飯山線
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飯山線(いいやません)は、長野県長野市の豊野駅から新潟県北魚沼郡川口町の越後川口駅に至る東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
長野県内では千曲川に沿い、新潟県内に入ると千曲川から名を変えた信濃川に沿って日本有数の豪雪地域を通る。路線のほとんどが谷沿いの山間部を通るため、主に夏季は大雨による土砂災害、冬季は大雪による雪崩や除雪作業等によりしばしば運休することがある。沿線には野沢温泉などの温泉地やスキー場が多い。
一部又は全座席が千曲川(信濃川)の見える東方(長野県側のほぼ全域と新潟県側の一部)に向けられた展望車両「ふるさと」が普通列車として運行されている。
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[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
全線をJR東日本長野支社が管理している(終点の越後川口のみ新潟支社の管理)。
かつては、優等列車として急行「野沢」・「うおの」などが運転されていたが、現在は普通列車のみの運転である。キハ110系気動車が投入された1997年10月から戸狩野沢温泉~越後川口間の全列車(臨時列車を除く)と長野~戸狩野沢温泉間の一部列車(主に日中)でワンマン運転を実施している。また、若干(約10分程)ではあるが、キハ110系投入以前と比べスピードアップ化も実現した。
車両編成はたいてい2両だが1両や3両の場合もある。また、4両編成が長野~戸狩野沢温泉間に朝の通勤時間帯に限り1往復設定されている(休日も4両編成で運行される)。なお、戸狩野沢温泉~越後川口間は、比較的利用が少ないこともあり臨時列車を除き3両編成以上は設定されていない。
※2006年春から、学校の休業日を除く平日に限り長野発十日町行123Dが戸狩野沢温泉以北も3両編成で運転されている。同年度から津南町に県立の中高一貫校(既存の高校を中等教育学校に転換)が開設された影響で十日町市内の高校が学級増となり、森宮野原以北から十日町への通学客増加に対応したものと思われる。なお123Dが3両編成となる日は、同列車から引き続く183D~184D~166D~165D~189D~144Dも3両編成で運転され、いずれも車掌が乗務する。
起点の豊野側は、全列車が信越本線の長野駅まで運転されている。長野~戸狩野沢温泉間は主に平日は長野市~飯山市・中野市との間、または飯山市内やその周辺との間で通勤・通学輸送等を担う役割が、休日は沿線の観光地・温泉地への観光客の利用がそれぞれあるため、利用客が比較的多く、飯山線の主要区間となっている。そのため、運転本数も最も多く設定されているが、それでもほとんどの時間帯で1時間~1時間30分に1本と少なめである。
全区間通しで運行される列車の他、長野~十日町または戸狩野沢温泉間、戸狩野沢温泉~十日町または越後川口間、十日町~越後川口間などに区間運転列車が設定されている。また森宮野原以北の新潟県側は十日町で概ね運行系統が分離されており、十日町で北越急行ほくほく線、越後川口で上越線との接続を重視したダイヤが編成されているほか、1日1往復、上越線経由で信越本線の長岡まで直通する列車が朝時間帯に運転されている。
全区間通しで又は長野~十日町(一部森宮野原)間で運転される列車は途中の戸狩野沢温泉駅にて車両の増結・切り離しが行われる場合がある。
なお、冬季には、首都圏方面などからシュプール号が戸狩野沢温泉駅まで運行されていたが、1995年3月の運転を最後に信越本線黒姫駅からのバス連絡だけになっている。ただし現在でもスキーブーム時と比較すると少ないが飯山線でのスキー客の利用はある。
[編集] 準急・急行「うおの」・「野沢」
飯山線には現在では特急・急行といった優等列車が設定されていないが、過去には「うおの」・「野沢」という準急列車・急行列車が存在した。各列車の概要は下記の通りである。
- 準急・急行「うおの」
- 1962年(昭和37年)11月1日 十日町駅~新潟駅間を結ぶ準急列車として運行開始。長岡駅~新潟駅間では「よねやま」に併結された。
- 1966年(昭和41年)3月5日 急行列車に格上げ。
