法定得票
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法定得票(ほうていとくひょう)とは、選挙で当選が認められるために必要な得票率、または数のこと。
[編集] 概要
選挙では、基本的には首長選や小選挙区制では得票数1位、大選挙区制では定数に応じた人数まで当選が認められる。
しかし、候補者が乱立した場合、著しく得票率の低い候補者が当選順位内に入ることがある。そこで、得票率に足切りを設け、得票率が基準に達しなければ、当選として認められないことになっている。その基準を法定得票と通称する。
日本の公職選挙法では、法定得票に到達した落選者は、参議院選挙選挙区および地方議会議員選挙では、当選者が選挙日から3ヶ月以内に何らかの理由(死亡、辞職など)で辞職した場合、順次繰上当選の対象となる。衆議院選挙小選挙区および地方首長選挙では、補欠選挙となるため原則として繰上当選はない。ただし、複数候補が同票の場合、くじ引きで当選者を決定するが、このくじにはずれた落選者に限り、すべての選挙で選挙日からの日数に関係なく繰上当選の対象となる。
(なお、法定得票の存在しない衆議院および参議院の比例区では、名簿に登載された候補者が残っている限り、繰上当選の対象となる)
法定得票に達する候補者が無く、または不足した場合、再選挙が行われる。再選挙の立候補資格は通常の選挙と変わらず、元の選挙の候補者はもちろん、新たに立候補することもできる。そのため、形の上では永遠に再選挙が繰り返される危険性があり、これを避けるため法定得票の基準は外国に比べ緩くなっていると言われている。
国政選挙では、史上最多の候補者が乱立した第22回衆議院議員総選挙で、2議席分が法定得票に達せず、再選挙となったのが唯一の事例である。
首長選挙では、公職選挙法施行以降では、1979年4月の千葉県富津市長選、1992年2月の奈良県広陵町長選、2003年4月13日の北海道札幌市長選の3例がある。
外国では、再選挙の代わりに決選投票制を導入している事例がある。たとえば、フランス国民議会選挙の法定得票は過半数と高く、法定得票に達する候補がなければ、得票率12.5%以上の候補者のみで決選投票を行う。一度の選挙で当選が決まることが少ないので、2回投票制と呼ばれている。
[編集] 公職選挙における法定得票
公職選挙法第95条に定められた法定得票は、以下の通りである。
選挙 | 法定得票 |
---|---|
衆議院小選挙区*1 | 有効得票総数÷6 |
衆議院比例代表 | (なし) |
参議院選挙区 | 有効得票総数÷議員定数÷6 |
参議院比例代表 | (なし) |
都道府県知事 | 有効得票総数÷4 |
都道府県議会議員 | 有効得票総数÷議員定数÷4 |
市町村の長 | 有効得票総数÷4 |
市町村の議会の議員 | 有効得票総数÷議員定数÷4 |
- 衆議院小選挙区は、中選挙区時代は地方議会選挙と同じ基準だった。