女性語
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女性語(じょせいご)とは、女性特有の言い回しや言葉。日本語に多くみられる。
- 古来は、室町時代ごろから多くみられる宮中などでの女房言葉や江戸時代の遊女語など特殊な社会で発生した女性専用の言葉を言う。
- 現代では感動詞の「あら」「まあ」、終助詞の「わ」や「だわ」、「のよ」などの女性特有の表現。
[編集] 日本語の女性語
現代的な意味での、日本語の女性語は明治時代に発生した。江戸時代以前は、遊女言葉や娘言葉、武家の奥方の言葉などはあっても、女性が普遍的に使う女性特有の表現は存在しなかった。女性語の起源は、明治時代の有産階級の女学生が使った『てよだわ言葉』に由来するという説があり(金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』による)、「よくってよ」「いやだわ」などの言葉の流行は「異様なる言葉づかひ」(尾崎紅葉)などと、文化人の非難の的となった。結果的には、中流以上の女性からこうした言葉遣いが広まり、女性語として定着してしまう。
1980年代ごろから、本稿で扱う「わ」「のよ」といった女性特有の語尾が次第に使われなくなった。代わって「だよ」「だね」「じゃん」といった、いわゆるユニセックスな言い回しが好まれるようになり、日本の若い世代では普遍的な女性語はほぼ消滅した。現在では女性語は中年以上のほか、男性が使うオネエ言葉に誇張された形で残っている。
[編集] 方言における女性語
- 「よ」「ね」「わ」は宮崎弁など、西日本を中心に地方にも存在するが、これは女性語とは異なりユニセックスに用いられる。このため域外から来た人はオネエ言葉かと勘違いしてしまうらしい。
- 近江弁で「…したらどう?」と勧誘を示す「…したらわ」との言い回しがあるが、男性はまず用いず、女性語と言える。
[編集] 主な言葉
- 一人称は「私(わたし)」が基本形。改まった場では「わたくし」、砕けた「あたし」も使われる。関西弁では「うち」も用いられる(「うちの会社」等の用法と同じだが、他地域では狭義の一人称には用いないようだ)。
- 別項「ボク少女」に詳しいが、標準語では男性語とされていた「僕(ボク)」「俺(オレ)」「俺等(オイラ)」などを一人称に使う女性もいる。こうした女性はサブカルチャーの影響で使っていると見なされがちで、同性・異性を問わず疎ましいとか、はしたないと思われる場合が多く、公的な場での使用も歓迎される事はない。私的な場でも一般的には敬遠される。
- 二人称は「あなた」が代表的であった。同輩か目下には「君」「お前」「あんた」などの使用もある。
[編集] 女性語一覧
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[編集] あ行
- あら 【感動詞】
- いやだ 【感動詞】
[編集] か行
- かしら 【副助詞・終助詞】
- こと 【終助詞】
[編集] ま行
- まあ 【感動詞】 語尾を上げるアクセントは「呆れた」との感情を示すもので女性語特有だが、終始高音の場合は通常の驚きや言葉のつなぎを意味し、男女とも用いる。
[編集] や行
- よ 【終助詞】
[編集] わ行
- わ 【終助詞】
[編集] 英語の女性語
英米では、かつての日本語のように言語表現の男女差はそれほど顕著ではないが、女性的と言われる表現もあり、強調のsoの多用、lovely、wonderfulといった形容詞の多用、Oh dear! などの感嘆詞を多用すると女性的な印象になると言われる。
[編集] 関連項目
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