ロザリオ
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ロザリオには、聖母への祈りを連ねて唱えることで、聖母マリアに霊的なバラの冠を捧げる、という意味がある。同時に、その祈りの際に祈りの回数を確認するために用いる数珠状の用具をロザリオという。
ロザリオは手で爪繰って祈るものなので、首にかけるのは基本的に間違いである。形状としては、小さなものは数珠10個に十字架だけというシンプルなもの、大きなものでは十字架だけでなく、キリストの像や不思議のメダイ(Miraculous Medal )がついているものもある。
不思議のメダイは、聖母のメダイ(葡)・メダイユ(仏)・メダル(英)とも呼ばれ、1830年にフランスのシスター、カタリーナ・ラブレ(Labouré)のもとに聖母マリアが現れ、製作を依頼したと言われる。ラブレが見たマリアは、様々な色の指輪をはめて地球の上に立ち、その指輪の多くが地球に光を注ぎ、「おお、無原罪のマリア、貴女を頼る我らのために祈りたまえ」というフレーズの入った楕円形の枠の中に浮かび上がっていた。そして枠が回転したかのように今度は12の星の輪と、十字架が乗った大きなMという字、その下にイエスの心臓とマリアの心臓(聖心 Sacred Heart)が見えたという。
ラブレはその姿をモチーフにしたメダイを作って身に着けると多大な恵みがあるとマリアに告げられ、その後2年間調査を行ったラブレの神父と大司教を通してメダイ製作の許可がおりた。このメダイを着けた人間が多くの祝福を受けたというので「不思議なメダイ」と呼ばれ、世界じゅうに広まった。
伝統的には、カトリック信者はロザリオを肌身離さず持ち歩き、仕事の合間などに時間があればロザリオを唱えていた。 長崎原爆資料館には、爆心地近くで発見された遺品のロザリオが展示されていて、持ち主がどれほどの苦難にあったかを静かに伝えている。[1]
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[編集] カトリック
カトリックでは定型文の祈祷を毎日捧げることを習慣にしている人が多い。
ロザリオの祈りは、漫然と唱えるのではなく、しっかりと祈るための黙想の手引きが必要となる。詳細は、教会備え付けの祈りのガイドやカルメル会・女子パウロ会から出されている「祈りの本」などを参照のこと。
[編集] 関連する祈り
- 使徒信条 - 信仰宣言(credo)
- 主の祈り
- アヴェ・マリア - 天使祝詞。信仰・希望・愛徳の恵みを願うため3つ。150篇ある詩篇を観想する意味で複数日で計150であったが、2002年10月16日に、第264代教皇ヨハネ・パウロ二世による使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』が発表され、従来の神秘に新たに『光(啓示)の神秘』を加えることを提唱し、計200になった。
- 栄唱 (Gloria Patri 頌栄)
- サルベ・レジーナ (Salve Regina 元后あわれみの母)
カルメル会のアビラの聖テレジアは、著書『完徳の道』(ISBN 4003381718)で祈りの際は熱心に雑念を払って強く断固とした態度で祈るようにと強く薦めている。アビラの聖テレジアは、祈る際の雑念を悪魔達と呼び、祈りに集中することに専心すべきで雑念にはけして注意を払うべきではないと強く薦めている。
[編集] プロテスタント
プロテスタントでは通常使用しない。これは信仰生活に天使祝詞などの定型祈祷を用いる習慣がなく、それを勘定する必要もないためである。
また、装身具など別用途の十字架でもキリスト像がついていない物を好む。これは、プロテスタント教理上の偶像崇拝の禁止によって、プロテスタントの礼拝堂正面に掲げられる十字架には御像がついておらず、しばしば十字架そのものもないため、御像のついた十字架には違和感、甚だしくは残酷な写実に対して生理的嫌悪感を覚えるためである。