ベルセルク (漫画)
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『ベルセルク』(Berserk) は、三浦建太郎作のファンタジー漫画作品である。
1989年からヤングアニマル(白泉社)にて不定期連載中。単行本は白泉社からジェッツ・コミックスのレーベルで刊行されている。2006年現在31巻。
「ベルセルク」の題名は、北欧神話の「狂戦士」伝説に由来する。
目次 |
[編集] 作品概要
『ベルセルク』の原型となったのは、三浦建太郎が本作の連載に先立つ1988年、白泉社の雑誌「月刊コミコミ」11月号に投稿した48ページの短編『ベルセルク』(単行本14巻に収録)である。ストーリーは、ガッツの原型となる主人公の剣士が、邪神「ヴアナ」およびその眷族を宿敵と定めて、人外の化物と一戦を交すという筋であり、主人公の背負う過去や烙印の紋章の意匠など一部に相違はあるものの、基本設定や「暗い過去を背負い、大剣を持った隻眼の戦士」というキャラクターなどはほぼ共通している。このことから、同名の短編は本作のプロトタイプと言える。
短編『ベルセルク』は、第7回コミコミまんがスクール準入選作となり、翌1989年になって、世界設定をほぼ共有した連載作品『ベルセルク』の第一作が、「月刊アニマルハウス」(「ヤングアニマル」の前身)1989年10月号に掲載された。ここから、武論尊の原作を得て『王狼』『王狼伝』『ジャパン』の各作を断続的に連載しつつ、平行して『ベルセルク』の不定期連載が始まる。1992年以降は創作を『ベルセルク』のみに絞ってこの一作に専念するようになった。
『ベルセルク』は、1990年代末になって次第に読者を増やしていき、現代漫画屈指の名作に数えられるようになる。2002年、『ベルセルク』は第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞(記事)。単行本は2005年時点で累計2000万部に達する大ヒット作となった。芸能界を始めとして、同作品のファンは多い。
さらに、『ベルセルク』は漫画のみならず、アニメ版「剣風伝奇ベルセルク」や、ゲーム版、トレーディングカードゲーム版など他媒体でも展開を見せている。海外にも、英語やイタリア語など複数の言語に翻訳輸出されている。ただ、出版事情の違いから、原作にある残虐描写や性描写は一部削除・修正されている。
[編集] 世界設定
『ベルセルク』の世界観は、基本的には中世ヨーロッパを下敷きにしたオーソドックスなファンタジー世界、所謂「剣と魔法の物語」である。そこに住まう種族は人間が中心で、世界各地に都市国家を築き勢力争いをしている。人間以外にも小妖精のエルフ、地の妖精ドワーフなどもいるが、彼らは人間世界から姿を消し始めているようだ。一方、超常の力を持つ「使徒」と呼ばれる人外の化物が暴威をふるっており、その上位には、神に近い守護天使「ゴッドハンド」と呼ばれる超越的存在がいる。ゴッドハンドたちはあまりにも強大な力のため、現世に直接姿を現すことはなく、異次元の世界に身を置いている。
本作の主な舞台となるのは覇王ガイゼリックによって建国されて以来千年の歴史を持つミッドランド王国で、ストーリーの大部分はほぼミッドランド国内を舞台とする。「ミッドランド(中つ国)」の名が示すように内陸国であるらしく、海のシーンはほとんどない。東にチューダー帝国と接し、百年の長きにわたる戦争を繰り広げている。さらに東の山脈を越えた向こうには、クシャーン帝国の広大な領土が広がっているらしい。クシャーン帝国はインドの風俗と共通した文化を持つことから、国名はクシャーナ朝、風俗はムガル帝国がモデルとして想定されている。
技術的には、大砲は既に開発されているものの、携帯用の銃器類はまだ一部にしか存在しないという段階で、戦闘は剣・槍・弓矢などが主要武器となっている。
ファンタジーの常套手段である魔法に関しては、少なくとも「断罪篇」まではまったくと言ってよいほど出てこないが、「千年帝国の鷹篇」以降、魔女と呼ばれる者が登場して、様々な魔法を駆使する。ただ、他のファンタジー作品に見られるような、炎や雷撃を飛ばすなどといった形ではなく、幽界に干渉して精霊などを使役し、間接的に現世に影響を与える、という呪術的なものが中心である。
[編集] ベルセルクのルーツ
『ベルセルク』には様々な先行作品の影響が指摘されている。もっともよく指摘されるのは、悪魔と神の闘争を描いた永井豪の代表作『デビルマン』であり、両作品はしばしば並べて語られる。絵柄の面では、重厚に線を重ねるスタイルが『北斗の拳』などに見られる原哲夫の筆致と共通している(ガッツの性格・服のイメージ・髪型など他にも髑髏の騎士はラオウ・カイオウの影響が見受けられる)。なお、『北斗の拳』原作者の武論尊は、かつて『王狼伝』などで三浦建太郎ともコンビを組んでおり、彼自身「三浦の絵は原と同じくマッチョ系」という共通性を認める内容のコメントを出している。
作中に登場する使徒(使徒もどき)やゴッドハンドらの異形のクリーチャー造形は、『エイリアン』などH・R・ギーガーの影響が非常に強い。尤もゴッドハンドに関しては、映画『ヘルレイザー』の登場人物が直接のモチーフとなっている。他にヒエロニムス・ボッシュやエッシャーの幻想的な絵画もモチーフとして指摘されている。
また三浦は栗本薫の大長編ファンタジー作品『グイン・サーガ』の熱心なファンであることを公言しており、グリフィスのモデルは『グイン』に登場する美貌の策士ナリスから来ているという
それ以外にも、ガンダムの台詞のパロディのほか、スターウォーズネタ、ドラえもんネタなど各種のパロディを好んで使っている。こうした遊びは妖精パックの2頭身化時(栗パック)時に頻出する。
- 参考リンク:Berserk Chronicles
[編集] ストーリー
身の丈を超える長大な剣を自在に操り、「使徒」と呼ばれる人間ならざる者を屠る「黒い剣士」ガッツを主人公とする大河ファンタジー。ガッツはある宿命に憑りつかれて、狂戦士のごとく大剣を振るい、闇にうごめく化物どもと死闘を繰り広げる。その目的は、無為に殺された仲間たちの復讐と、大切なものを護るということ。二つの重荷を背負い、五人の守護天使ゴッドハンドを探し求めるガッツは、その下に従う人外の存在「使徒」との闘いの中で、運命に翻弄されつつも必死にあがく。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 黒い剣士(1 - 3巻)
いわば序章。各地で使徒狩りに奔走する「黒い剣士」ガッツは、五人の超越的存在ゴッドハンドを追い求めていた。ガッツはある町を荒らす盗賊どもから妖精パックを助けた。これを一つの契機として、ガッツはコカ城に君臨する盗賊の首領、そして魔女狩りを繰り広げる「伯爵」といった使徒と死闘を繰り広げる。伯爵の正体は巨大なナメクジ型の使徒であった。ベヘリットと伯爵を軸に、ガッツとゴッドハンドの因縁が語られる。
[編集] 黄金時代(3 - 14巻)
序章から時をさかのぼり、ガッツの幼年期から「蝕」におけるゴッドハンドとの出会いまでを描いたもので、『ベルセルク』で最も評価の高い章である。ガッツは母親の骸のもとで死にかけたところを拾われ、傭兵部隊の中で虐待を受けつつも戦士として成長していく。ある事件をきっかけに傭兵部隊を出奔して一匹狼の傭兵となったガッツは、戦いの中で伝説になりつつある傭兵団「鷹の団」の団長グリフィスと出会い、入団するが…クライマックスで、『ベルセルク』作中の暗転ともいえる「蝕」の狂宴が繰り広げられる。
[編集] 断罪篇(14 - 21巻)
ガッツは恋人キャスカと別れ、鷹の団を裏切ったグリフィスと因縁の対決を果たすために、使徒狩りの旅に出る。ここで1 - 3巻以降に時系列が移り、伯爵を倒した後のガッツと使徒(あるいは使徒もどき)との戦闘が描かれる。より正確に表現するならば、3巻後半~14巻前半がガッツの成長物語とすると、ここから直接続くのが1巻~3巻前半の話で、14巻後半からは3巻以降の出来事が描かれており、この順で話が繋がっているのである。 断罪篇は以下の3章、ロスト・チルドレンの章、縛鎖の章、生誕祭の章からなる。
[編集] ロスト・チルドレンの章
「蝕」の悪夢から二年後、伯爵を斬ったガッツは「霧の谷」近くで盗賊たちに捕えられていた少女ジルを助ける。ジルの住む村は「妖精」の大群に襲われ、家畜や人々を喰われていた。ガッツとパックはその風貌から犯人と疑われてしまう。この事件の陰には、かつて妖精にあこがれていた彼女の幼な友達、ロシーヌがからんでいるらしいが・・・ この章では”仲間はずれのピーカフ” と言うこの村に伝わるおとぎ話が、劇中で起こる事件と交錯するように語られる。
[編集] 縛鎖の章
霧の谷の一件が片付いたと思ったのも束の間、満身創痍のガッツのもとにファルネーゼ率いる法王庁所属の聖鉄鎖騎士団が介入してきた。彼らは子供の死体を見て異様の念を抱き、そしてその場に居合わせた最も怪しい人物であるガッツを「信仰にかかわる異端の存在」とみなし、捕縛しようとする。
[編集] 生誕祭の章
飢饉、疫病にあえぐ世界中の人々が、同じ夢の中に予兆を見た。世界を覆いつくす真の闇の中に一筋、光り輝く鷹が闇を切り開き、希望を見せる。そして、「盲目の羊の集う聖地」に求めし者が来ると予言が残された。
ガッツは、夢の中でキャスカが魔女狩りに遭い火あぶりにされるビジョンを見、危難を予感して「断罪の塔」アルビオン教会を目指し旅に出る。しかし、悪名高い法王庁の異端審問官、モズグスも同じ断罪の塔に滞在していた。
[編集] 千年帝国の鷹篇(22 - 巻)
「ミレニアム・ファルコン」。前編を受けて、受肉したグリフィスが新生鷹の団を率いてクシャーンに蹂躙されたミッドランドの大地を駈ける。一方、ガッツはキャスカやファルネーゼらを引き連れつつ、グリフィス配下の強大な力を誇る使徒たちと死闘を繰り広げる。これまではゴッドハンド絡みを除けば剣・肉体による物理戦中心で、いわゆる「魔法」というものは前面に出てこなかったが、見習い魔女シールケが登場することで、魔法の力も本格的に物語に関わるようになった。
[編集] 聖魔戦記の章
受肉したグリフィスは不死のゾッドを引き連れ、リッケルトとガッツのもとを訪れた。両者はしばし言葉と剣を交わしたのち去る。グリフィスはクシャーン帝国に蹂躙されるミッドランド王国を救済するために、従属する使徒たちを率いて「鷹の団」を再編成する。破竹の勢いでクシャーンの軍勢を破り、グリフィスは救世主としてあがめられるようになった。一方ガッツは…
ミッドランド王国の王都ウィンダムはクシャーン帝国の手に落ちて、霧が立ち込め奇怪な獣人の支配する魔都と化した。「恐帝」の異名をとるガニシュカ大帝は、都の中で魔の技術を用いたおぞましい人体改造の試みを繰り広げる。
[編集] 鷹都の章
「ファルコニア」。エルフの国、西の島を目指すガッツ一行は、法王庁圏屈指の貿易都市ヴリタニスの城門をくぐった。一行は海を渡るための船を求めるが、そうやすやすとは手に入らない。
[編集] 総合目次
キャラクターI | キャラクターII | 用語 |
---|---|---|
[編集] キャラクター
[編集] ガッツと仲間たち
- ガッツ (Guts)
- 「黒い剣士」の異名を持つ隻眼隻手の剣士。本編の主人公であり、タイトルの「ベルセルク(狂戦士)」は彼を指している。怨敵ゴッドハンドを求めて各地を彷徨しつつ、心ならずも各地に災厄を運び込んでいる。心の奥底に、狂暴な破壊衝動を体現する「闇の獣」を抱え、常にその囁きに苦しめられている。
- 身の丈よりも長大で分厚い大剣「ドラゴン殺し」を佩び、肘から先を失った左腕には大砲が仕込まれた鋼鉄の義手を装着、黒い剣士の異名が表す黒い甲冑とマントを身に纏う。又、連発式のボウガンや投げナイフ、炸裂弾など、使徒と戦う為の様々な武器を携帯している。肉体は極めて屈強で、「ドラゴン殺し」を片手で振り回し、総重量100kgを超すであろう装備類を身につけたまま軽快な身のこなしをしてみせる。黒髪黒目で精悍な顔つきだが、2年間夜も満足に眠れない生活を続けた為、目の下には隈が浮き出ている。後に霊樹の館で「狂戦士の甲冑」を身に着けて戦った事で満身創痍となり、前髪の一部が白髪化、味覚障害、色覚障害などが表れている。
- 戦地で母親の骸の下に産み落とされ、傭兵団の長であるガンビーノの愛人シスに拾われた。シスは数年後、病死する。以後、傭兵団の中でガンビーノを養父として過ごし、幼児期から戦場に出るが、ある日、はずみでガンビーノを殺してからは傭兵団を飛び出して凄腕の剣士として戦地を転々としていた。
- 戦争に参加して武勲を挙げていく中で、鷹の団とグリフィスに出会いによって運命の転換点を迎える事となる。ガッツは鷹の団の旗下ではじめて「仲間」と呼べる存在を得、安らぎすら覚えるようになった。団の中でも頭角をあらわし、戦場にあって最も危険な役割、殿(しんがり)や斬り込み隊長を務めるようになる。鷹の団はグリフィスの的確な指揮のもと、連戦連勝を誇り、ミッドランド王国の正式な騎士団に登りつめたが、ガッツはグリフィスと対等に自らの夢を追うため、鷹の団を離れることを決意した。
- ガッツがグリフィスのもとから離れたことで彼らの運命は急転直下、グリフィスの暴走を契機として鷹の団は逆賊として追われ、流浪の果てに、蝕へと巻き込まれる。
