合唱
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合唱(がっしょう)とは、複数の人が複数のパートに分かれて各々のパートを複数で歌う音楽の演奏形態のこと。 各々のパートがひとりずつとなるものを重唱と呼んで区別するほか、複数人が同一の旋律を歌うことも斉唱といい、区別される。 無論、ひとりで歌う独唱とも区別される。 合唱の語は、器楽の合奏の対語でもある。
目次 |
[編集] 合唱の種類
クラシック音楽における、合唱の主な分類法は次のとおりである。
[編集] 宗教合唱曲と世俗合唱曲
キリスト教の典礼文に曲をつけたもの、あるいは宗教的な色合いが濃い作品を宗教合唱曲(宗教的合唱曲)、それ以外の作品を世俗合唱曲(世俗的合唱曲)として区別する。それぞれ「宗教曲」「世俗曲」と略されるが、これらは独唱曲なども含む広い概念になる。このような区分法は、作曲家の作品リストやCDなどでしばしば見られる。
[編集] パート数による分類
パート数により、二部合唱、三部合唱、四部合唱等と呼ぶ。曲によっては六部、八部合唱などもある。部分的にパート数が異なる場合も、多くの部分がそのパート数であるならばそのパート数で呼ばれる。 ただし、曲のなかで一時的にパートがさらに複数に分かれることもあり、これはディヴィジョン(ディヴィジ)と呼ばれる(記号 div.)。ディヴィジョンによって複雑な和音が作り出されることが多い。
[編集] 独唱の有無による分類
合唱とは別に独唱者または重唱者が立てられることがある。わずか数小節を担当する程度のものもあれば、独唱曲に近い(合唱がほんのわずかしか登場しない)ものもある。管弦楽を伴う作品の中には、合唱とソロがそれぞれ別々の箇所を歌い、お互いが絡み合うことがまったくないものも多々見られる。この点は、独奏楽器と管弦楽が一緒に演奏する場面が必ずといっていいほど存在する協奏曲と異なるところである。
独唱ではなく、または、独唱に加えて語り手(ナレーター)の入る合唱曲もある。シェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」や、ツィンマーマンの「若き詩人のためのレクイエム」など、20世紀以降の作品に広く見られる。
[編集] 伴奏の有無による分類
無伴奏の合唱をア・カペラ(教会風)と呼ぶ。伴奏が付く場合にはピアノやオルガンによるものとオーケストラによるものが多いが、ハープや打楽器などによる伴奏もある。
[編集] 声の性質による分類
女声による合唱を女声合唱、男声によるものを男声合唱といい、変声前の声によるものを児童合唱(または童声合唱、少年合唱、少年少女合唱など)と呼ぶ。男女の声によるものを混声合唱という。
[編集] 多く行われる合唱の形態
上記の組み合わせにより、様々な形態が考えられるが、多く行われるものは次の通りである。
- 低音を補うためピアノなどを伴うことが多い。
- 第1テノールが主旋律を歌うことが多いが、バーバーショップスタイルのカルテットでは主に第2テノールが主旋律を担当する。無伴奏が多いが、他の楽器と共演することも珍しくない。
- 混声4部合唱(ソプラノ・アルト・テノール・バス)
- 和音が和声的にしっかりと確立するので、きわめて基準性の高い編成といえる。コラールはこの編成で書かれる。また、和声学では、この編成を標準とする。
無伴奏、他の楽器との共演いずれも多い。また、オーケストラとの共演が、女声合唱や男声合唱に比べて多いのも特徴的である。
[編集] 楽曲
[編集] 主な合唱曲
男声合唱曲、女声合唱曲、児童合唱曲については男声合唱、女声合唱、児童合唱の項目、無伴奏混声合唱曲については、無伴奏の合唱の項も参照。
[編集] 日本人以外の作曲家による合唱曲
- マショー ノートルダム・ミサ
- オケゲム レクイエム
- ジョスカン・デ・プレ アヴェ・マリア/ミサ・パンジェ・リングァ
- ジャヌカン 鳥の歌 他多数
