期間工
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期間工とは、自動車工場や電子部品製造工場などで短期間従事する労働者のこと。
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[編集] 概要
主に、部品の組み立てなど流れ作業を担うことが多い。作業は苦痛なほど単調であるが、職人的な技術は要求されない上、素人の割には手取賃金や居住施設の提供など待遇は良い。なお、学生は種々の理由で(休学している場合でも)応募を断られる場合が多い。
[編集] 期間工の傾向
1980年代までは、農閑期の農業従事者が出稼ぎとして行うことが多かった。このため、季節工と呼ばれていたこともある。1990年代からは、就職できないフリーターや日系ブラジル人などの外国人労働者の割合が増えている。2000年代に入ると人材募集の経費削減などのアウトソーシング指向や募集人員、期間に融通が効くなどの理由で人材派遣業による派遣が活発化、期間工としての募集は減少傾向にある。
[編集] 待遇
2交代制や3交代制などのシフト勤務に加え、数時間の残業が半ば強要されるなどの状況で勤務時間は不規則であることが多い。このため、工場周辺に勤務期間中に宿泊する寮やアパートが提供されることが普通。契約期間を満了すればボーナスのほか、帰りの旅費が支給される職場もある。近年は、募集条件に「期間工として従事した経験」を求められるケースもあるが、期間途中で逃げ出さないための辛抱強さを判断する材料として見ていることが多い。
[編集] 期間工に焦点を当てた出版物
- 自動車絶望工場—ある季節工の手記 著者:鎌田慧 講談社文庫 ISBN 4061830961
[編集] 都市伝説
- 「自動車は、熟練した辛抱強い期間工が作り上げる3月に作られたものが最良。新米が作る4月のものは最悪」という都市伝説があるが、フルラインロボット作業で作られる自動車もあるし、熟練した期間工が嫌々作っている可能性もある。また期間工募集、入職も通年行われており、どの月であろうと新米期間工がいるのが実態であり、この説は間違いである。
[編集] 期間工に対する差別問題
池内ひろ美の2006年10月19日のblogでのトヨタ自動車の期間工に対しての記述について、職業蔑視に基づく悪意に満ちた差別と偏見だとblogやインターネット掲示板を中心に騒ぎが起きている。(多くの掲示板が削除されているのも原因である)
池内の知人の言葉として、「向上心がなくて勉強もせず、平日の早い時間から連日飲んでいる男の子なんて、うちでは絶対に雇わない。スタッフにはお願いして仕事をしてもらってんだから。お願いしたくなる子じゃないと雇わない!」いくら酒の席であっても、初対面の人間を相手に職場の悪口を言ったり、上司を侮辱するのは論外。このコメントについて、仕事を終えて夜に酒を飲んでおり、またどこの企業の正社員でも職場の悪口はよくある光景でるあるのに偏見と差別に満ちた言動と非難されている。
また、池内本人も「彼ら(期間工)は「トヨタ」を漢字で書くことができるのだろうか」と侮辱に満ちた言葉を書いたり、「期間工のシステムは社会の不安定化に繋がる。トヨタは社会的責任として日本の規範となれ」という意味の某作家コメントを読んだが、本末転倒だ。「向上心があり、与えられた仕事に生き甲斐を見つけ、社会の一員として役割を果たそうとする若者が職を得ることができないのは不幸せなことだ。が、ただ金を儲けることだけを求める彼らに仕事を与え、なかなか仕事を継続することのできない彼らに期間を区切ってでも採用する企業は立派である。真面目に働き企業の求める基準を満たす期間工については、正社員への登用も行なっている。その意味でトヨタは社会的責任を果たしている。」とトヨタ自動車がクリスタルなどの人材派遣会社から人を掻き集めて正社員の割合を減らしている事や労働基準監督署の査察を度々受けるほどの過酷な労働を正社員のみならず期間工にも強いている現実を見ず、無責任な言動をしていることについても非難が集中している。