- グリフィスは魔王フェムトに転生し自分の夢を実現するために鷹の団を生贄として奉げた。団員は魔物たちに無残に虐殺され、ガッツも左腕と右目を失い、目の前で最愛の恋人・キャスカをグリフィスに凌辱される。
- 「髑髏の騎士」に辛くも救い出され、たった二人生き残ったガッツとキャスカだったが、キャスカは極限の恐怖で発狂していた。しかも、彼女の胎内に宿っていた子供は魔に取りつかれ、魔物となって姿を消してしまった。
- 死の淵から這い上がったガッツは、自分から全てを奪ったグリフィスを終生の宿敵として追い求め、幾度も遭遇した死地を執念で乗り越えていく。ちなみに、作品中の時間の流れを追っていけばガッツの年齢は22歳前後(31巻現在)と推定できる。
- パック (Puck)
- 好奇心いっぱいのエルフ(本来の意味での、妖精)。荒くれに囚われていたところをガッツに救われ、それを機縁に延々と付きまとう。元々エルフの楽園に住んでいたが、「飽きちゃった」ので世界に飛び出したはぐれエルフでもあり、エルフの仲間たちを探している。羽精(ピスキー)という風の精霊の一族。
- 旅芸人一座(ジュドーも一員と推測される)にくっついて世界を旅して回っていたが、ごろつき達に捕まり、ダーツの標的として遊ばれていたところをガッツに助けられ、行動を共にするようになる。
- 主な攻撃技は全身を強力に光らせて相手の目を眩ます「パックスパーク」と、栗のイガで作った「妖刀ざっくり丸」による「無明殺苦死(さっくし)剣」で、自らの流派を「エルフ次元流」(段位は七段)と称している。羽根の鱗粉には強力な治癒作用があり、重傷を負って窮地に陥ったガッツを何度も救った。ガッツの鞄を住処にしている。すらりとした性別不詳の体型(実際にも性別はない)だが、ギャグ形態では二頭身の「くりパック」になる。口調は少年っぽい。
- ウィリアム・シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』に出てくる妖精パックに由来する。
- キャスカ (Casca)
- 剣士。鷹の団の姉御的存在で、女でありながら実力はガッツ、グリフィスに次ぐ。かつては貧しい家の生れで、糊口をしのぐため貴族に売られたが、乱暴されかけたところをグリフィスに助けられる。ただ救出するのではなく、剣を差し出して自分の手で決着をつけさせたグリフィスに、彼女はついていくことを決心し、鷹の団に入団した。
- 途中から入団してきたガッツとはしょっちゅう反発していたが、次第に離れがたくなり、恋仲となる。
- 「蝕」の狂宴の中で、ゴッドハンド・フェムトに転生したグリフィスに凌辱され、精神に異常をきたし記憶喪失と幼児退行に陥った。
- 胎に魔の子を宿し、また触の際に刻まれた烙印の存在もあってか闇の存在を惹きよせてしまうため、魔女狩りの標的となった。
- ファルネーゼ (Farnese)
- 大富豪の名門ヴァンディミオン家の令嬢で、物質的には恵まれた身分にあったが、親からまったく愛情を向けられず、わずかにセルピコを友として持つだけで孤独な幼年時代を送った。そのため、非常に屈折した、陰鬱な精神を持つようになる。
- 法王庁大審院の末席に就き、聖鉄鎖騎士団の団長に任命され、真摯な宗教心に生きるが、そのため硬直した思考様式にはまり、最初のうちは教条的な言動しかできなかった。しかし、ガッツとの出会いによってこれまで知らなかった魔の世界を知り、それをきっかけに少しずつ視野を広げ柔和になっていく。
- 断罪の塔以降、騎士団を抜け僧籍を捨てガッツの従者になり、キャスカのお守り役を買って出ている。
- 魔除けの効果のある銀の鎖帷子と銀のナイフを授けられる。また、舞踏会での騒動の際には棘(いばら)の蛇も授けられる。
- シールケに魔法を教わっている。
- セルピコ (Serpico)
- ファルネーゼの従者としてヴァンディミオン家に買い取られ、彼女に仕えている。聖鉄鎖騎士団に所属していた時は紋章官の職にあったため、世界各国のあらゆる紋章に通じている。
- 目の前で母が異教徒として火刑に処され、しかもその現場の責任者がファルネーゼであった。そのため、複雑なトラウマを背負っている。実はファルネーゼとは異母兄妹。
- ファルネーゼと共に騎士団を抜けガッツ一行の従者となる。料理や洗濯など家事が一行の中で一番上手。
- 貴族としては奇抜な振る舞いで、他の貴族との問題を頻繁に起こす主人の行いを穏便に処理するために身に着けた剣技や知略(処世術)は相当なもので、そのセンスの高さはガッツも認めたほど。
- ガッツを相手に様々な詭計をもって苦戦させたこともある。
- シルフェ(風の元素霊)の剣とフードを授けられ、ここでもいち早くシルフェと心を通わせ、その能力をかなりのレベルで引き出すなど、魔法的な才能の高さも見せている。
- イシドロ (Isidro)
- コソ泥を働いていたところをクシャーンの斥候に襲撃され、危ういところをガッツに助けられた英雄志願の少年。スリと石投げを得意とし、キャスカ救出時大活躍した。ガッツの強さに惹かれ、剣の師匠として特訓を要求する。鷹の団の切り込み隊長に憧れて剣の道を志すが、ガッツがその切り込み隊長だった事に気付いていない。
- イーノック村での獣鬼退治の際自分の力がちっぽけなものであることを自覚し焦燥している。
- パックよりエルフ次元流免許皆伝を得る。パックとともに作中のギャグ担当でもある。
- シールケとは犬猿の仲。シールケの胸をさわったため、頭の中を猿に変えられたことも。
- サラマンデル(火の元素霊)の短剣を授けられた。この武器を用いて魔法に集中するシールケを攻撃しようとした幽鬼トロールを、背の低さを利用した剣術で葬っている。これが剣術による初手柄である。ガッツの忠告により、背の低さを利用した剣術を身に付けようとしている。
- 剣の腕はまだまだだが、投擲に関しては両手で石を交互に投げて木に留まった二羽の鳥に命中させるなど相当な腕前である。そのため、幽鬼トロールにダメージを与える投擲武器を駆使して、トロールを足止めした。
- ミュールとも仲が悪く、ヴリタニスで出会って早々に喧嘩をした。シールケが言う様に人を挑発することは天才的。
- 名前は「石投げの泥棒」からと言われているが、この舞台のモチーフとなっている西洋(特にラテン語圏)ではそれほど珍しい名前でもなく、後付の理由と推測される。
- シールケ (Schierke)
- イバレラを連れた魔女見習いの少女。四大の力を借りて強力な魔法を使い、ガッツたち一行に呪的援護をかけている。今までに呪物や呪文を使った結界、自身の頭髪を使った矢、念話を使っている。
- イシドロとは犬猿の仲。何かとあれば言い争う。
- ガッツに淡い恋心を抱いている様子。年齢は不詳。
- ソーニャとはヴリタニスで意気投合する。彼女に共に来るよう誘われるが断った。
- 魔女ゆかりの地の一つである、ドイツにあるハルツ山地の最高峰ブロッケン山麓の地名に由来する。
- イバレラ (Evarella)
- シールケのお目付け役の女性型エルフ。生意気で人をちゃかす性格。パックと同じく羽精(ピスキー)の一族。
[編集] 新生鷹の団
- グリフィス (Griffith)
- 美貌の貴公子然とした騎士。鷹の団のリーダーであり、ガッツと対となる主人公格でもある。平民の出でありながら「国」を持つという巨大な夢を持ち、兵法と美貌、様々な権謀術数を駆使して、あらゆる戦争で常勝無敗を誇り、一介の傭兵団長からミッドランドの貴族階級に列されるまでにのし上がった。鷹の団は正式な騎士団である「白鳳騎士団」とされ、相応の身分も与えられた。
- グリフィスは傭兵時代のガッツと出会い、決闘に勝利することでガッツを手中に入れる。しかし、ふとしたことでガッツを失ったグリフィスは、自暴自棄に陥ってミッドランド王女と密通し、そのかどで牢獄に閉じ込められて拷問を受け、再起不能となる。
- グリフィスはガッツら鷹の団の残党の働きで牢獄から救助されたが、そこで覇王の卵、真紅のベヘリットが結んだ因果により、「蝕」が始まる。「降魔の儀」の中でグリフィスは己の夢を実現するために、ガッツもろとも鷹の団を生贄として「捧げる」ことを承諾した。こうして、第五のゴッドハンド、闇の翼フェムトに転生した。数年後、彼は受肉し現世に降臨することになる。新たに人の体を得たグリフィスは、ゾッドやグルンベルドら猛者の使徒を率いて新生鷹の団を結成し、戦場を駆け巡っている。
- グリフィスの人物造形には、作者自身がファンという栗本薫の『グイン・サーガ』に登場するナリスの影響が強い。
- ゾッド (Zodd)
- 「不死の(ノスフェラトゥ)ゾッド」の異名を持つ使徒。常に強者を求めて各地を放浪し、百年以上の間、戦場で存在の噂が絶えず、傭兵たちの間では長らく伝説的存在であった。死んだという噂が流れるたびに戦場に姿を現し、虐殺を繰り広げていくため、「不死のゾッド」という二つ名を得た。真実、「三百年以上にわたる殺戮」を重ねてきたという。強者との戦いに何よりも価値を見い出し、自らと対等に渡り合う実力を持つガッツや髑髏の騎士を宿敵と認める。反面、人を喰らう事には余り興味を示さず、「蝕」の場に居合わせたのも狂宴に参加する為ではなく、ゴッドハンドを狙って現れるであろう髑髏の騎士と戦う為であった。
- 通常は極めて頑健な体格をした闘士タイプの人間で、身幅が広い大振りの刀を好んで使用する。真の姿は牛の角と獅子の口、蝙蝠の翼を持った人型の猛獣というキマイラのような化物である。特殊な力や使徒もどきを生み出す力は無く、自らの肉体のみを武器に戦うタイプの使徒だが、その肉体の能力は極めて高い。使徒の中でも最上位に位置する戦闘能力を持ち、並みの使徒を楽々と屠る髑髏の騎士とも対等に渡り合う。
- 鷹の団にいたガッツとグリフィスの前に姿を現し、数合の激戦を繰り広げた後、ガッツに対し「決して逃れられぬ死が訪れる」の予言を残して去る。その後はフェムト降臨の「蝕」の場において、降魔の儀に乱入しようとする髑髏の騎士と一騎打ちを演じた。その時は、髑髏の騎士の突破を許してしまったものの、勝負自体は決着つかずであった。使徒の中でもずば抜けた戦闘狂である一方、忠実なるゴッドハンドの使徒でもあり、ドルドレイ要塞の戦いにおいて鷹の団に手を貸したり、グリフィスを襲ったワイアルドを始末したりしている。現在は受肉したフェムト=グリフィスに従い、新生鷹の団の一員となっている。
- 二つ名「ノスフェラトゥ (Nosferatu)」はルーマニア語で「不死者」を意味し、ルーマニアにおける吸血鬼の総称であるらしい。ドラキュラ映画の元祖『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年)がよく知られている。肉体は既に死んでいながら、不死のために死という救済を得ることができない、永遠に呪われた怪物―ヴァンパイア(吸血鬼)の呼び名として、ホラー・ファンタジー作品ではよく引かれる。
- グルンベルド (Grunberd)
- 新生鷹の団幹部で、極めて巨大な体躯を誇る使徒。大砲を仕込んだ楯を持ち、武器として巨大な戦槌をふるう。人間の状態で既に並の使徒をしのぐ膂力を誇る。鋼玉の結晶を鎧う巨大な火竜に変身し、狂戦士の甲冑を着込んだガッツと死闘を繰り広げる。
- 北方民族特有の真紅の頭髪を有し、かつてチューダーの進攻から北の小国を守りぬいたその苛烈な戦い方から「炎の巨竜」の字名がついたとされる。
- 戦死したと伝えられていたが、使徒に転生し、グリフィス率いる新生鷹の団の傘下に馳せ参じた。
- アーヴァイン (Arvine)
- 新生鷹の団幹部で卓越した弓の名手。一つ眼のついた奇怪な大弓を引き絞り、同時に五本の矢を射て複数の敵を仕留めることができる。目に瞳孔がない。元は狩人だったらしく、普段は単独行動を好みリュートを弾くこともある。使徒かどうかはまだ不明。
- ロクス (Locus)
- 使徒にして、新生鷹の団戦魔槍騎兵隊隊長。
- 巨大な馬上槍と形の良い甲冑を装備し、使徒形態はこれらが融合し、金属光沢を放つケンタウロスのような姿となる。
- 戦場で数々の武勲と御前試合・決闘での無敗ぶりによって「月光の騎士」と呼ばれ、生きながらにして伝説となった英雄。一定の主は持たなかったが、受肉後のグリフィスに付き従うようになった。
- 王都でフォスたちを助け、ガニシュカと直接対決するが、全てはシャルロット救出のための陽動であった。
- ラクシャス (Rakshas)
- 「夜魔」とも。奇妙な仮面をかぶり、黒いマントで全身を覆っており、正体は不明。人間の体をしているかどうかも疑わしい。バーキラカ一族から追放された過去を持ち、現在は受肉したグリフィスに従って新生鷹の団の一員となっている。ターバサの猛攻を軽くかわす体術を持つ。
- 「ラクシャス」は梵語でラークシャサとも言い、『リグ・ヴェーダ』にも登場する悪鬼「羅刹」のこと。のちに仏教に取り込まれ、守護者である十二天の一、羅刹天とされた。
- ボルコフ (Borkoff)
- 鱗を持った怪獣型の使徒。グリフィス受肉後の新生鷹の団では、ロクス率いる戦魔槍騎兵隊に所属しており、ガニシュカ大帝の支配するウィンダムへシャルロット救出のため攻め入った際、門扉を体当たりで破壊した。かつて「蝕」のクライマックスにおいてキャスカがフェムトに凌辱された際、飛びかかろうとするガッツの左腕に噛み付き、動きを止めたのはこの使徒らしい。
- ソーニャ (Sonia)
