JR東海383系電車
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383系電車(383けいでんしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)の直流特急形車両。2006年3月現在、神領車両区に6両編成9本(54両)、4両編成3本(12両)、2両編成5本(10両)の計76両が所属している。
JR東海383系電車 | |
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特急しなの、クロ383形先頭車 | |
起動加速度 | 2.1km/h/s |
営業最高速度 | 130km/h |
設計最高速度 | 130km/h |
減速度 | |
編成定員 | 44人(グ)+311人(普)=355(3M3T)人 44人(グ)+183人(普)=227人(2M2T) |
全長 | 21300(22200,貫通型は21450)mm |
全幅 | 2850mm |
全高 | 3370mm |
編成重量 | 213.5t(3M3T) 141.0t(2M2T) 75.0t(1M1T) |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 直流1500V |
駆動装置 | 三相交流誘導電動機 |
編成出力 | 155kW×12=1860kW |
制御装置 | VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 電気指令式ブレーキ |
保安装置 | ATS-ST |
備考 |
目次 |
[編集] 概要
381系の老朽取替を目的に1994年(平成6年)8月に試作車両が登場、各種試験走行の後1995年(平成7年)ゴールデンウイークより臨時の特急「しなの」で営業運転を開始、1996年(平成8年)12月より量産車が登場し、定期列車で本格的に運用を開始した。1995年通商産業省(現・経済産業省)グッドデザイン賞・1996年鉄道友の会ローレル賞受賞。製造は日本車輌製造・川崎重工業・日立製作所。
381系が日本国有鉄道(国鉄)設計・製造の唯一の営業用振り子式車両であったが、自然振り子式であったことから、カーブに差し掛かってから車両が傾くまでに時間のラグがあり、また同じ車両の間でも傾斜のタイミングや傾斜角度に差があるなど、これが乗り物酔いを起こしやすいと言われており、乗り心地の改善と速度向上のために、制御付き振り子を採用した。また、自己操舵台車技術も取り入れられた。制御装置は東芝製のVVVFインバータ制御方式(GTO素子)、パンタグラフはシングルアーム式とし、これはJR東海の在来線用車両としては初の採用となった。MT比を1:1とし、電動車は全て偶数(下り)向き基本であるが、1M方式を採用したため、偶数形式(382形)は存在しない。最高速度は130km/h、曲線通過速度は最大で本則+35km/h(半径600m以上)の性能である。パンタグラフは車体に直接取り付けられているため、振り子を使用できる区間は381系と同じである。パンタグラフ折りたたみ高さは3890mmであるため、振り子を使わなければ建築限界が中央本線中津川駅以東より小さい身延線や、同線以上に厳しい予讃線の愛媛県内への乗り入れも可能である。保安装置はATS-ST形搭載、ATS-P形は未搭載。最近では313系と同じドアチャイムが流れている車両がある。貫通型先頭車は貫通扉にプラグドアを採用しているが、幌の連結・解放は手動で行う。
車体は軽量ステンレス製無塗装(先頭部は鋼製白色塗装)で窓枠上部はダークグレー、下部はオレンジの帯を巻く。内装は、グリーン車は青色基調、普通車はグレー基調である。自由席車両は乗降扉が2つ設置されている。6両編成の長野方先頭(1号車・クロ383形)にはパノラマグリーン車を連結している。なお、4両編成のグリーン車(クロ383形100番台)は、6両編成への増結用として名古屋方に連結されることがあるため、クモハ383形と同様の貫通型で、パノラマグリーン車ではない。また、2両編成についても増結車として使用されるのが基本であるため、両側の先頭車が貫通構造となっている。基本である6両編成と増結用の4両編成、2両編成の走行距離の差を少なくするため、4両編成+2両編成を使用した定期運用が存在する。
基本的に「(ワイドビュー)しなの」専用の車両だが、季節列車格下げ以前の「ちくま」に使用されていた。また、「しなの」以外にも「ホームライナー中津川」「ホームライナー多治見」「ホームライナー瑞浪」にも使用されている。一時期、輸送力不足となった「セントラルライナー」で暫定的に使用されたことがあるが、本来の専用車両(313系8000番台)の増備により、同列車への充当はなくなった。
鉄道模型の製品化は2006年現在、JR東海の在来線特急型では唯一、行われていない。
[編集] 編成
- 左側が長野駅向き。
- 6両編成・・・A0番台
- クロ383(Tsc1) - モハ383(M1) - サハ383(T1) - モハ383-100(M2) - サハ383-100(T2) - クモハ383(Mc)
- 4両編成・・・A100番台
- クロ383-100(Tsc2) - モハ383(M1) - サハ383-100(T2) - クモハ383(Mc)
- 2両編成・・・A200番台
- クハ383(Tc) - クモハ383(Mc)
[編集] 増結パターン
- 6連運転時
- 4連+2連(A100番台+A200番台)
- 8連運転時
- 6連+2連(A0番台+A200番台)
- 4連+2連+2連(A100番台+A200番台+A200番台)
- 10連運転時
- 6連+4連(A0番台+A100番台)
- 6連+2連+2連(A0番台+A200番台+A200番台)
- 4連+2連+4連(A100番台+A200番台+A100番台)