桃太郎 海の神兵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『桃太郎 海の神兵』 (ももたろう うみのしんぺい) は、海軍省より戦意高揚アニメ製作の命を受け1944年に松竹動画研究所によって製作され、1945年4月12日に公開された国産長編アニメ (白黒、74分)。
監督、脚本、演出は瀬尾光世、影絵は政岡憲三。音楽は古関裕而、作詞はサトウハチロー。
日本初の長編アニメーション映画『桃太郎の海鷲』(1943年)の姉妹編である。セレベス島への奇襲作戦を題材とし、落下傘部隊の活躍と当時の日本政府の大義であった『アジア解放』をテーマとしている。当時の国産アニメとしては74分という長編で、莫大な予算と100人近い人員を投じて制作されたという。落下傘部隊のシーンは実際の動きを細かく分析し、透過光などの特殊効果も用いられた。
ミュージカル仕立ての場面があり、これは監督である瀬尾光世が、海軍省より1940年に公開されたディズニーの長編アニメーション映画『ファンタジア』を観せられて、戦意高揚が目的であっても、ファンタジアのように子供たちに夢や希望を与えるような作品にしようとしたことや、姉妹編である『桃太郎の海鷲』と同様に平和への願いを暗示したことが大きく影響している。
封切当時、まだ高校生であった手塚治虫は、大阪松竹座でこの作品を観ていた。手塚は当時、その技巧や作者の戦意高揚の中にも、随所にみられる夢や希望や平和への願いを解し、甚く感動し涙を流したと後に語っている。また手塚はテレビアニメ『ジャングル大帝』で、動物たちに言葉を教える「アイウエオの歌」で、この作品の1シーンをオマージュしていることで有名。
敗戦後、フィルムはGHQによって没収・焼却されたと思われていたが、1984年に松竹の倉庫でネガが発見されて再公開された。
現在はくもとちゅうりっぷと同時収録のビデオが松竹から発売されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: アニメ作品 も | 日本のアニメ映画 | 日本の戦争映画(1945年以前) | 1944年の映画 | 映画関連のスタブ項目