- クシャーン軍に占領されたミッドランドの都市、シェトで奴隷として連行されていった市民たちの中にいた。両親を焼き殺されたため気が触れたと思われていたが、千里眼や念話のような特異な能力を持ち、受肉したグリフィス率いる新生鷹の団の傘下に入ってからは、「鷹の巫女」としてグリフィスを補佐し、側に仕えている。
- 可憐な容貌と華奢な身体の美少女ながら、狂暴な戦魔兵とも対等に付き合い、平然と人の死をも扱う、無邪気な残酷さを備えている。人間社会の身分や権威、善悪の規範などに縛られておらず、しばしば非常識とも言える言動をする。
- ヴリタニスでシールケと出会い、意気投合した。彼女を仲間に誘おうとするも断られる。
- ミュール (Mule)
- ミッドランド南方にある、ルミアスの若き領主。ルミアス自体は小さく、王宮に上がることも許されていない身ではあるが、忠誠心は高い。
- 領民を助けようと、クシャーン軍と戦っているところを新生鷹の団に助けられた。以後、彼らと共に行動する。
- 頼りなく見えるが、剣の腕は一流。また、ソーニャのお目付け役でもある。
- 真面目な性格で、ふざけたところのあるイシドロとは仲が悪い。
- シャルロット (Charlotte)
- ミッドランドの姫君。文字通りの「箱入り娘」で、国王にとっては何物にも替えがたい愛娘であったが、彼女自身は父親をうとましく思う。グリフィスに惹かれて密通し、その現場を父王に見咎められて城になかば幽閉される。その後、父親が劣情と屈辱から彼女を襲ったため、会うことも拒絶するようになった。
- ミッドランド国王の崩御に乗じてクシャーンが攻め込んだため、生死不明となったが、クシャーン恐帝のもとに閉じ込められ、婚姻を強要されていた。現在は、グリフィスにより『再生の塔』から救出され、新生鷹の団に身を寄せている。
- アンナ (Anna)
- シャルロットの侍女。シャルロットの身を案じ、常に側にいる。シャルロットに故郷の味であるバームクーヘンの作り方を教えた。
[編集] ゴッドハンド
- ボイド (Void)
- ゴッドハンド(GodHand)の主導者的存在。「天使長」とも呼ばれる。肥大化した脳髄が露出した頭と、鼻と口周辺の皮膚が剥がされ、目を糸で縫い合わせられた、特異な容貌を持つ。腕は異様に長く、手の指は六本ある。「蝕」の儀式を執り行い、彼の手でガッツら鷹の団団員に烙印が刻まれた。
- 髑髏の騎士はゴッドハンドの中でもとくに彼を宿敵と目している。聖アルビオン寺院で覇王ガイゼリックに幽閉された賢者が転生した存在と推定される。
- 空間を操って歪曲させる能力を持ち、命を狙って襲撃してきた髑髏の騎士の剣を、空間反転させたクラインの壺状の力場で撥ね返した。
- 魔名「ボイド」の由来は、英語で「真空」「空虚」などを意味するvoidから。
- なお、他のゴッドハンドの名前はSF小説のタイトルに由来するものが大半だが、「ボイド」にも、フランク・ハーバートのSFに『ボイド―星の方舟』 (Destination:Void) がある。ただし関連性は不明。
- スラン (Slan)
- 美貌の魔女然としたゴッドハンド。コルセット状の外皮を纏う以外は全裸。メデューサのごとき蛇を思わせる髪型(ただし蛇の頭ではない)と、蝙蝠の翼を持つ。髑髏の騎士から「胎海の娼姫」と呼ばれ、クリフォトの領域を支配している。淫魔でもあり、サバトの炎の中に影として現われた。ゴッドハンドの中で唯一、心に人並み外れた憎悪と執念を抱くガッツに執着(気に入って)しており、のちにはトロールの臓物に宿って降臨し、ガッツの前に姿を現した。ガッツから一太刀浴びせられた後、ガッツに口づけし「また会いましょう」と言い残し、姿を消した。
- 魔名の由来は、A・E・ヴァン・ヴォークトのSF『スラン』から。
- ユービック (Ubik)
- 眼に眼球の変わりに眼鏡のような物を埋め込まれた短躯のゴッドハンド。最も饒舌で常に嘲笑的な態度をとる。時空を操って過去の映像を再現したり、深層意識のビジョンを再現する能力があり、伯爵の過去をガッツに晒し出した。
- 魔名の由来は、フィリップ・K・ディックのSF『ユービック』から。
- コンラッド (Conrad)
- 畸形の胎児のような奇怪なフォルムを持つゴッドハンド。現世には疫病を運ぶドブネズミの集合体として現われたこともある。ユービックと対照的にゴッドハンドの中では最も寡黙。
- 魔名の由来は、ロジャー・ゼラズニイのSF『わが名はコンラッド』から。
- フェムト (Femto)
- 鷹の団団長グリフィスが、降魔の儀でガッツら鷹の団を贄として奉げることで転生した五人目のゴッドハンド。最後のゴッドハンドであるらしい。人間時代に身につけていた、鷹の頭を模した兜をそのままに被り、漆黒の甲冑のような外皮を纏っている。「渇望の福王」「闇の翼」の異名を持つ。蝕の数年後、ガッツとキャスカの間に出来た、まだ形も成して無い胎児に「受肉」し、ふたたびグリフィスの肉体を纏って現世に降り立つ。その後は、ゾッドやグルンベルドらを率いて新生鷹の団を結成し、クシャーン軍を蹂躙した。
- 魔名「フェムト」はSI接頭辞の一つで、「ピコ」の下、10-15を表す。この名前は、SF小説に由来を持つ他のゴッドハンドと比較すると明らかに異質である。
[編集] 使徒
- 盗賊の首領
- コカ城を根城にして盗賊たちを率い、街の住民を脅して人質を要求していた。普段は不気味な甲冑を纏い、正体を現すと人蛇の頭を持った怪物に変身する使徒。人間形態は酷薄な貴人といった風貌である。人肉を好んで喰らうが、他の使徒とは違ってテーブルマナーを心得ている。ガッツのドラゴン殺しで体を切り裂かれた挙句、焼き殺される。
- 伯爵
- 魔女狩りを繰り広げていた地方領主。愛娘テレジアがいる。もとは領民の利益を優先し、外敵には冷酷にふるまう勇敢かつ精悍な地方領主であったが、妻が邪教に染まってサバトの儀式に耽る姿を見て衝撃を受け、その場にいたサバト参列者を皆殺しにした。この時ベヘリットを所有していたため、深い絶望が引き金となってゴッドハンドを呼び出してしまう。彼は、妻を贄として奉げることで使徒に転生した。
- 変身後は、巨大なナメクジ状の姿になり、ガッツと死闘を繰り広げる。ガッツに敗れ、死に瀕するも生命への執念により再度ゴッドハンドを呼び出したが、この時は愛娘を生贄に奉げることができず、そのまま地獄の虚無に飲み込まれて消滅した。「蝕」の際にピピンを殺した使徒でもある。
- 伯爵の死後、テレジアはガッツを「父殺し」として激しく憎むようになる。
- ワイアルド (Wyald)
- ミッドランド王国の恥部、黒犬騎士団団長。これは正規兵ではなく、囚人部隊である。甲冑千切りのバーボを瞬殺して力を誇示し、騎士団の団長にのしあがる。「エンジョイ&エキサイティング」をモットーとし、その絶大なパワーとカリスマで荒くれどもを恐怖支配した。百年戦争中は鷹の団にも劣らぬ活躍を見せたが、領地内であろうと構わず村を襲い掠奪するなど乱暴狼藉の限りを尽したため、疫病神として忌まれる。
- 人間形態はゾッドに匹敵する闘士で、正体を顕すと胸部に巨大な一つ目と口を持った大猿型の怪物に変身する。ゾッドとは旧知の仲であるらしい(陰では馬鹿にしていた節がある)。
- ミッドランド王国から逆賊として追放された鷹の団を追いつめるが、ガッツとの死闘で重傷を受けて瀕死状態に陥ってしまう。生命への執念から、グリフィスを人質に取って助かるためにベヘリットを探るも、そこに乱入したゾッドによって制裁され、胴体を真っ二つに折られた。正体はみすぼらしい老人であった。
- ロシーヌ (Rosine)
- 「霧の谷」に住む、蛾の羽根を持つ妖精の姿をした使徒。飛行能力は高く、最大速度は音速を超える最速の使徒。おそらく劇中で最速の飛行物体である。人間時代はジルの幼馴染で、妖精の物語を自分の身になぞらえていたが、両親から虐待を受けたため、コレクションの中のベヘリットがそれに呼応し、彼女は両親を生贄に奉げて使徒に転生した。その後は、霧の谷に理想の楽園を作り上げるために街の子供たちをさらい、繭の中で蜂を基調とした妖精もどきに変身させた。大人は昆虫型の使徒もどきとして使役している。
- 自分の楽園を滅茶苦茶に破壊したガッツを憎悪し、死闘を繰り広げる。巨大な蛾に変身し、吻を伸ばしたジェット推進による高速飛行で、体当たりや超音速による衝撃波などを駆使してガッツ(躊躇いもあったが)を苦戦させたが、最後はドラゴン殺しで体を切り裂かれ倒された。
- 完璧な世界の卵
- 一生をほとんど日の当ることのない聖地アルビオンの地下で過ごし、人に知られぬまま死体に埋もれていった者が、このまま消えてしまうことに耐えられず、転生した使徒。その際ゴッドハンドに捧げたのは特定の人間ではなく、「(彼が醜いと思っている)今現在の世界」であった。この事から使徒に転生する際の生贄は人間である必要は無いようである。容姿は卵に奇妙な手足のついた、ベヘリットを擬人化したような姿をしている。自身の戦闘力は低く、素早い動きと「人間を使徒もどきにする能力」以外にこれといった能力は無い。触手で刺すことによって人をその信念に応じた能力を持つ使徒もどきに変身させることができ、山羊頭のサバト主宰者や、モズグスとその弟子を使徒もどきに変えた。
- 「完璧な世界」を孵化させる運命にあり、受肉したグリフィスの憑代として彼を生み出す。最初から死ぬ運命を前提に転生した、劇中では珍しい使徒である。
- ガニシュカ大帝 (Emperor Ganiska)
- クシャーン帝国を参照。
[編集] 鷹の団
- ジュドー (Judeau)
- 鷹の団の古参の一人。入団時期は千人長の中でも最古である。多才で目端が利き、参謀としての役割を果たしていた。非常に器用で、二振りの剣を使いこなす。特に投げナイフを得意とし、百発百中の腕前を誇っていた。ガッツが扱う投げナイフは彼から教わったものである。入団前は旅芸人の一団に属し、エルフ(パックと思われる)と顔見知りであった。そのエルフから譲り受けた治癒効果のある鱗粉によって何度も命を救われており、百人切りによって満身創痍となっていたガッツもその世話になった。童顔だが、加入時期から考えるとガッツよりも年上であり、グリフィスと同等か、それ以上の年齢であったと思われる。
- 器用であるが故に突出した能力が無く、あらゆる物事において一番にはなれなかったというコンプレックスを持つ。そのために彼は一番になれそうな人物の下に付き、叶わぬ夢を果たそうと決意する。その対象こそがグリフィスであった。
- ただ唯一、恋愛に関しては不器用であり、密かにキャスカへの恋心を抱きながらも、ガッツに想いを寄せるキャスカの心情を察し、身を引いていた。蝕に際しては、最後までキャスカを庇いながら奮闘するが、彼女への告白は果たされぬまま、使徒の手にかかって死亡した。
- ピピン (Pippin)
- 鷹の団随一の巨漢で、蒙古系を思わせるような容貌と髪型。寡黙でありながら圧倒的な存在感がある。巨大なハンマー状の武器を操る。鷹の団ではガッツと並んで白兵戦のメインであった。
- かつて鉱山で働いていた過去を持ち、グリフィス救出行ではその知識を生かして一行の命を救った。「蝕」の中で、ジュドーとキャスカをかばいつつ使徒の手にかかって倒れる。
- 名前の由来は、世界史上にシャルルマーニュの父小ピピンなど同名の人物がおり、そこから採られたのであろう。
- リッケルト (Rickert)
- まだ十代前半だが、こう見えて鷹の団の最古参の一人。最後まで鷹の団にいた団員の中で、唯一「蝕」に遭わずに生き延びた。グリフィス救出の際、追われて負傷していた鷹の団の宿営地から水を汲むために離れた間に団が使徒たちの襲撃に遭い、仲間を皆殺しにされたのである。そのため、ガッツの告白まで鷹の団に降りかかった運命についてほとんど知らないままであった。
- その後、身を寄せた鍛冶屋ゴドーのもとに弟子入りし、エリカとともに暮らす。器用な手先と発明の才を生かして、幾つかガッツの武装を作った。ガッツの左腕の義手に仕込まれた大砲も彼のアイデアである。ゴドーの跡を継ぎ、鍛冶屋になる。仲間を使徒に襲われた過去からエルフのような人外の存在が苦手で、パックを正視するのも辛そうなそぶりを見せる。一時、旅芸人の世話になった際にガッツより先にパックと出会っている。
- モデルは、三浦の高校からの友人。森恒二(ホーリーランド作者)と三浦の対談によれば、学生時代「ヤゴくん」というあだなの共通の友人がおり、最初はひ弱な体だったが森にボクシングを教わり強くなったというところからモデルにされた。ホーリーランドの主人公も同じく彼がモデルである(2006年発売の『ホーリーランド総集編1』巻末の両作者対談より)。
- コルカス (Corcus)
- かつて盗賊団の団長であったが、ある日グリフィスに敗れ、鷹の団の傘下に入る。入団前のガッツから金を巻き上げようと襲撃するが失敗。その後もガッツとは相性が悪く、しばしば突っかかっていた。現実的な思考の持ち主で、実現しない夢や理想を嫌う。故に、現実離れした理想を叶えてきたグリフィスを特別視しており、彼に並ぼうとするガッツを最後まで認めようとしなかった。
- 鷹の団の幹部の一人としてそれなりの地位についたが、蝕で女性型の使徒の手にかかって殺される。この使徒は、『ベルセルク』開幕冒頭でガッツに撃ち殺された。
- ガストン (Gaston)