- タリス エレミアの哀歌/40声のモテット
- パレストリーナ 教皇マルチェルスのミサ/スターバト・マーテル/Sicut Cerves Desiderat/Super flumina Babilonis
- バード 3声、4声、5声のミサ
- モンテヴェルディ オペラ《オルフェオ》/聖母マリアの夕べの祈り/アリアンナの嘆き/倫理的・宗教的な森/多くのマドリガル
- アレグリ ミゼレーレ
- シュッツ カンツィオーネス・サクレ SWV53-93/キリストの十字架上の七つの言葉 SWV478
- カリッシミ オラトリオ《イェフタ》
- ジェズアルド マドリガル集全6巻他/聖務週間日課のためのレスポンソリウム集
- シャルパンティエ 真夜中のミサ
- ヴィヴァルディ グローリア ニ長調 RV.589
- ヘンデル オラトリオ《メサイア》
- バッハ マタイ受難曲 BWV244/ヨハネ受難曲 BWV245/クリスマス・オラトリオ BWV248/ミサ曲 ロ短調 BWV232/モテットBWV225~230/カンタータ《目覚めよと呼ぶ声あり》 BWV140/カンタータ《心と口と行いと命もて》 BWV147
- ハイドン オラトリオ《四季》/オラトリオ《天地創造》/ミサ曲1~12番
- モーツァルト ミサ曲 ハ長調《戴冠式ミサ》 K.317/ミサ曲 ハ短調 K.427(417a)/アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618/レクイエム ニ短調 K.626
- ルイジ・ケルビーニ レクイエム ハ短調
- ベートーヴェン 合唱幻想曲 ハ短調 作品80/ミサ・ソレムニス 作品123
- ロッシーニ 小ミサ・ソレムニス
- シューベルト ミサ曲1~6番/ドイツ・ミサ D.872/水上の聖霊の歌 D.714
- ベルリオーズ レクイエム 作品5/オラトリオ《キリストの幼時》 作品25
- シューマン 楽園とペリ 作品50
- メンデルスゾーン オラトリオ《聖パウロ》 作品36/オラトリオ《エリア》 作品70
- ヴェルディ レクイエム/聖歌四篇
- ブルックナー ミサ曲1~3番/テ・デウム ハ長調
- ヨハン・シュトラウス2世 美しく青きドナウ
- ブラームス ドイツ・レクイエム 作品45/アルト・ラプソディ 作品53/運命の歌 作品54/哀歌 作品82
- ドヴォルザーク スターバト・マーテル 作品58/レクイエム 作品89
- フォーレ ラシーヌの雅歌 作品11/レクイエム 作品48
- ヤナーチェク グラゴル・ミサ
- マーラー カンタータ《嘆きの歌》
- ラフマニノフ 詩曲《鐘》 作品35/晩禱 作品37
- シェーンベルク グレの歌/ワルシャワの生き残り 作品46
- バルトーク カンタータ・プロファーナ
- コダーイ ハンガリー詩篇/マートラの風景 他多数
- ストラヴィンスキー ミサ曲/レクイエム・カンティクルズ
- プロコフィエフ カンタータ《アレクサンドル・ネフスキー》 作品78
- オルフ カルミナ・ブラーナ
- プーランク 人間の顔/スターバト・マーテル/グローリア
- デュリュフレ レクイエム 作品9/4つのモテト 作品10
- ショスタコーヴィチ 森の歌 作品81
- メシアン 我らが主イエス・キリストの変容/5つのルシャン
- ブリテン キャロルの祭典 作品28/戦争レクイエム 作品66
- バーンスタイン チチェスター詩篇/ミサ曲
- リゲティ レクイエム/ルクス・エテルナ/孤独
- ペンデレツキ ルカ受難曲(無伴奏の「スターバト・マーテル」を含む)/ヘルヴィムの歌
- シュニトケ 合唱コンチェルト
- アンドリュー・ロイド・ウェッバー レクイエム
[編集] 日本人作曲家による合唱曲
- 滝廉太郎 組曲「四季」 4曲中3曲が重唱または合唱のために書かれている。
- 信時潔 いろはうた/海道東征
- 橋本國彦 川
