弓矢
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弓矢(ゆみや)とは、弓(ゆみ)と矢(や)からなる狩猟具、武器である。
湾曲する素材(もしくは湾曲しない素材)に弦を張って作られた弓を両腕で保持しながら、弦に矢をかける。矢とともに弦を手で強く引いてから離すと、その張力で矢が飛翔する。
弓矢は狩猟の道具としては非常に一般的なもので、一万年以上前から使われている。歴史や故事にもよく登場する。
現代の日本ではスポーツや心身鍛錬として、洋弓によるアーチェリー競技や、和弓の弓道がよく行われている。また、祭事や儀式として弓矢を用いる事も多い。疾走する馬上から矢を射る流鏑馬(やぶさめ)や、正月の破魔矢などがその例である。
さまざまな文化において、手を触れずに遠隔の敵ないし獲物を仕留めることのできるこの道具には呪術的な意味が与えられ、さらには見えない魔物などと戦う武器として神話・伝説などに登場する。(破魔矢は弓矢の呪力を現代に伝えるものと言えよう)
また、「強」「弱」という漢字に弓の字が使われているのは、それが武力の象徴であり、呪術用に特化して飾り物となった(弱の字は弓に飾りがついた姿を現している)武力を「弱」と捉えたことに注目できる。
このような弓の呪術性は、弓の弦をはじいて鳴らすことによっても発揮されると考えられた。例えば日本の平安時代に、宮中で夜間に襲来する悪霊を避けるために、武士たちによって鳴弦という弓の弦をはじいて音を響かせる儀礼が行われていた。こうした用法から、弓は弦楽器の起源の1つとなったと考えられる。狩猟用の弓を楽器として用いる場合もあり、現在は楽器ではあるものの、弓の形態を色濃く残すものもある。ハープも弓を起源に持つ。