- ガッツの部下で鷹の団斬り込み隊副隊長。気さくで人情に厚い一面がある。軍隊はガラじゃないと言い、対チューダー戦の後仕立て屋を開くが、鷹の団の受難を知り復隊する。
- 「蝕」での混乱の最中ガッツに会い心境を語るが、目前で凄惨な最期を遂げる。
[編集] ミッドランド王国
- 国王
- ミッドランドを統べる国王。決して暗愚な帝ではなく、能力主義で戦果を挙げるグリフィスら鷹の団を重用する度量を見せるが、家庭は一切顧みず、唯一愛娘シャルロットだけを希望とする。そのため、シャルロットと密通したグリフィスには常軌を逸した復讐の牙をむいた。
- 疫病が蔓延する中で自身も病に倒れ、そのまま崩御する。その直前、グリフィスがシャルロットを連れ去る夢を見る。
- 国王崩御に伴う混乱の虚を突かれて、東方からクシャーンが侵攻し、王国は崩壊寸前となった。
- 王妃
- 国王の愛妻が亡くなった後に嫁いできた。シャルロットにとっては義母にあたる。国王からは愛を向けられず、空閨をなぐさめるためにユリウスと密通した。ユリウスがグリフィスの陰謀で暗殺されたと悟り、愛人を暗殺されたことの怒りから重臣とともにグリフィス謀殺の計画を立てるが、陰謀を見破られてグリフィスの返り討ちに遭い、暗殺を企てた重臣ともども屋敷ごと焼殺される。
- シャルロット (Charlotte)
- 新生鷹の団を参照。
- アンナ (Anna)
- 新生鷹の団を参照。
- ユリウス (Julius)
- ミッドランド国王の弟で、第二皇位継承者。ミッドランドの二大騎士団の一つである白龍騎士団の団長でもある。王妃の愛人。子爵に叙せられたグリフィス暗殺計画を首謀したが、グリフィスの知るところとなり、報復としてグリフィスが差し向けた刺客ガッツの手によって子息アドニスもろとも暗殺された。
- アドニス (Adonis)
- ユリウスの息子。親に似ず華奢な美少年である。父ユリウスからは大きな期待をかけられ、ゆくゆくはシャルロット王女と婚姻してミッドランド王国を継承する筈であった。しかしユリウスが毒弓によるグリフィス暗殺を企てたため、刺客ガッツの手によって親子ともども暗殺される。
- フォス内務大臣 (Minister Foss)
- ミッドランドの宮中で様々な権謀術数を駆使し、宮廷闘争を影で操ってきた人物。グリフィスが武功を認められて貴族として列せられた時、反グリフィス派に根回ししてグリフィス暗殺計画を練る方向に誘導していたが、それを逆に看破され、娘を人質に取られて、王妃ら反グリフィス派の粛清に荷担させられる。以来、グリフィスに対しては畏怖を感じ、萎縮して宮廷闘争からは身を引くようになる。
- 国王が崩御し、クシャーンが侵攻してきた後は、ミッドランドの残党を率いて抵抗組織を編成する。その後にやって来たラバンに、魔都となった王都ウィンダムの実情を説明する。
- 覇王ガイゼリック (Gaiseric)
- 千年前、戦乱の下にあった大陸全土を掌握し、一代で大帝国を打ち立てたとされる伝説の英雄。出自や経歴は不明で、戦いの時、常に髑髏を模した兜をかぶっており、「ドクロの王様」というおとぎ話としても伝わっている。天使長ボイドと因縁を持つ髑髏の騎士も伝えられるものと似通った髑髏の兜を身につけていることから、関連が示唆される。この王は「魔王」「死を駆る王」と呼ばれるほどに暴虐の限りを尽したが、天使によって打ち滅ぼされてしまい、「再生の塔」の地下深くには王の統治した古代の帝都が眠っているという。ミッドランドの王家は、唯一ガイゼリックより連なる血統を持つと言われる。
- 名前の由来は、北アフリカにヴァンダル王国を興し、東ローマ帝国を撃退したガイセリック王である。この王は、5世紀にイタリアに上陸してローマを占拠した。
- ミュール (Mule)
- 新生鷹の団を参照。
- ラバン (Raban)
- ミッドランド軍アークロー騎士団長。疫病や災害で荒廃した国土を見て回り、国家の行く末を案じている。
- 魔都となった王都ウィンダムに潜入し、フォス率いる抵抗組織と合流して王都の実情を知る。その直後、クシャーンに見つかり殺されそうになるところをロクスに助けられる。
- オーウェン (Owen)
- ラバンの友人で、ミッドランド軍トゥーメル騎士団長。国の危機に際しても保身に走る諸侯を見て、ラバン同様国の将来を憂えている。
- ヴリタニスの舞踏会では、ミッドランド諸侯同士の諍いを仲裁した。諸侯たちに団結を呼びかけるも、王家なしでは不可能だと断られる。
- 舞踏会での騒動の直後、ガッツに出会い、グリフィスの居場所を聞き出すが、意味深な答えが返された。
[編集] チューダー帝国
- ゲノン (Genon)
- チューダー(Tudor)帝国北方戦線総司令官。元は一介の地方貴族に過ぎなかったが、莫大な財力でこの地位にまでのし上がった。百年戦争の中でチューダー帝国がミッドランドから奪って攻撃の拠点としたドルドレイ要塞を総督として支配する。
- 男色の趣味があり、何人もの美少年を色子として侍らせている。かつてまだ鷹の団が弱小集団に過ぎなかった頃、戦力を増強するために財貨を欲したグリフィスの体を求め、一夜を過ごしたことがあった。しかし、ドルドレイ要塞攻防戦では敵対する立場になり、百年戦争の終結を目指してミッドランドから出撃したグリフィス率いる鷹の団を迎え撃つ。グリフィスのことが忘れられず、身柄に執着しすぎて軍隊の指揮を混乱させたため、自滅した。最期には、グリフィス自身の手で討たれる。
- ボスコーン将軍 (Shogun Boscorn)
- チューダー帝国の誇る紫犀聖騎士団の団長。長大な斧槍(ハルバード)を操る。最強不敗の英雄として世界中に勇名を馳せていた。ドルドレイ要塞に駐屯し、ミッドランドの軍勢を迎え撃つ。正攻法で正面から堂々とぶつかる気性で、グリフィスに執着した司令官ゲノンは彼を苦々しく思っていた。鷹の団との戦いの中で、ガッツと凄まじい一騎討ちを繰り広げる。一度はガッツの剣をへし折り、窮地に追い込んだものの、ゾッドの影からの助太刀で敗れた。彼の死によって、チューダー帝国軍は恐慌に陥り、潰走した。
- 名前の由来は、E・E・スミスのスペースオペラ作品『レンズマン』に登場する、人類文明に敵対する別の銀河文明ボスコーンから来ている。
- アドン (Adon)
- チューダー帝国の青鯨超重装猛進撃滅騎士団の団長。デリカシーはゼロで自分の欲望に忠実な俗物である。鷹の団と戦闘を繰り広げ、ガッツの百人斬りの場に居合わせた。何かというとコボルイッツ家に代々何百年伝わるという秘技を使うが、いずれも見掛け倒しである。この戦いで鷹の団に敗れ、弟サムソンを討ち取られたため、ボスコーンから叱責を受けてドルドレイ要塞攻防戦時には城塞にこもっていたが、忍び入った鷹の団を迎撃し、そこでキャスカに斬殺される。
- 名前のアドンは、フェニキア神話およびギリシャ神話に登場する美少年アドン(アドニス)であるが、色物シューティングゲーム『超兄貴』にはアドンとサムソンのコンビが登場しており、直接には、弟サムソンとともにここから由来している可能性が高い。
- サムソン (Samson)
- アドンの弟にして、青鯨超重装猛進撃滅騎士団副団長。巨体を覆う鎧は厚みが通常の3倍あり、水牛の頭蓋骨をも粉砕する鉄球(モーニングスター)を振り回す。しかしガッツの敵ではなく、鉄球を打ち返され、装甲ごと大剣で頭を割られて死亡した。
- サムソンは、旧約聖書の士師記に登場する有名な怪力男の名前。
[編集] クシャーン帝国
- ガニシュカ大帝 (Emperor Ganishka)
- 「恐帝」としてクシャーン(Kushan)帝国に君臨する大帝。自身も使徒であり、グリフィスのもとに馳せ参じるという欲求を自身も感じていたが、それよりも地上を制圧するという欲望の方がはるかに強大で、あえてグリフィスや他の使徒に敵対する道を選んだ。ヴリタニスでの、虎の妖獣兵を使った舞踏会の襲撃がガッツ達に撃退された直後、そこに集っていた諸侯達に対し宣戦布告を行った。贄として生き続けるガッツの執念に驚嘆し、自らの配下になることを勧めるが断られた。
- グリフィスや使徒達と敵対する道を選ぶだけあって通常の使徒をはるかに凌駕した力を有している。霧状に体を変化させ巨大化して見せたり、雷や濃霧などの天候を操る能力を持つ。矢などの物理的な攻撃は受け付けない。直接使徒もどきを生み出す能力があるのかは不明だが、霧状にした自身の一部を人間などに憑依させて操る事が可能な他、自然界の様々な動物(虎・象・鰐など)を妖獣兵(ピシャーチャ)にする事ができる。また使徒の体内を利用した術で人間の胎児を鬼兵(ダーカ)に変化させ、兵団を作っている。
- 名前の由来は、史実のクシャーナ朝第三代のカニシカ王(2世紀頃在位)である。この王は篤く仏教を保護し、仏典結集を行ったことでも知られる。
- シラット (Silat)
- 青年の身でありながら暗殺集団バーキラカ一族の首領となっている。チャクラム(戦輪)など何種類もの奇妙な武器を使いこなし、卓越した体術も心得ている。
- ガッツが鷹の団を離れて修行していた時に、武闘大会で彼と対戦したことがあり、この時はガッツが勝利を収めた。その後、ミッドランド王国の鷹の団討伐隊に指揮者として参加し、再度ガッツと闘うも、その剣圧の前に敗れ去った。三度目には、グリフィス受肉時にガッツを見かけたが、その時はガッツに立ち向かった仲間がドラゴン殺しの一閃の前に斃されるのを見て慎重な態度を取り、戦闘を回避した。
- 権力闘争に敗れたため、奴隷の身分に没落した一族の末裔の嫡子である。
- 一族にとって数百年の悲願である帝国への正式な復帰を果たすため、ガニシュカ大帝に従うも、その異常ぶりに畏怖の念を覚えている。
- ターパサ (Tapasa)
- バーキラカ一族の頂点とされ、シラットの側近として侍っている。知られているだけで四名おり、額にそれぞれ意匠の違う紋章のような刺青がある。いずれも全身の筋肉と節を極限まで鍛え上げた異形の巨漢で、素手で甲冑をひしぎ、一撃で絶命させる闘術を心得ている。
- ダイバ (Daiba)
- ガニシュカ大帝から妖獣兵を預かり、ヴリタニス攻撃を担った妖術師達の長。妖獣兵兵団長であり仙将を名乗る。自身も魔術師である。空中に常時浮遊しながら座している。ヨガを体得しており、水中で長時間にわたり息を止めることも可能。
- 妖獣兵(ピシャーチャ)
- 種族を参照
- 鬼兵(ダーカ)
- 種族を参照
[編集] 法王庁
- 法王
- 法王庁のトップ。とある名家の生まれで、何不自由なく育ち、何の興味も野心も持たず、気が付けば法王になっていたような人物。さしたる業績も失政も無いまま、無難に法王職を務めていた。
- 病の床に臥し、平穏無事な生涯を終えようとしたとき、白い鷹の夢を見る。その直後に現れたミュールとソーニャに自らの運命を直感し、共にグリフィスのもとに赴くことを決意する。
- ファルネーゼ (Farnese)
- ガッツと仲間たちを参照。
- セルピコ (Serpico)
- ガッツと仲間たちを参照。
- アザン (Azan)
- 聖鉄鎖騎士団副団長。騎士道精神に殉じる古風な武人である。ファルネーゼを補佐する立場にあるが、部下からの人望が厚く、実質的には騎士団の要といえる。
- 橋に立ち往生していた老人をかばい、強引に橋を渡ろうとした100を超える軍隊を相手に堂々と張り合ったため、「橋の騎士」とも呼ばれる。「鉄棍鬼アザン」の二つ名もあり、その名の通りに長大な鉄の棍棒を自由自在に操り、必殺技五月雨突きはガッツの体を大きく吹き飛ばすほどの威力を持つ。
- モズグス (Mozgus)
- 「血の教典」の異名を持ち、その苛烈な審問で恐れられる異端審問官。法王庁から派遣され、異端の徒や異教徒を千人以上も磔刑、車輪轢きの刑に処してきた。文字通りの狂信者で、「信仰とは死ぬことと見つけたり」の信念を持つ。
- 彼に心酔する弟子たちを常に従え、慈愛をもって接している。
- 断罪の塔で、完璧な世界の卵の力によって弟子とともに使徒もどきに変貌した。変貌直後の姿はそれまでの姿に鳥の翼が生えただけのものであるが、ガッツとの戦闘中に全身を鱗様の羽根で覆われたグロテスクな天使に変化した。どちらの姿でも、火を吹くことが可能。使徒もどきとはいえ、力は並の使徒以上で表皮も硬く、ガッツを苦戦させた。
- モズグスの弟子たち
- 異端審問官モズグス直属の拷問執行人。異端・魔女とされた者を審問にかけ、モズグスが下した判決に従って処刑するのは彼らである。彼らの名前は明らかではないが、日光に身をさらすと火ぶくれができる体質の鳥面の男、巨大な鋼鉄の車輪を武器とする筋肉の塊のような男、頭と肩甲骨あたりが変形した長身の身体で鎖に鍬鋏がついたような武器を持つ大男、矮躯の目をくりぬくペンチを武器とする男、のこぎりを2つ組み合わせたような武器を2人1組で持つ二児ら、から構成される。
- 彼らはその異形、畸形の容貌によって、世間から迫害されて見世物にされたり、怪物として人里を離れたところに潜み暮らしていたのだが、モズグスの慈愛の心によって信仰の道に入り、異端審問を神からわが身に与えられた聖なる職務として、真摯に執行している。
- ジェローム (Jérôme)
- 聖鉄鎖騎士団に所属する騎士。貴族の放蕩息子で、ファルネーゼのことを良く思っていなく、任務をさぼってはルカのところで遊んでいた。
- ルカに頼まれてニーナやキャスカの救出の片棒を担ぎ、最後にはルカ達4人の女性を身請けする事になる。
[編集] ヴァンディミオン家
