筒賀駅
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筒賀駅(つつがえき)は、広島県山県郡筒賀村中筒賀字東1208(廃駅当時。現:広島県山県郡安芸太田町中筒賀字東1208)に存在した西日本旅客鉄道(JR西日本)可部線の駅(廃駅)。
加計~三段峡間が開通した1969年7月27日に開設されたが、JR可部線非電化区間(可部~三段峡間、延長46.2km)の廃止に伴い、2003年12月1日に廃駅となった。
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[編集] 駅名の由来
- 駅のある地域の村の名前(広島県山県郡筒賀村)から。
[編集] 駅の様子
- 駅舎があり、委託駅だった。
- プラットホームは島式1面2線で、交換可能駅だった。但し、廃止前には列車交換は行われなくなり、下り線(南側)の線路しか使われなくなった。
- 改札口を抜けると階段で築堤に登り、上り線(北側)の線路と平面交差して西側からプラットホームに上っていた。
[編集] 駅の周辺
- 駅の北側を太田川支流の筒賀川が流れている。
- 筒賀川の北側を国道186号が通っており、駅と国道186号は筒賀村(現:安芸太田町)道で結ばれている。
- 駅の裏側(南側)を広島県道303号上筒賀筒賀停車場線が通っており、更にその南を中国自動車道が通っている。駅の南西には中国自動車道筒賀PAがある(広島県道303号上筒賀筒賀停車場線の路線名称については後述)。
- 筒賀村側の強い要望の結果、上殿~土居間の経路は筒賀村中心部を通るようになったのだが、筒賀村役場(現:安芸太田町役場筒賀支所)や筒賀村立(現:安芸太田町立)筒賀小学校、筒賀村立(現:安芸太田町立)筒賀中学校は駅の西1km前後の場所にある。近接できなかったのは、地形的にそれらの施設の近くに駅を設置できなかったことや広島市と浜田市を結ぶという主目的を持って可部線を建設していることから、大幅な遠回りができなかったためと考えられる。
[編集] もう一つの筒賀駅
筒賀駅といえば旧山県郡筒賀村中心部近くに34年4ヶ月間存在したこの駅のことだと認識する人が多いが、実はJR可部線にはもう一つ筒賀駅が存在した。それは廃止当時田之尻駅となっていた駅である。
山県郡筒賀村に初めて鉄道が通じたのは国鉄(当時)可部線・布~加計間が開通した1954年3月30日のことだが、その時は村の東端である太田川右岸を通過していただけであり、駅などの施設は一切なかった。中心部からそこまで行くには山越えが必要なのだが、せっかく村域を鉄道が通っていることもあり、駅設置要望が高まった。その結果、1956年12月20日に村の東端の田之尻地区に筒賀駅が設置された。更に1960年には峠に井仁トンネルが開通し、自動車でも筒賀村中心部と筒賀駅を往来できるようになった。
その後、広島市と浜田市を結ぶ鉄道計画の一環として本郷線(加計~三段峡間、本郷とは旧山県郡戸河内町中心部の小字)が計画されるようになると「山越えをしなくても鉄道の恩恵を受けられるようにして欲しい」という意見が高まり、本郷線は筒賀村中心部にできるだけ近いところを通るように経路が決められた。改めて筒賀駅が開設されることになったが、そこで問題になってくるのが村の東部、山越えしなければ行けないところにある最初の筒賀駅の存在である。そこで本郷線開業間近の1969年7月1日、最初の筒賀駅は付近の小字を採って田之尻駅と改称した。その結果、1969年7月1日~同年7月26日の26日間、筒賀駅はなくなっていたのである。
ところで、旧筒賀駅の田之尻駅への改称の少し前に、広島県ではこの駅に通じる2つの県道路線を認定したのだが、あろうことか路線名称に改称前の駅名を入れた。広島県道筒賀停車場線と広島県道上筒賀筒賀停車場線がそれなのだが、本郷線開業2ヶ月前の1969年5月30日(広島県告示第428号)により認定されたにもかかわらず、そのようになってしまったのである。原因としては広島県議会で議決された時はまだ田之尻駅に改称されるとは決まっていなかったことや、前年の1968年9月に可部~加計間が赤字83線の一つとして挙げられたことが考えられるが、結局改められることのないまま広島県道241号筒賀停車場線・広島県道303号上筒賀筒賀停車場線として可部~三段峡間が廃止され、新旧筒賀駅が消滅した今も存在している。
[編集] 沿革
- 1969年(昭和44年)7月27日 国鉄(当時)可部線・加計~三段峡間開通と同時に開設される。当時の所在地表示は広島県山県郡筒賀村中筒賀であり、それは廃止まで変わることはなかった。
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄の分割・民営化により可部線がJR西日本の路線に移行する。
- 2003年(平成15年)12月1日 JR可部線・可部~三段峡間が廃止され、筒賀駅も34年4ヶ月の歴史に終止符を打つ。
[編集] 現状
- 2006年11月頃から駅舎解体作業が開始され、筒賀駅舎は姿を消してしまった。