- 平井康三郎 不尽山を見て
- 清水脩 月光とピエロ/アイヌのウポポ
- 高田三郎 水のいのち/心の四季/ひたすらな道
- 小倉朗 ほたるこい
- 柴田南雄 追分節考/宇宙について
- 磯部俶 遥かな友に
- 石井歓 枯木と太陽の歌/風紋
- 中田喜直 海の構図/都会
- 團伊玖磨 岬の墓/筑後川
- 大中恩 島よ/わたしの動物園
- 間宮芳生 合唱のためのコンポジション1~16
- 湯浅譲二 芭蕉の俳句によるプロジェクション
- 武満徹 風の馬/混声合唱のための「うた」
- 寺島尚彦 さとうきび畑
- 三木稔 レクイエム/阿波
- 廣瀬量平 海の詩/海鳥の詩
- 多田武彦 柳河風俗詩/雨
- 南安雄 チコタン/日曜日
- 林光 原爆小景
- 小林秀雄 落葉松/伊勢志摩
- 湯山昭 葡萄の歌/ゆうやけの歌
- 三善晃 地球へのバラード/嫁ぐ娘に/クレーの絵本
- 平吉毅州 ひとつの朝/わが里程標
- 佐藤眞 土の歌(大地讃頌を含む組曲として知られる)/蔵王/旅
- 池辺晋一郎 六つの子守歌/東洋民謡集I~IV
- 黒澤吉徳 消えた八月/木琴
- 新実徳英 幼年連祷/やさしい魚
- 橋本祥路 遠い日の歌/時の旅人
- 荻久保和明 季節へのまなざし/縄文
- 高嶋みどり 青いメッセージ/かみさまへのてがみ
- 西村朗 まぼろしの薔薇/そよぐ幻影/秘密の花
- 鈴木憲夫 雨ニモマケズ/永訣の朝
- 青島広志 マザー・グースの歌/ギルガメシュ叙事詩
- 木下牧子 方舟/ティオの夜の旅
- 千原英喜 おらしょ/どちりなきりしたん
- 鈴木輝昭 女に/もうひとつのかお
- 山本純ノ介 光葬/二億年ずつ23回
- 松井孝夫 マイバラード/そのままの君で
- 松下耕 信じる/そのひとがうたうとき
- 寺嶋陸也 風になりたい/二月から十一月への愛のうた
- 信長貴富 新しい歌/いまぼくに
- 佐藤賢太郎 Kyrie
[編集] 合唱を伴う主な交響曲
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調《合唱》 作品125
- エクトル・ベルリオーズ 劇的交響曲《ロメオとジュリエット》 作品17
- フェリックス・メンデルスゾーン 交響曲第2番 変ロ長調 《讃歌》 作品52
- フランツ・リスト ファウスト交響曲/ダンテ交響曲
- グスタフ・マーラー 交響曲第2番 ハ短調《復活》/交響曲第3番 ニ短調/交響曲第8番 変ホ長調《千人の交響曲》
- ジャン・シベリウス クッレルヴォ交響曲 作品7
- アレクサンドル・スクリャービン 交響曲第1番 ホ長調 作品26/交響曲第5番《プロメテウス》 作品60
- レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ 海の交響曲/南極交響曲
- チャールズ・アイヴズ 交響曲第4番
- イゴール・ストラヴィンスキー 詩篇交響曲
- ドミートリイ・ショスタコーヴィチ 交響曲第2番 ロ短調《十月革命に》 作品14/交響曲第3番 変ホ長調《メーデー》 作品20/交響曲第13番 変ロ短調《バビ・ヤール》 作品113
- ベンジャミン・ブリテン 春の交響曲 作品44
- レナード・バーンスタイン 交響曲第3番《カディッシュ》
- 黛敏郎 涅槃交響曲
- アルフレット・シュニトケ 交響曲第2番《聖フローリアン》/交響曲第4番
[編集] 合唱を伴う主な管弦楽曲
- ドビュッシー 夜想曲
- ホルスト 惑星 作品32
- ラヴェル バレエ音楽《ダフニスとクロエ》
- ケテルビー ペルシャの市場にて ※男声合唱が入るが、実演では省略されることが多い。
- プロコフィエフ 冬のかがり火 作品122
- ライヒ 砂漠の音楽
[編集] 演奏家
[編集] 主な合唱団
- 東京混声合唱団
- 日本合唱協会
- NHK東京児童合唱団
- 新星合唱団(旧新星日響合唱団)
- 晋友会合唱団
合唱団一覧も参照のこと。