- フェデリコ (Federico)
- 「天秤の主」の尊号を持つ、ヴァンディミオン(VanDimion)家の当主。マニフィコとファルネーゼとセルピコの父である。ヴァンディミオン家の財力を背景に、法王庁教圏において比類なき影響力を持つ。しかし家族に対する情は薄く、ファルネーゼは幼少時代に父から愛情をかけられなかったことが、性格を歪ませた一因となった。舞踏会での騒動でうろたえる人々を一喝するほどの度量の持ち主だが、ファルネーゼに関しては手を持て余しているようである。
- 夫人
- フェデリコの妻。マニフィコとファルネーゼの母である。
- かなり鋭い洞察眼の持ち主。法王庁教圏において比類なき影響力を持つ夫を「世界の奴隷」と言い放つなど、毒舌家でもある。
- マニフィコ (Manifico)
- ヴァンディミオン家の三男。ファルネーゼの兄である。兄2人には要職に就かせながら、自分を認めようとしない父に憤っている。
- ロデリックとファルネーゼとを政略結婚させようと、舞踏会でその発表をしようとするが、肝心の妹がセルピコを探していて不発に終わる。その後の、虎の妖獣兵の侵入とそれに続くクシャーンの侵攻による混乱の中、ロデリックが妹とその仲間たちを自分の船に乗せて旅立とうとしたため、自分一人残っては政略結婚の件で追及されると感じ、敢えて同行する。
- 野心家だが小物。妹と違い、ヴァンディミオン家にかなりこだわっている。
- ファルネーゼ (Farnese)
- ガッツと仲間たちを参照。
- セルピコ (Serpico)
- ガッツと仲間たちを参照。
[編集] その他
- ガンビーノ (Gambino)
- 傭兵隊長で、ガッツの育ての親。ガッツに最初に剣を教えて傭兵組織の中で鍛え上げた。シスを愛していたが、母親の骸の下に生れ落ちたガッツを拾ってからは、シスを病で失い、自身も戦闘のさなかの負傷で片足を失うなど不幸続きであった。そのため、ガッツが災厄を運んできたと憎悪を向けるようになる。
- ガッツはガンビーノを父親として慕うが、その愛情は報われることはなく、ガンビーノは稚児趣味を持つ同僚の傭兵ドノバンにガッツの貞操をわずか銀貨三枚で売り渡したり、自分にかいがいしく世話を焼くガッツに厳しく当たるなど荒れていた。とくに片足を失ってからは、ガッツを「呪われた子」として忌み、遂には殺害しようとするが、はずみで逆にガッツの剣によって殺されてしまう。そのため、ガッツは傭兵団から脱走することになった。
- シス (Sis)
- ガンビーノの愛人でガッツの養母。ガンビーノとの子を流産で失ったことで精神が不安定になっていた時、泥の中よりガッツを拾った。それ以後はガッツを養育したが、ガッツが3歳の時にペストに感染した。ガンビーノが戦仕事で側にいられない中、ガッツに看取られ死去した。
- 魔の子
- 呪われし子。ガッツの前にしばしば姿を現す畸形の赤子。正体は、ガッツとキャスカの間にできた胎児に魔が宿り、現世とは別の次元に住まうようになったもの。キャスカの胎内で受精してまだ胎児に過ぎなかった時分、鷹の団の上に「蝕」の運命が降りかかることになり、その中の狂宴でキャスカは、ゴッドハンド・「闇の翼」フェムトに転生したグリフィスに凌辱された。魔の存在と交わったために、胎内で育ちつつあった胎児にも魔が憑依したものらしい。蝕から抜け出した直後、衝撃からかキャスカは流産するが、既に胎児はこの世ならぬ存在となっていた。異形の姿ながら母親であるキャスカを守るためにガッツに警告を与えたり、魔の力を使ってキャスカの身を守るが、最後に力尽き倒れていたところを完璧な世界の卵に取り込まれ、彼と共に受肉したグリフィスの一部となる。
- ゴドー (Godot)
- かつて妖精が棲んでいたという鉱山の中で、鍛冶屋を営んでいる老鍛冶。偏屈な性格で口は悪いが、腕は非常に高い。
- 一人娘にエリカ(戦争孤児)がいる。ガッツの佩刀「ドラゴン殺し」の製作者。鷹の団を抜けて修行していたガッツは彼のもとに寄宿しており、その縁で、蝕から生き延びたガッツとキャスカの二人を受け入れた。
- かつては名工として華やかな栄誉に包まれ、王侯貴族から注文を受けていたほどであったが、貴族たちが実用を無視して華美な武器ばかりを求めるのに嫌気がさして、人里を離れた鉱山にこもり、孤高の鍛冶屋となる。
- 病で他界し、後継者にリッケルトを得た。
- エリカ (Erica)
- ゴドーのもとに住んでいる天真爛漫な娘。実はゴドーとは血はつながっておらず、かつて戦災で家族を失って泣いていたところを、たまたま通りかかったゴドーに拾われてそのまま養女となった。
- 修行中のガッツの特訓を手伝ったこともある。ゴドーが死去した後は、リッケルトと二人で暮らしている。
- 髑髏の騎士 (Skull Knight)
- 1000年の間ゴッドハンドや使徒と敵対している謎の騎士。常に髑髏の面を被り、同じく髑髏を模した仮面を被る黒い馬を駆る。又、薔薇をモチーフにした剣と盾を持つ。
彼もまた人外の存在である事は明らかであるが、「生贄の烙印」が反応を示さない事から、使徒ともまた違った存在のようである(パックによると微かにエルフの気配がするらしい)。強者を求める使徒・ゾッドとは好敵手の間柄で、魔女のフローラとも旧知の仲。又、ゴッドハンドの長ボイドとは何らかの因縁があるらしい。正体は知られていないが、「ドクロの王様」に通ずる点が多々ある事やスランから「王様」と呼ばれていた事から、覇王ガイゼリックのゆかりの人物か、あるいは覇王ガイゼリック本人であろうと推定されている。何故かガッツの出生を知っており、キャスカとガッツを蝕から救い出したり、異次元へと入り込んだガッツら一行を脱出させるなど陰から様々な助力をなしているが、これが「敵の敵は味方」的な考えから来るものか、何か別の理由があるのかは不明。 - ゾッドが好敵手と認めるだけあってその戦闘能力は凄まじく、並みの使徒では全く歯が立たない。にもかかわらず、普段はあまり積極的に使徒とは戦っていないようである。おそらく元凶であるゴッドハンドを倒さぬ限り無意味と考えていると思われる。
- 使徒の所有するベヘリットを集めており、見つけるたびに飲み込んで体内でベヘリットを精製し、剣の刀身に変容させている。これが切札の「喚び水の剣」である(下記参照)。
- バルガス (Vargas)
- 伯爵に仕えていた侍医だったが、使徒と化した伯爵の残虐さに恐れを抱き、逃走を試みるも失敗。家族と自らの両足片腕を伯爵に喰われるが、何とか脱出に成功する。その際に伯爵のベヘリットを盗み、潜伏生活をしながら伯爵を倒す機会を狙っていた。ガッツに伯爵殺害を依頼するも、伯爵に捕らわれ処刑される。伯爵の最期の時、伯爵を虚無に引き込んだ亡者達の中にバルガスの姿があった。バルガスが伯爵から奪ったベヘリットはガッツが所有することになる。
- ジル (Jill)
- 霧の谷の近くの村に住む少女。ロシーヌとは幼なじみであった。元兵士で飲んだくれの父に嫌気がさして家出をし、ロシーヌのいる霧の谷へと向かったが、妖精もどき同士が殺し合っている光景を見て嫌悪感を持ち、ガッツとロシーヌの戦闘に巻き込まれて恐怖のあまり発狂寸前まで追い込まれる。それでも、ロシーヌを憎みきれず、最後まで見守った。
- ゼペック (Zepeck)
- ジルの父親。兵士だった過去と酒に逃避する飲んだくれである。常に兜を被っている。どうも負け戦ばかりだったらしい。霧の谷における聖鉄鎖騎士団のガッツ捜索の道案内をし、娘ごとロシーヌにとどめを刺そうとしたガッツに一矢報いる。その後も騎士団に同行しようとするが、アザンに諭されて村に帰った。
- ルカ (Luca)
- 精神に異常をきたしてガッツのもとから失踪したキャスカを匿った娼婦達のリーダー的存在。収入を公平に分配し、さらにその半分を近所の難民達に配るなど、気前のいい姉御肌の女性。
- 妹分にはペペ、フーケ、リューシー、ニーナがいる。また、キャスカのことを「エレーン」と呼んでいた。
- 実は、完璧な世界の卵の真実を唯一知っている人間。
- 最後はジェロームと一緒になった。もっともニーナ以外の3人も一緒だが。
- ニーナ (Nina)
- ルカの妹分の娼婦。臆病な性格の上、重い病気(性病と思われる)に侵されているため、邪教に身をやつし、夜な夜なサバトに参加する。自分に好意を抱いているヨアヒムをサバトに誘うが、密告されると思い込んで、ヨアヒムを崖から突き落としてしまう。その後、邪教徒として断罪の塔に捕らえられ、怪異に巻き込まれるが、ルカの指示を守って必死に恐怖に耐えるうちに、生きたいという希望と強さに目覚める。最後は、ルカ達と別れ、ヨアヒムとともに旅立った。
- ヨアヒム (Joachim)
- ニーナに思いを寄せている難民。彼女が邪教に染まっていると知り、密告してしまうが、結局結ばれてしまう。
- この作品における一般的な人達の代表格。
- モーガン (Morgan)
- イーノック村に住む老人。村が獣鬼に襲われたために、フローラに助けを求めた。
- 50年前に、フローラからもらった薬で母を救ったことがある。
- もっとも、その時は、病弱の母や村の現実から逃れたかっただけであったが。
- 獣鬼を退治し終わった後、イシドロに上記の昔話を聞かせて諭そうとしたが、逆に諭される。
- フローラ (Flora)
- シールケの師匠で、年を経た本物の魔女。非常に高い魔力を備えており、護符や薬草などを作っている。
- かつては、イーノック村周辺の人里に住み、村々を回って精霊達の声を伝えたり、天候を教えたり、病人を癒して回っていたが、法王庁教圏の拡大と共に魔女として排斥され、霊樹の森へと追いやられた。
- 髑髏の騎士とは旧知の仲で、深い縁があるらしい。ガッツたちを迎え入れた後、新生鷹の団のゾッド、グルンベルドら率いる軍勢に急襲され、火を放たれてその中でシールケに後を託し、この世を去る。
- ロデリック (Roderick)
- マニフィコの親友で、北方の国イースの王位継承権第三位王族にして海軍の士官。ファルネーゼの婚約者でもある。マニフィコと共に次の時代を築き上げようとする。
- かなり豪胆な性格で、旅をしているファルネーゼとその仲間たちのために自分の船を貸したりしている。
[編集] ベルセルク用語集
[編集] 器物
- ドラゴン殺し(ドラゴンころし)
- ガッツの佩剣。刀鍛冶ゴドーがかつて「竜をも撃ち殺せるような剣を」との注文を受け、本気になって鍛造した剣。常人には持ち上げることも不可能なほど巨大な剣で、ゴドーは注文主からあやうく斬首の罰を受けるところだった。そのため、長らく倉庫に死蔵されていたが、蝕から生還したところを使徒に襲われたガッツに発見され、ガッツは使徒をこの剣の一撃で仕留める。それ以来、ガッツの使徒・ゴッドハンド追討の旅において、最も多くの敵を屠ってきた主要武器となる。『ベルセルク』作中において、巨大な武器を操る大男は多数出てくるが、その中でもひときわ巨大な武器。その刃はただ単に巨大なだけではなく、使徒の一撃にも耐え得る強靭さを誇る紛れも無い業物である。しかしあまりにも酷使され続けた為にわずか2年程度でボロボロになり、一度ゴドーによって鍛え直された。又、度重なる使徒との戦いや死霊を斬り続けた事により、何らかの霊的な力を帯びつつある。クリフォトでの戦いでは強引に降臨したゴッドハンドの一人・スランを撤退に追い込んだ。
- 作中では「それは剣というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった。」と語られている。ギャグシーンでは「鉄板焼きにも使える」「お好み焼き屋」と表現されたことも。
- ガッツが初めて持ち上げた際、既に左腕は義手であり、ガッツはこれをほぼ右腕だけの腕力で振り回しているということになる。
- なお、和田慎二のファンタジー作品『ピグマリオ』にも、最初の方に同様の剣の逸話がある。海の部族と山の部族が対立する中で、クルト王子が鍛冶屋から「かつて誰にも持ち上げられない剣を鍛えてしまった」と巨大な剣を前に述懐を聞かされるが、その後、実際にクルトが振り回して鍛冶屋は瞠目するのである。「ドラゴン殺し」の話はここから引かれたものであろう。
- ベヘリット
- 眼や鼻や口が一種のアートのように不規則に配置された人間の顔が刻まれた卵型の物体。「異界への喚び水」とも呼ばれる。ただの道具ではなく生きており、時々瞼や口を開いたり、ギャグシーンでは冷や汗をかいたりする。普段は貝のように無害なものに過ぎないが、ある条件が揃うことでもう一つの世界への扉を開く鍵になるという。因果に選ばれた者の前には様々な形(もらう・拾うなど)で本人の意思とは関係なく手に入る。例え捨てたり紛失したりしても何らかの形で手元に戻り、逆に必要としていない(因果に選ばれていない)者が手にしてもいずれ手元を離れていく。すなわち、因果に結ばれた者のみが、この卵を手にすることで異世界に棲むゴッドハンドを呼び出し、闇の存在に転生することができる。通常のベヘリットを手にしたものは使徒に転生するが、なかでも「覇王の卵」の異名を持つ真紅のベヘリットは特別で、守護天使ゴッドハンドに転生する資格がある者のみが手にすることができるという。これは二百数十年に一度しか世に出ない。
- ガッツの所有するベヘリットは、もとは伯爵のもので、バルガスの手を経てガッツのもとに入り、現在はパックの居候兼抱き枕「ベッチィー」となっている。パックによると「ベッチィー」の好物はチーズであるらしい。
