新改訳聖書
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新改訳聖書(しんかいやくせいしょ)日本聖書刊行会より発行された聖書、口語訳と並ぶ日本語翻訳聖書のひとつ。口語訳と同じくこちらも旧約聖書と新約聖書の両方を含み、外典と呼ばれる第二正典を含まない66巻の書からなる。1970年初版発行、2003年に差別語等を見直した(例えば、「らい病」を原音に近い「ツァラアト」に変更したなど)第三版が刊行された。
新改訳聖書は有限責任中間法人新改訳聖書刊行会が翻訳、日本聖書刊行会が発行、いのちのことば社が発売する。
日本聖書刊行会では、新改訳の特徴として、「聖書を『誤りなき神のみことば』と確信する42名の翻訳者による委員会訳」などとしている。また、新改訳聖書刊行会では、特徴として、「聖書を『誤りなき神のみことば』と告白する福音主義の立場に立つ委員会訳であること」、「特定の神学的立場に傾かないで,言語的に妥当であるかを尊重すること」などとする。
日本聖書協会刊行の口語訳や、新共同訳、などと並び日本において多く用いられている代表的な訳である。「新改訳」とは文語訳聖書の「改訳」に対する敬意から付けられた名前である。
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[編集] 特徴
文語訳、口語訳聖書の伝統的固有名詞を継承している。解釈の理解のために他の書簡の参照箇所や欄外注に<別訳><直訳><異本><原語>(ヘブル語、アラム語、ギリシア語)等を明記し、敬語の簡素化、神の御名を太字の「主」でその他の通常使われる「主」と区別した。また「燔祭」「素祭」などを「全焼の生けにえ」「穀物のささげ物」と解りやすくした 等。 新約聖書はネストレの校訂本二十四版、旧約聖書はキッテルの三版に基づく、42名の翻訳者による翻訳。
プロテスタントの福音的な教会で多く使われているため、アメリカの福音派やキリスト教根本主義に批判的な立場を取る側から、福音派の立場による護教論的な(教義を守ろうとする)傾向がある翻訳だとする批判がある。
新改訳聖書の正式英語名はNew Japanese Bibleとなっている。
[編集] 経緯
戦後、日本聖書協会より発行された口語訳聖書の翻訳方針が、やや学問的であったことから、福音派的諸教会を中心に、神やキリストの権威を弱めているという不満が起こった。またこの傾向は当時発行された英語聖書のRSVに追随するものだと批判された。そのため福音派諸教会を中心として新改訳聖書が発行された。発行に際してNASBを発行する米国ロックマン財団(The Lockman Foundation)の財政的支援を受け、翻訳方針もNASBを踏襲するものであった。ロックマン財団の献金額は総必要額の46%におよび、献金は1966年8月まで行われた。
[編集] 歴史
- 1962年 新改訳聖書翻訳開始。
- 1965年5月に日本聖書刊行会設立。
- 1965年11月 新約聖書完成。
- 1970年6月 旧約聖書完成。
- 1978年 改訂第二版発行。
- 2003年 改訂第三版発行。
[編集] 著作権上の争議
発刊後、ロックマン財団と新改訳聖書刊行会の間で著作権上の争議が発生した。ロックマン財団は自身に著作権があると主張し、また実際に「(c)Lockman1963, 1965, 1968, 1970」という表記が1987年まで続けられていた。裁判は1996年に和解が成立し、日本側がロックマン財団に多額の和解金を支払い、和解金支払い完了まではTEAM(宗教法人ゼ・エバンゼリカル・アライアンス・ミッション(日本同盟基督教団))が、2003年以降2007年末まではいのちのことば社が著作財産権を持ち、新改訳聖書刊行会が著作人格権を持つことが確認された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 聖書の歴史 (日本聖書協会)
- 日本聖書刊行会
- 新改訳聖書刊行会
- いのちのことば社
- The Lockman Foundation
- 新改訳聖書における聖句引用について
- eBible japan(口語・新共同訳・新改訳の検索)
- Bible Word Serach(新改訳の語句検索)