事(彼らにとっては“おいしい仕事”であり、主な収入源でもある)をすすんで引き受け、テレビ番組の制作サイドからは重宝され、彼らの存在なくしてはバラエティ番組などのエンターテインメントは成立しないという声もある。
[編集] リアクション芸人の定義、またその市場と今後の展望と課題
そもそも「リアクション芸人」という正式なジャンルは存在せず通称であって、芸人(タレント)に属すること以外はその定義さえもあいまいで、極めて未発達、未成熟かつ先行きも不透明な市場だが、逆に言えばそれだけ大きな可能性を秘めた市場でもある。しかしながら現状では、一般的なお笑いタレント、お笑い芸人と比べると格段にその数は少なく、その芸風から「永遠の若手」と揶揄されることも多いが、実情は高年齢化が進んでおり、現在活躍中のリアクション芸人の座を脅かすような若手の台頭が望まれる。
また、どちらかと言えば手作りでアナログな笑いを得意とするリアクション芸人が、既に始まっているテレビ放送のデジタル化(地上デジタル放送)にどう進化して対応、共存し、また長く続いているお笑いブーム(※2006年現在まで続く「お笑いブーム」に関しては、もはや「ブーム」ではないとの意見もある)にどう便乗してその市場を広げていくか、というところも今後の課題であろう。
[編集] 日本の芸能界における代表的なリアクション芸人
[編集] 現在リアクション芸人に近いスタンスだと思われるタレント
- 安田団長(安田大サーカス)
- クロちゃん(安田大サーカス)
- 山下しげのり(ジャリズム)
- 濱口優(よゐこ)
- たむらけんじ
- 藤本敏史(FUJIWARA)
- 原西孝幸(FUJIWARA)
- ケンドーコバヤシ
- ゆうぞう(インスタントジョンソン)
[編集] かつてはリアクション芸人に近いスタンスだったタレント
- 片岡鶴太郎 ※ルーツを創り上げた第一人者と称えられている
- 今田耕司
- 東野幸治
- にしきのあきら(錦野旦)
- 島崎俊郎
- 春一番
- アゴ勇
- 桜金造
- 蛭子能収
- 稲川淳二
- 松村邦洋
- 山本圭一(※2006年、吉本興業解雇)
[編集] テレビのバラエティ番組内で多い仕事(又はそれに使用される物品など)
- 熱湯風呂
- 熱々おでん
- 粘着シート(鳥もち状の粘着物)
- ヘルメット
- CCDカメラ
- ワイヤー
- スカイダイビング
- 泥または白粉
- ゲテモノ食い
- 巨大風船(狭い場所、透明壁の個室が主)
- 獰猛な動物や昆虫などが入ったボックスの中に顔や体の一部分を入れさせられる、あるいは直接付着または接触させられる
- バンジージャンプ
- 人間大砲などに代表される火薬・爆発系のもの
- 体に感電装置を付けられて電流を流される
- キックボクシングやムエタイの選手を主とした格闘家に体(尻部が多い)を蹴られる
- スタントカー(カースタント)に同乗させられる
- 豪華グルメを目の前にして、他の出演者は食べられるのに対して、食べさせてもらえない
- 飲食物の中に刺激物(激辛な調味料、わさび、からし、またはその食品とは明らかにミスマッチなものなど)を入れられていて、それを知らされず、もしくは事前に知ってはいるが”知らない体で”飲食する
- ドッキリ(ホテルなどで宿泊中にドッキリリポーターなどの何者かに部屋に侵入され朝方睡眠中に過激な手法で起こされる=「寝起きドッキリ」、ヤクザに絡まれる、マイカーや部屋の壁や所持品を破壊もしくは傷つけられる、落とし穴に落とされる、キャバクラに行くと実の妻や肉親が出てくる など)を仕掛けられて、それに反応する様子(リアクション)を隠しカメラで撮られる
など。 大きくは「罰ゲーム系」と「ドッキリ系」に分類することができる。
[編集] 関連項目
- お笑い芸人
- ひな壇芸人
- コメディアン
- ギャグ
- お笑い芸人のギャグ一覧
- 芸能事務所
- ビートたけし
- 元祖どっきりカメラ
- ビートたけしのお笑いウルトラクイズ
- スーパージョッキー
- 進め!電波少年
- 内村プロデュース
[編集] 参考文献など
- 『これが俺の芸風だ!! 上島竜兵伝記&写真』(上島竜兵著・竹書房)
- 『FromD リアクション芸人就職情報』(ダチョウ倶楽部著・双葉社)
- 虎の門(テレビ朝日)
- 「朝まで生どっち」コーナーで「上島VS出川VS松村VSふかわ 銀河系最強のリアクション芸人は誰だ!?」というテーマで、上島竜兵が「銀河系最強のリアクション芸人」に認定された。