- 「ベヘリット」の名の由来は、シリアにおける魔王の名前らしいが、詳細は定かではない。単行本未収録の第83話「深淵の神②」において、ベヘリットの真実が語られている。この話があまりにも設定を割りすぎているため、第83話は作者自身によって単行本化の際に外すという形で封印された。
- 喚び水の剣
- 髑髏の騎士の切札とも言える武器。常に佩びている剣を大きく開いた髑髏面の口に入れると、体内で精製したベヘリットが互いに溶融して不規則に目鼻や口がついた異形の刀身が出来上がる。髑髏の騎士は、この剣を作るために使徒の所有していたベヘリットを回収して口の中に放り込んでいた。振ると普通の方法では入る事のできない幽界(の大深層部)への入り口を一定時間開く事ができる。また空間を切り、一種の瞬間移動の様な事も可能なようである。剣の名前は、ベヘリットが「異界への喚び水」とも称されることに由来する。
- 喚び水の剣は、宿敵たるゴッドハンドを葬るための切札として常々から準備されているものらしい。髑髏の騎士は、ガッツと『クリフォトの崩壊』から脱出する際、この剣によって空間を斬り裂いた。かなり便利な剣に思われるが、おそらくゴッドハンドに察知されるのを避けるため多用は避けていると思われる。
[編集] 魔法の呪物
- シルフェの剣・フード
- 風の元素霊シルフェの加護を授かった魔法の呪物。
- 剣は大鷲の羽と宿り木の柄で作られ、一見すると羽箒のようだが、カマイタチや旋風を巻き起こして離れた敵を切り裂くことが可能である。フードは身に着けたものの周囲に風を起こすことで、矢や投擲された武器を吹き払うことができる。又、フードが巻き起こした風に乗って大きく跳躍する事もできる。どちらもフローラの作で、獣鬼達を退治するために霊樹の館でセルピコに授けられた。
- サラマンデルの短剣
- 火の元素霊サラマンデルの加護を授かった魔法の呪物。
- 超高温の溶岩を魔術で短剣にしたもので、刃に触れたものを燃やす事ができる。獣鬼退治の際、霊樹の館でイシドロに授けられた。
- 銀の鎖帷子・ナイフ
- 魔除けの力を持つ銀を使った魔法の呪物。
- 銀の帷子を身に付けた者には悪しき霊体は触れることは出来ず、銀のナイフで切りつけられた悪霊は深刻な傷を負う。霊樹の館でファルネーゼとキャスカに授けられた。
なお、魔術士の力が無くとも、銀には元から退魔の力が宿っているらしく、銀で出来た燭台などでも悪霊にダメージを負わせることができる。
- 狂戦士の甲冑
- シールケの師フローラが所有していた甲冑。鉱精(ドワーフ)の手によって作られたもので、着用した者の激情を煽る禍々しい気が宿っており、これを着用する人間の潜在能力を振り絞らせ、常軌を逸した力を発揮することができる。しかしその反動は凄まじく、限界を超えた力を出した肉体はボロボロになる。又、激情に煽られた着用者は一切の痛みを感じなくなり、例え骨折しても甲冑の内側から棘状の突起が飛び出して骨を固定し、無理矢理戦闘を続行させる。更には敵味方の判別さえもつかなくなり、場合によっては周囲の者を殲滅するため、死に至るまで戦い続けるのである。いかなる目的で製作されたのかは不明だが、かつては髑髏の騎士が身につけていたものである。
- フローラの死に伴いシールケに託された。ガッツとグルンベルドが交戦した際、窮地に陥ったところでガッツはこの鎧を纏う。ガッツは鎧の呼びかけに呼応して人間の限界を超えた動きを見せ、使徒やグルンベルドを力で圧倒する。
- サイズは着用する者の体格に合わせ可変するようである。ガッツが義手を付けたままでも装着でき、左前腕の大砲も問題なく使用可能である。
- また甲冑自体の形状も着用者の性質に合わせ変化する。劇中では頭部は元々髑髏の形状であったが、ガッツが着用してからは獣の形状に変化した。頭部と前腕の部分は普段はマント(?)と一体化するような形で隠れており、甲冑の力を発動させると出てきて全身を覆う。
- 甲冑自身が禍禍しい意思を持っており、ガッツはピンチになるたびにこの鎧の力を発動するが、妖気を帯びたこの甲冑はガッツに囁きかけ、正気を失わしめようとする。シールケの助力もあってガッツは何とかこれを克服しつつあるが、やはり凄まじい鎧の力はガッツの体を徐々に蝕み、既に味覚や色覚に異常が出始めている。前の所有者である髑髏の騎士はそのことも知っており、ガッツに警告を与えている。
[編集] 建築
- ドルドレイ城塞
- ミッドランド国境付近の要塞。二重の城壁は厚みも高さも通常の倍はあり、背後に断崖絶壁を控えるという立地から、難攻不落と謳われる。
- かつてはミッドランド王国の国境防衛のために建造された要塞であったが、チューダー帝国軍に奪取されて以来、逆にミッドランドへの攻撃の最大の拠点となっていた。物語の舞台となる時代では最強の英雄と称されるボスコーン率いる紫犀聖騎士団を擁していた。しかし、グリフィス率いる鷹の団の働き、わけてもガッツの奮戦により要塞奪還に成功し、ミッドランド・チューダー間の「百年戦争」とまで呼ばれた長期間の戦争は停戦と言う形で終結を迎えることになる。
- 再生の塔
- ミッドランドの王城にある塔。非常に古く、ミッドランド建国以前から建っていたとされる。現在は牢獄として使用され、罪人が幽閉されている。シャルロットと密通して国王の逆鱗に触れたグリフィスもここに閉じ込められ、長きにわたって獄長から凄惨な拷問を受けた。
- 塔の内部は中空で内側が螺旋状の階段となっており、どの山よりも深いという縦穴の底には覇王ガイゼリックが築いた帝都が眠っている。帝都の廃墟、死都(ネクロポリス)には、奇妙な烙印を刻まれた人間の古い死体が山と積まれていた。この塔は、呪われた過去を封印するために築かれたものという。
- 聖アルビオン寺院
- 法王庁の直轄領内にあり、ミッドランドとの国境に近い所に聳える古い巨大な寺院。ゴドーの鉱洞から北東に街道を三日ほど行った所にある。かつて覇王ガイゼリックの時代、ここに幽閉されて拷問を受けていた賢者がガイゼリックへの天罰を願い続け、天使を降臨させたという言い伝えが残っており、それに由来する断罪の塔の別名をもつ。
- ガッツたちの時代には、疫病を逃れてきた難民が集っていたが、この地に邪教徒が紛れ込んでいたことから法王庁の異端審問官が差し向けられて魔女裁判の場となり、ここに魔女とみなされたキャスカが連行された。その後、難民が押し寄せて塔の内外に集うが、「烙印の者」であるガッツとキャスカが揃うことで「蝕」が模され、魔の存在があふれ出て塔はグリフィスが闇の翼フェムトに転生した時と同じ開いた手の形に崩壊した。そして、近傍に潜んでいた使徒の一つ、「完璧な世界の卵」を母胎として受肉したグリフィスが再び地上に降り立つことになる。塔に逃げ込んだ難民は、塔もろとも瓦礫に押し潰されてしまった。生き残ったのは、ガッツ、パック、キャスカ、ファルネーゼ、セルピコ、イシドロ、アザン、ジェローム、ルカ、ニーナの10人だけだった。
- 寺院の名「アルビオン」は、ローマ人によって呼ばれたグレートブリテン島の古名であり、ラテン語で「白亜の地」あるいは「白の国」を意味する。
[編集] 国家
- ミッドランド王国
- 千年前に伝説の覇王ガイゼリックが建国し、天使によって滅ぼされてから再建された国。王家は、ガイゼリック王の血統を引いているとされる。首都は城塞都市ウィンダム。
- ベルセルク作中の中心となる王国であり、グリフィス率いる鷹の団が最終的に正規の騎士団として編入された。隣国のチューダー帝国と百年にわたって戦争を繰り広げ、百年戦争と言われていたが、ドルドレイ城塞攻略戦における鷹の団の活躍により戦乱は終結した。
- その後、病に臥せっていた国王が崩御し、シャルロット王女が王位を継承するはずであったが、その間隙に乗じたクシャーン帝国の侵攻に遭い、ウィンダムを占領されて王女は生死不明となった。現在は首脳部を中心として残党が抵抗活動を繰り広げており、受肉したグリフィスの新生鷹の団に望みを繋いでいる。
- 王国の名前は、「中つ国」という意味を持つ。
- チューダー帝国
- ミッドランド王国と百年にわたって戦争を繰り広げてきた大国。ボスコーン率いる紫犀騎士団は大陸最強の武勇を誇り、ミッドランドの二大騎士団の一方、白虎騎士団を壊滅寸前に追い込んだ。
- ドルドレイ要塞攻防戦でガッツによってボスコーンを討ち取られ、鷹の団によって要塞を奪還されてようやく休戦の運びとなった。また、帝国内では皇位継承にからむ内紛により混乱状態に陥って、しばらく表舞台には登場しなくなる。
- ミッドランド王国へのクシャーン侵攻に際して、法王庁教圏の国々とともに大軍勢を派遣。
- 国名の由来は、15世紀から17世紀にかけて、イングランドに栄えたテューダー朝である。史実でも14世紀から15世紀にかけて英仏間で百年戦争が繰り広げられ、薔薇戦争ののち、ヘンリー7世によってテューダー朝が興った。
- クシャーン帝国
- 恐帝ガニシュカ大帝の統治する、ミッドランド王国の東方、山脈の彼方に広がる民族帝国。暗殺集団バーキラカを擁している。ガニシェカ大帝曰く、地上で最も広大な版図を誇るという。
- 百年戦争時代は、バーキラカを斥候に出すのみで表立って行動はしてこなかったが、ミッドランド国王崩御に際して混乱を衝き、戦象部隊を繰り出して侵攻した。現在は首都ウィンダムを占拠するなどミッドランドを制圧しているが、新生鷹の団のもとに反抗勢力が集い、基盤は危うくなっている。多くの部族を制圧し成立したクシャーン帝国も一枚岩ではなく、新生鷹の団の捕虜となったクシャーン兵からは新生鷹の団に恭順する者も現れている。
- 国名の由来は、紀元1~3世紀のインドに栄えたクシャーナ朝である。この王朝では仏教美術が栄え、ガンダーラ美術がよく知られる。
- 法王庁
- 地上における唯一の神の代弁者として、奇蹟認定や異端審問などを行っている。史実のローマ教皇庁に対応する。教皇庁がカトリック教会を統率しているのと同じく、ベルセルク世界に広く信仰されている公認宗教(※)の中枢となっている。
- 法王庁教圏には、主たる大国としてミッドランド王国とチューダー帝国、それ以外にはバルデン王国、モルガル公国、ワラトリア公国、ランデル共和国、ラーナ等パネリア同盟の諸国など多くの国々がある。
- 民衆の信仰を集める一方、モズグスのような異端審問官も所属しており、史実と同じく過酷な魔女狩り、異端審問を繰り広げて恐怖の的にもなっている。
- 信仰のシンボルは、十字架に類似しており、翼を広げた鳥と二重螺旋が組み合わさったものである。
- 現在の法王は老齢であり、新たな法王の推挙に向けて既に水面下での動きがある。
[編集] 勢力
- 鷹の団
- グリフィスを中心に結成された傭兵団。最初のうちは寄せ集めの盗賊まがいの集団に過ぎなかったが、グリフィスが後にチューダー帝国北方戦線司令官総督となるゲノンから体を引き換えに莫大な援助を得ることで、装備を増強し、次第に傭兵団としてまとまっていく。数々の武勲を挙げ、戦場で名を馳せる勢力になっていく。一匹狼の傭兵時代のガッツも、「最も相手にしたくない」強敵として認識していた。そしてめざましい戦場での活躍が認められ、ミッドランド王国に正規の騎士団「白鳳騎士団」として認められる。
- 最初期からのメンバーには、グリフィス以外にコルカス、ジュドー、ピピンがおり、少し遅れてキャスカも入団した。ガッツが入ったのは、ミッドランド王国の正規軍に昇格する寸前である。
- しかし、ガッツを失ったグリフィスが王女と密通したかどで騎士団は逆賊として追放され、数年を流浪の中で過ごす。そして「蝕」ではグリフィスの夢のためにガッツ、キャスカ、リッケルトを除くほぼ全員が贄として奉げられ、事実上壊滅した。
- 新生鷹の団
- 蝕の中で鷹の団の団員が生贄として使徒たちの餌食になってから数年後、ゴッドハンドの一人フェムトに転生したグリフィスは、聖地アルビオンで蝕が模された際に、完璧な世界の卵を媒介として「受肉」することになる。千年に一度の奇蹟によって地上に再誕したグリフィスは、人外の集団、戦魔兵を組織してふたたび鷹の団を結成することになる。さらには不死のゾッドや「炎の巨竜」グルンベルド、「月光の騎士」ロクスらを筆頭とする、使徒に転生した名だたる戦士を率いた『神話の如き兵団』となっている。
-
- 戦魔兵
- 受肉したグリフィスの率いる新生鷹の団の旗下で、ゾッドやグルンベルドら幹部使徒の配下として指揮される人外の兵。使徒の中では雑魚に属する者も多く、「蝕」の時に居合わせた者もいる。不揃いの甲冑に乱杭歯が特徴。
- 極めて狂暴で、かつては捕虜の人間の肉を喰らっていたが、「指導」でようやく獣の肉を選んで喰らうまでに落ち着いた。
- バーキラカ
- 東方の民族国家、クシャーン帝国に従う暗殺集団。要人暗殺を生業とし、諸国の王侯貴族からは一万の兵をもしのぐとして恐怖の象徴となっている。史実のアサシンに対応する。元々はクシャーン帝国の王位争いに敗れた皇族に荷担していた一族であったため、追放されて奴隷階級に落とされたものらしい。
- 様々な武器を駆使するシラット、全身を極限まで鍛え上げた戦士ターパサ、追放されて新生鷹の団の幹部となったラクシャスもこの一員。
[編集] 種族
- 妖精(エルフ)
- 手のひらに乗るような小さな体に羽根を持つ小人。ガッツに常にまとわりついているパックはこの一族である。「フェアリー」とも。