- 1982年(昭和57年)11月15日 快速列車に格下げられる形で消滅。
- 準急・急行「野沢」
- 1963年(昭和38年)3月25日 長野駅~越後川口駅間を運行する準急列車として運行を開始。
- 1965年(昭和40年)10月1日 長岡駅まで運行区間を延長。長野駅~長岡駅間では、所要時間は信越本線経由の急行「赤倉」・準急「よねやま」と大差なかったが、距離では飯山線経由の方が短かったので格安列車として好評を博した。
- 1966年(昭和41年)3月5日 急行列車に格上げ。
- 1970年(昭和45年)1月22日~11月29日 越後岩沢駅~内ヶ巻駅間にある高場山トンネル崩落の影響で、この間「野沢」は長野駅~十日町駅間運行となる。
- 1986年(昭和61年)11月1日 廃止。
[編集] 車両
[編集] 過去の使用車両
[編集] 歴史
豊野~十日町間は私鉄の飯山鉄道(いいやまてつどう)によって、十日町~越後川口間は国有鉄道十日町線(とおかまちせん)として開業した。両線は1929年に繋がって全通し、1944年に飯山鉄道が戦時買収により国有化され、十日町線を含めて飯山線となった。
[編集] 飯山鉄道
- 1921年10月20日 【開業】飯山鉄道 豊野~飯山 【駅新設】信州浅野、上今井、替佐、蓮(停留場)、飯山
- 1923年7月6日 【延伸開業】飯山~桑名川 【駅新設】北飯山(停留場)、信州平、戸狩、上境、桑名川
- 1923年12月1日 【延伸開業】桑名川~西大滝 【駅新設】西大滝
- 1925年11月19日 【延伸開業】西大滝~森宮野原 【駅新設】信州白鳥(停留場)、横倉、森宮野原
- 1927年8月1日 【延伸開業】森宮野原~越後外丸 【駅新設】越後田中、越後外丸
- 1927年11月6日 【延伸開業】越後外丸~越後田沢 【駅新設】越後鹿渡、越後田沢
- 1928年10月23日 【停留場→駅】信州白鳥
- 1929年9月1日 【延伸開業】越後田沢~十日町(現在の飯山線の区間が全通) 【駅新設】越後水沢、土市、十日町(国有鉄道既設駅)
- 1930年5月16日 【臨時停留場新設】伊達(土市~十日町間)
- 1931年9月16日 【駅新設】上桑名川(停留場)
- 1931年10月16日 【駅新設】平滝(停留場)
- 1932年5月25日 【臨時停留場名改称】伊達→大黒沢
- 1934年9月26日 【停留場→駅】平滝
- 1934年12月23日 【駅名改称】上境→野沢温泉
- 1935年10月20日 【駅新設】静間(停留場。蓮~飯山間)
- 1936年6月15日 【臨時停留場廃止】大黒沢
- 1937年4月1日 【臨時停車場新設】足滝
- 1937年8月9日 【臨時停車場新設】北外丸
- 1941年9月9日 【停留場→駅】北飯山
- 1942年8月13日 【臨時停車場→駅】北外丸
[編集] 十日町線
[編集] 飯山線(飯山鉄道買収後)
- 1944年6月1日 【買収・国有化】飯山線 豊野~越後川口(83.8km)(十日町線を編入し改称) 【駅廃止】静間(停留場)、上桑名川(停留場)、信州白鳥、足滝(臨時停車場)、北外丸 【駅名改称】信州浅野→信濃浅野、信州平→信濃平、野沢温泉→上境 【停留場→駅】蓮
- 1946年6月1日 【仮乗降場新設】信濃白鳥
- 1950年1月28日 【仮乗降場→駅】信濃白鳥
- 1951年3月1日 【仮乗降場新設】上桑名川
- 1951年10月10日 【仮乗降場→駅】上桑名川
- 1958年8月8日 【駅新設】立ヶ花
- 1960年7月15日 【駅新設】足滝
- 1968年10月1日 【駅名改称】越後外丸→津南
- 1987年3月1日 【駅名改称】戸狩→戸狩野沢温泉
- 1987年4月1日 【承継】東日本旅客鉄道 【貨物営業廃止】全線
- 1997年10月1日 ワンマン運転開始
[編集] 駅一覧
豊野駅 - 信濃浅野駅 - 立ヶ花駅 - 上今井駅 - 替佐駅 - 蓮駅 - 飯山駅 - 北飯山駅 - 信濃平駅 - 戸狩野沢温泉駅 - 上境駅 - 上桑名川駅 - 桑名川駅 - 西大滝駅 - 信濃白鳥駅 - 平滝駅 - 横倉駅 - 森宮野原駅 - 足滝駅 - 越後田中駅 - 津南駅 - 越後鹿渡駅 - 越後田沢駅 - 越後水沢駅 - 土市駅 - 十日町駅 - 魚沼中条駅 - 下条駅 - 越後岩沢駅 - 内ヶ巻駅 - 越後川口駅