- 作中においては、悪戯の好きな、気紛れな存在で人を幸福にする力もあるとされる。しかし一部地域では害虫呼ばわりも。鱗粉には強力な治癒作用があり、魔を感じる能力も持つらしい。
- ファンタジー作品において、「エルフ」と言えば、森の中に住む気高く美しい種族というイメージがあるが、これはトールキンの『ホビットの冒険』や『指輪物語』から始まったものであり、本来の「エルフ」は北欧から中欧にかけて広く知られる伝説の中の妖精であった。トールキンの創造したエルフのイメージが日本に輸入されるに及んで、出渕裕が水野良『ロードス島戦記』の挿絵でエルフのディードリットを長耳に描いたことから、「エルフ=長耳」の常識が定着した。(実際には、エルフの長耳はバリエーションの一つに過ぎず、ただの尖った耳もある)
- 鉱精(ドワーフ)
- 呪物「狂戦士の甲冑」を作った種族。手先が器用で細工・工芸に秀で、掘削も得意で地中もしくは鉱山の坑内に住むとされる。ドワーフを参照。
- ゴッドハンド
- 真紅のベヘリットに導かれた者が転生する、幽界の最深奥に存在する「何者か」の意志を執行する存在。「魔王」「守護天使」とも。ボイド、スラン、ユービック、コンラッド、フェムトの五人から構成される。常に異世界に身を置いており、それぞれ好みのセフィラに身を浸している。人間が使徒に転生する「降魔の儀」の際に集合する。
- 使徒と違い物理的な肉体を持たず巨大な思念体であるらしい。よって通常空間(現世)にはそのままの姿で現れる事は無く、何らかの物体に憑依するなどの手段で降臨する事がある。5人目のゴッドハンド・フェムトとなったグリフィスは受肉という手段で現世に戻った。
- 能力は様々で空間を歪める・過去を見せる・念動力など、異空間の中ではほぼ無敵と思われる。また現世にも直接ではないにしろ様々な形で影響を与えている。
- ガッツと髑髏の騎士が倒す目標としているが、通常空間には現れないため、方法を模索している。
- 「神の手」の名の通り、降魔の儀に際しては異世界の中で人間の手をかたどった祭壇の上に現われた。
- 作者によれば、「最初に登場したゴッドハンドはボイドで、後から次々と出てきて五人目のフェムトで完了する」そうである。
- 使徒
- ベヘリットに導かれた者がゴッドハンドに出会い、贄を奉げることで転生した人外の化物。ゴッドハンドが「守護天使」と呼ばれるのに対応して、その下で活動する下位の魔物といった位置付けである。
- 外見・能力は一定していないが、転生時の精神状態や渇望の大きさなど様々な要因で決まるようである。ほぼ全ての使徒が人間に近い姿に化ける(戻る?)事が可能で、普段は人間社会に溶け込んでいる者も多い。人間形態時でも普通の人間より高い能力を発揮できるが、全力を出す場合は使徒としての姿になる必要がある。
- 能力もピンキリで、人間より力が強い程度の者から天候を操れるほどの者までいる。一部の使徒は普通の人間を「使徒もどき」とする事も可能である。
- 行動の制限は特に無く、「望むままを行う」というのが唯一の戒律である。よって行動は使徒それぞれで違う。雑魚レベルの使徒はただ食欲に導かれて人を喰らうのみだが、上位の使徒は確固とした自我と信念を持ち、人間世界に溶け込んで伯爵や城主などの高い地位を得て権力を行使している者もいる。
- 「使徒」の名称は、イエス・キリストに従う十二人の使徒を意識したものであろうが、人数は定まっておらず、雑魚を含めれば無数にいる。
- 基本的には不老だが不死ではない。ただしほぼ全ての使徒が強力な再生能力を持っており、手足がちぎれた程度のダメージでは瞬く間に回復してしまう。特定の弱点があるのかは不明だが、脳や心臓を破壊するなど再生が追いつかない程のダメージを与える事で倒す事が可能である。ただし、物語が進むにつれ、ガニシュカ大帝のようなもはや剣の力だけではどうしようもない程の力を持った強力な使徒が現れつつある。
- ベルセルクの世界では、生物は死んでも輪廻の輪の中に入っており、また人・あるいは別の生物に生まれ変われるらしいが、使徒に転生した者が死んだ場合はこの輪から外れ、未来永劫生まれ変わる事はない。永遠に幽界の最深部で渦巻く思念の渦の一つになってしまうのである。
- 使徒もどき
- ゴッドハンドが人を使徒に転生させるように、使徒の力によって人外の魔物に変えられた者。この能力を持つ使徒はごく一部に限られるらしく、また使徒ごとにその手法は異なる。例えば、伯爵は自らの分身を人の口から入り込ませて寄生させ、全身の肉体を魔に変容させていたが、完璧な世界の卵は棘のついた触手で刺すことで(恐らく何らかの物質を注入)、人間をその信念に応じた形態に変化させることができる。ロシーヌは、子供たちをさらって繭の中で蜂を擬人化したような妖精もどきに生れ変わらせており、大人たちは巨大な昆虫に変身させて自分たちの楽園の護衛としていた。
- 夢魔(インキュバス)
- 人に悪夢を植え付けその恐怖を喰らう悪霊。怨念を残して死んだ人間の血と性液が混じりあって生まれる。
- ガッツの『烙印』の力に引き寄せられ、ガッツを苦しめていた。しかしシールケが『護符』を施してからは、烙印の力に引き寄せられることはなくなった。夢魔、インキュバスなどを参照。
- 獣鬼(トロール)
- エルフの郷へ向かうガッツ一行が遭遇した、異形の種族。外見は直立した獣で、簡単な道具を使う程度の知能はある。極めて貪食で、倒れた仲間を喰ったり共喰いなどを日常的に行っている。洞窟の中など暗い所を棲家とし、人間の女をさらって繁殖する。オーグルとともに、ゴッドハンド・スランの支配する領域「クリフォト」を棲家とし、彼女の意のままにいくらでも産み出される。
- トロールはファンタジーではよく出てくる種族で、ムーミンもトロールの一種である(トトロも、一説によれば「トロル」が舌足らずで「トトロ」となったものらしい)。
- 巨鬼(オーグル)
- 一般にオーガもしくはオーガーと呼ばれる巨体の魔物。顔面が異様に前方へせり出し、男根のような形状をしている。オーガは中世の騎士道物語においては人喰いの怪物として描かれるが、作中におけるオーグルは、通常は現世に姿を現すことはなく幽界に身を置いている存在らしい。
- 川馬(ケルピー)
- 馬の身体にカエルのような顔をしている。水を自在に操る能力をもつ水妖。旅人を川で溺れさせるという。ケルピーを参照。
- 妖獣兵(ピシャーチャ)
- ミッドランドを蹂躙したクシャーン帝国が用いる人外の兵団の主力。使徒に転じたガニシュカ大帝の妖術によって、動物から産み出された魔道生命体である。象や鰐の獣人などによる戦闘部隊であり、ミッドランド王都での残党狩りも請け負っている。ヴリタニスでの舞踏会を襲った虎たちもこの一員。クシャーンの妖術師の思念で操られている様である。
- 呼称はインド神話のピシャーチャ(ピシャチ)に由来する。ピシャーチャは変幻自在で死人の肉を喰らい、人間や家畜の血や生気を吸うというグールに近い魔物である。
- 鬼兵(ダーカ)
- 角の生えた鬼の姿をした妖魔。妖獣兵と同じく、ガニシュカ大帝の妖術で生み出された戦闘部隊である。使徒の体内は幽界につながっているため、これを応用して、生きたまま使徒の体を切り開いて数頭縫い合わせた肉嚢の中に羊水を満たし、胎児を孕んだ女を放り込み、その胎児に魔を宿らせることで生み出していた。
- 海獣(マカラ)
- 妖獣兵と同じく、動物(鯨)から生み出された魔道生命体。他の妖獣兵や鬼兵に比べて極めて巨大で、象を思わせる長い鼻と耳を持つ。動き、霊的感受性は極めて鈍いが、巨体ゆえにパワーとタフネスは凄まじく、一匹いれば軍艦10隻は沈めることが可能らしい。海中、陸上のどちらでも活動できる。インド神話の海獣マカラに由来。
- 塒神(クンダリーニ)
- 白い大蛇を憑代(よりしろ)とする水妖。川馬とは同族にあたるが、その力は桁外れのもので、港一帯の海水全てを自らの支配下に置く程の霊力を有する。水の竜巻や水圧を利用したウォーターカッターのような攻撃が得意。又、自らの体の回りに蛇を象った水の巨体を纏い、その中を自在に泳ぎ回ることで敵の攻撃も届かない。クシャーン妖獣兵団最強の魔獣とされ、仙将ダイバによって直接使役される。
[編集] 精霊
- 四方の王
- 幽界の深層にいる、4体の偉大な力を持った霊体。法王庁の聖典に記された四方の守護天使の事でもある。風と東を司る「東の王」、西と水を司る「西の王」、南と火を司る「南の王」、北と地を司る「北の王」がいる。
- シールケは彼らの力を借りて悪霊を滅却する結界「四方の王の陣」を張る事ができる。ただしこの結界は寺院や聖地といった徳の高い「場」を媒介とする必要がある(魔術の力が強く働く満月の夜は除く)。又、純粋な霊体ではなく、何らかの肉体に宿った悪霊に対しては効果が薄れる。
- 水底の貴婦人
- イーノック村の付近を流れる川の精霊。昔はイーノック村で崇められていたが、法王庁の教えが広まり徐々に忘れ去られていった。川馬よりも上位の力を持ち、川を氾濫させて獣鬼達を押し流した。
- 腐根の主
- イーノック村近隣の森に住まう、枯れ木と汚泥の精霊。術者から瘴気を放ち、それを浴びたものを朽ち果てさせる。
- 炎の車輪
- 戦場に宿る炎の精霊。術の媒介となる物質から超高温の炎を発火させ、術者の敵となる者を焼き尽くす。
[編集] 事象
- 降魔の儀
- 人間が使徒、又はゴッドハンドに転生する為の儀式。ベヘリットによって開かれた異次元空間で、ゴッドハンド(主にボイド)が取り仕切って行われる。
- 降魔の儀において人間が使徒(又はゴッドハンド)に転生する為には、「自らの半身とも呼べる最も大切なもの」を生贄に捧げる必要があり、その代償として生贄を捧げた人間は自らの渇望を満たす為の力を得る(転生する)事ができる。生贄として差し出された者には「生贄の烙印」が刻まれる。
- 蝕
- 216年に一度、因果に結ばれてゴッドハンドに転生しうる者が出てきた時に繰り広げられる、ゴッドハンド生誕の儀式。真紅のベヘリット「覇王の卵」を手にした者が、強烈な欲求、あるいは絶望の感情に堕ちたとき、日蝕と共に異世界の扉が開き、そこでゴッドハンドに転生する為の降魔の儀が執り行われる。蝕において執り行われる降魔の儀には多数の使徒も立ち会い、ゴッドハンド降臨の生贄に捧げられた者たちは襲い来る使徒たちに食い殺される。
- 蝕における生贄は得てして大人数であるようで、この狂宴で使徒に食われた生贄の骸によって、海が血の色に染まるという。グリフィスがフェムトに転生する際の蝕においては、鷹の団全員(およそ1000人弱)が生贄に捧げられた。
- 模蝕
- 1000年に一度、蝕が模されてゴッドハンドの一人が受肉し、この地上に降り立つという現象。聖アルビオン寺院(断罪の塔)において、ガッツ、キャスカという贄の烙印を押されながら生き延びた人間が二人同時にいたことから、それに触発されて起きた。ゴッドハンドとおぼしき影が現われるが、いずれも悪霊どもが形を模したものである。そこに使徒の一、完璧な世界の卵が現われ、闇の翼フェムト=グリフィスの受肉の母胎となった。
[編集] 象徴
- 生贄の烙印
- 降魔の儀において生贄として捧げられたものに刻まれる烙印。烙印を刻まれたものは「闇に捧げられた供物」として現世と幽界の「狭間」の領域に立たされる事となり、常に悪霊に付け狙われる様になる。気を抜けば悪霊に取り殺されてしまう為、烙印を刻まれたものは夜も満足に眠る事ができない(もっとも、生贄として捧げられた者が降魔の儀から生還する事はきわめて稀である)。
- また、「魔の存在」に感応する性質があり、使徒や悪霊が接近すると痛みを伴い流血する。その痛みは魔の存在のレベルに比例し、ゴッドハンドが間近にいた場合は、凄まじい激痛を感じる。ガッツはこの烙印の反応を頼りに使徒を探し回っている。
- 護符
- いわゆるお守りだが、魔術士の護符は気休めではなく、退魔の力が宿る。
- フローラが獣鬼退治と引き換えにガッツたちに拵えた護符は、生贄の烙印の力を制御し悪霊を寄せ付けない働きがある。また、ガッツの為の護符は狂戦士の甲冑に刻まれており、ガッツの精神が甲冑に取り込まれる事を防ぐ役割も(多少ではあるが)果たしている。
- 又、シールケが仲間に加わって以来、ガッツとキャスカの烙印には直接シールケによる護符が施されている。この護符もフローラの護符と同じく、悪霊を寄せ付けない働きを持つ。ただし有効期間はフローラの護符に比べ遥かに短くせいぜい2~3日程度。この護符は効力が切れるたびに再び施されているものと思われる。
[編集] 単行本未収録話
用語集、ベヘリットの項目でも触れたが、単行本化の際、第83話「深淵の神②」は本来収録されるはずであった第13巻からは外されている。理由は前出の通り、あまりにベルセルクの世界設定を割りすぎていたため、作者自らはずす形となった。
- 内容はグリフィスと深淵の神との対話を中心に進まれる。そこでグリフィスは、すべての人間の心に潜む闇が神を作り出したこと、神は人間という存在の運命を一人一人紡いでいること、自分の存在はその神によって歴史、血脈、環境を操作され作り出されたことを知る。これが運命であると受け入れたグリフィスは神に問いかける。
- 「神よ、お前はオレに何を望む!?」
- 「あるがままにあれ、望むままを行え、選ばれし者よ」
- 「・・・ならば翼を」
- 神の祝福を受けた白い鷹は、翼を携え復活を果たす。
そして物語はガッツが使徒相手に孤軍奮闘するシーン第84話「鮮血」へと続いていく。
[編集] アニメ版
[編集] 剣風伝奇ベルセルク
1997年10月8日から1998年4月1日まで日本テレビで、当時ではまだ珍しい深夜アニメ枠で放映された。全25話。DVD・ビデオに7巻にまとめられている。レンタル用のプロモーションとして0巻もある。
「黄金時代篇」を中心にアニメ化しており、漫画にはないオリジナルエピソードも加えられている。しかし、後半はかなりの急展開となっており、漫画の多くの部分がカットされている点で不満が多い。良くも悪くも漫画販売促進のためのアニメとなっている。
また、オープニング画像は当初激しい点滅を伴うものであったが、ポケモンショック騒動後に穏やかな演出の物に差し替えられた。
詳しい情報は『剣風伝奇 ベルセルク BERSERK』及び剣風伝記ベルセルクを参照。
メインキャラの声優
- ガッツ:神奈延年
- 少年ガッツ:福島おりね、三浦智子
- グリフィス:森川智之
- 少年グリフィス:高山みなみ
- キャスカ:宮村優子
- コルカス:西村朋紘
- ピピン:天田益男
- ジュドー:石田彰
- リッケルト:矢島晶子
- ガストン:川中子雅人
- ボイド、ナレーション:石塚運昇
- スラン:田中敦子
- ユービック:茶風林
- コンラッド:西尾徳
- ゾッド:内海賢二
- ガンビーノ:若本規夫
- アドン:玄田哲章
- 国王:大木民夫
- ユリウス:水野龍司
- ボスコーン:沢木郁也
- シャルロット:白鳥由里
- フォス:辻村真人
スタッフ
- 原作:三浦建太郎
- 監督:高橋ナオヒト
- メインキャラクターデザイン:馬越嘉彦
- キャラクターデザイン:松原徳弘
- プロパティデザイン:深沢幸司
- 総作画監督:松原徳弘、千羽由利子
- 美術監督:小林七郎
- 撮影監督:吉田光伸
- 編集:辺見俊夫
- 音楽:平沢進
- 音響監督:加藤敏
- プロデューサー:中谷敏夫、奥野敏聡
- アニメーションプロデューサー:神田修吉
- 制作協力:オー・エル・エム
- オープニングテーマ
- 「TELL ME WHY」 歌:PENPALS
- エンディングテーマ
- 「Waiting So Long」 歌:Silver Fins
- 劇中歌
- 「BERSERK~Forces~」 歌:平沢進
全話タイトル(英語版)
- 黒い戦士 - The Black Swordsman
- 鷹の団 - Band Of The Hawk
- 初陣 - Baptism of Fire
- 神の手 - Hand Of God
- 剣風 - Sword of Wind
- 不死のゾッド - Zodd the Immortal
- 剣の主 - The Sword Master
- 陰謀 - Conspiracy
- 暗殺 - Assassination
- 貴きもの - Nobleman
- 合戦 - Battle Engagement
- ふたり - Two People
- 決死行 - Suicidal Act
- 夢のかがり火 - Campfire of Dreams
- 決戦 - The Decisive Battle
- 勝利者 - The Conqueror
- 栄光の瞬間 - Moment of Glory
- 炎の墓標 - Tombstone of Flames
- 別れ - Parting
- 火花 - The Spark
- 告白 - Confession
- 潜入 - The Infiltration
- 前夜祭 - Eve of the Feast
- 蝕 - Eclipse
- 永遠の刻 - Perpetual Time
- 当時、ベルセルクのアニメ化には多くの障害が存在していた。残酷な暴力表現や、原作特有の細部に至るまで書き込まれた絵はアニメでの再現は難しく、神戸連続児童殺傷事件の影響もあり、放送は不可能とされていた。深夜アニメ枠での放送が決定した後も、制作費の問題が大きく立ちふさがった。通常であれば、オモチャやゲームなどで制作費を回収するのがアニメ界の常識であるが、ベルセルクの場合はあくまで漫画主導であり、一般のオモチャ主導型のアニメとは違っていた。しかし製作者サイドは逆に、採算を度外視した高いクオリティーのアニメにすることで、多くのファンを開拓する手法に出た。結果としてこれが成功をおさめ、ベルセルクは漫画・アニメ共に大ヒットした。今では定番となった日本テレビの深夜アニメ枠は、この「剣風伝奇ベルセルク」によって定着したと言っていい。後にこの枠は、「MASTERキートン」、「はじめの一歩」、「MONSTER」など数々の名作アニメを生み出すこととなる。
- アニメの放送期間中、原作者の三浦建太郎は「断罪篇 ロストチルドレンの章」を、ほぼ休載することなく書き上げており、ベルセルクのヒットに一役買っている。その際の作者の睡眠時間はほとんどなく、不眠不休に近い作業であった。
- アニメ版ではパック、髑髏の騎士、ワイアルド、シラットなどの重要人物が登場しておらず、終盤は多くの謎を残したままの終了となった。特に髑髏の騎士が登場しなかったことで、リッケルトの生死、ガッツがどうやって蝕から生き残ったのかなどの描写が一切排除されてしまった。これにより、今後、「剣風伝奇ベルセルク」からの直接の続編が作られる可能性は限りなく低いと思われる。
- 各回の終了時、毎回「号外!ミッドランダム」というミニコーナーが放送されていた。出演は神奈、森川、宮村。
[編集] もうひとつの第1話
アニメ版の第1話「黒い剣士」は、原作の第1話に相当するが、当初、三浦建太郎は原作と違った第1話にする構想があった。
- 雨の中の城攻めのシーンから始まる。戦いを終えたガンビーノは暗い雨の中、稲津で浮かび上がるゾッドと髑髏の騎士の戦いを目撃する。あまりに幻想的なシーンにガンビーノに不吉な予感が走る。
- 翌朝、ガッツを拾う。(以下、単行本の通り)
- 少し大きくなったガッツは、戦場で死んだ騎士から甲冑をはぎ、必死にガンビーノのもとへ持っていく。作戦会議中のガンビーノはガッツを邪険に扱う。夕日の中、ガッツは犬とたわむれ寂しさをまぎらわす。
- 相変わらず戦場あさりをするガッツは夢中になって本隊とはぐれてしまう。そこにゾッド(人間の姿)があらわれる。死体の下に隠れるガッツはゾッドから人間離れなオーラを直感する。ゾッドは残党との小競り合いを起こす。戦いのあとのゾッドの神々しい姿をガッツはおびえながらも見る。その後、無事本隊に合流する。
- いつもにもどって剣の練習。(単行本の通り)
- 10歳になりガッツは初陣をとげる。敵に突っ込むガッツ、戦いの緊張感に包まれる。(第2話に続く)
[編集] ゲーム版
[編集] 千年帝国の鷹篇 喪失花の章 (DC)
ドリームキャスト版アクションゲーム。株式会社アスキーから1999年12月に発売された。
原作の漫画のキャスカ救出後を舞台としており、「断罪篇 生誕祭の章」(17-21巻)と「千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章」(22-27巻)の間に位置し、オリジナルストーリーを展開している。シナリオは原作者である三浦建太郎が担当。 ゲーム発売当時、原作は18巻(生誕祭の章前半)までしか発刊されていなかったため、「断罪篇」の後をネタバレするという意味で話題となった。
土から引き抜こうとすると恐ろしい悲鳴を上げ、それを聞いた人間は死ぬと言われている植物「マンドラゴラ」。その伝説の植物の名を冠せられた奇怪な植物が夜な夜な歩き回り、人間に取り憑いて正気を失わしめるという。
原作に忠実に、ドラゴン殺し、ナイフ投げ、ボウガン、炸裂弾、大砲の武器を選択することができ、必殺技「大砲斬り」も再現可能。 シナリオの出来やゲームの操作性といった点で、アクションゲームの中でもドリームキャストソフト屈指の名作と呼ばれている。
主題歌
- 「ForcesⅡ」 歌:平沢進
キャラの声優
[編集] 千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 (PS2)
PlayStation2版アクションアドベンチャーゲーム。ゲーム化第二作で、サミーから2004年10月7日発売。発売時にはCEROレーティング18歳以上対象だったが、2006年の規制強化によるレーティング見直しにより、18才未満販売禁止ソフトとなった。
「千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章」(22-27巻)にオリジナルシナリオを追加した内容である。
ドリームキャスト版に比べグラフィックが格段に向上しているものの、ひたすら同じ雑魚敵を倒すアクションが延々と続くため、ゲームとしての評価はあまり高くない。しかし、CGでの蝕など名場面の再現はファンにとっては必見である。
平沢進によるオープニングテーマは、あえて歌詞を無国籍風に仕上げており、ベルセルク世界の雰囲気を見事に表現している。
主題歌
- 「Sign」 歌:平沢進
キャラの声優
- ガッツ:神奈延年
- パック:渕崎ゆり子
- キャスカ:宮村優子
- シールケ:ゆかな
- イシドロ:吉野裕行
- セルピコ:水島大宙
- ファルネーゼ:後藤邑子
- イバレラ:田村ゆかり
- グリフィス:森川智之
- ゾッド:内海賢二
- グルンベルド:玄田哲章
- ジュドー:石田彰
- ピピン:天田益男
- コルカス:西村朋紘
- ボイド:石塚運昇
- スラン:田中敦子
- ユービック:茶風林
- フローラ:島本須美
- 髑髏の騎士:磯部勉
- シャルル:豊口めぐみ
[編集] トレーディングカードゲーム版
『ベルセルク』世界を元にしたカードゲームで、コナミから発売されている。
ゲームの概要は、プレイヤーが傭兵隊長として様々なキャラクターを仲間にし、都市に傭兵を差し向け攻略したりすることで、都市を占拠して戦利品を得ていくという内容になっている。自分の国を手に入れることもできる。
[編集] フィギュア版
『ベルセルク』のキャラクターの公式フィギュアは、株式会社謙信 ART OF WAR が製作している。
[編集] 関連書籍
単行本
- 『ベルセルク』 (1~31巻) 三浦建太郎 (白泉社ジェッツコミックス)
公式本
- 『画集ベルセルク』 三浦建太郎 (白泉社) ISBN 4592731387
- 『ベルセルク ポストカードブック WAR CRY 雄叫び』(白泉社) ISBN 4592731522
- 『Berserk剣風伝奇完全解析書』 ヤングアニマル編集部 (白泉社) ISBN 4592731573
- アニメ版公式ガイドブック。
- 『ベルセルクビジュアル&ストーリーFILE―千年帝国の鷹篇喪失花の章』 (白泉社) ISBN 4592731697
- ゲーム版公式設定資料集。
評論
- 『マンガ夜話 vol.8』 (キネマ旬報社) ISBN 4873765404
- BSマンガ夜話の内容をまとめたもの。『ベルセルク』と、ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー』の2作を取り上げている。
謎本
- 『「ベルセルク」の謎』 「鷹の団」再建委員会 (文化創作出版 ) ISBN 4893871633
- 『ベルセルク 正気と狂気の構造』 水出弘一 (フットワーク出版) ISBN 4876893454
- 『ベルセルク深層心理分析書』 渡辺水央 (フットワーク出版) ISBN 4876894558
- 『ベルセルク病巣解析書―罪深き欲望と憎悪』 大沼孝次 (フットワーク出版) ISBN 487689292X
- 『ベルセルク完全解析書―異常心理とダークな刺激の世界』 大沼孝次 (フットワーク出版社) ISBN 4876893462
ゲーム攻略本
- 『ベルセルク公式ガイドブック―黒き剣士の道標』 (アスキー) ISBN 475720647X
- 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 オフィシャルガイド』 (光栄) ISBN 4775802364
- 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 公式パーフェクトガイド』 (エンターブレイン) ISBN 4757720769
CD
- 『剣風伝奇ベルセルク オリジナル・サウンドトラック』
- 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 喪失花の章 オリジナルゲーム・サウンドトラック』
- 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 オリジナル・サウンドトラック』
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
公式サイト
- Berserk Official site(ベルセルク公式サイト)
- ベルセルク 千年王国の鷹編 聖魔戦記の章(ゲーム版公式サイト)
- ベルセルク トレーディングカードゲーム(トレカ版公式サイト)
- 株式会社謙信 ART OF WAR(フィギュア版公式サイト)
考察・データ系サイト
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