ポストモダン文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
ポストモダン文学は近代文学の特徴に反する特徴を持つ文学のことである。近代文学は無矛盾性、秩序性、明晰性、簡潔性、建設性、独創性、普遍性などの特徴を持つ。これに対し、ポストモダン文学は物語の矛盾を肯定的に含んだり、(むしろ物語は常に矛盾を含むものである、といった姿勢)時間軸の無秩序性、衒学性、蕩尽性、記号性、全面的破壊、模倣、大きな物語の終焉、普遍性への懐疑、自己の解体等々である。
ポストモダン文学は近代文学へのアンチテーゼということ以外、明確な定義はない。通常○○文学という場合には、それを特徴づける形質があるが、ポストモダン文学の場合には、そのような形質には乏しく、単に近代文学の補集合という意味合いが強い。これは他のポストモダン建築、思想、芸術と同じである。
日本におけるポストモダン文学は1980年代に始まり、最初の作品として1980年の文藝賞受賞作品、田中康夫の『なんとなく、クリスタル』があげられることが多い。消費生活を享受する女子大学生の日常を描きながらの、文中に登場する香水、ミュージシャン、レストランについての膨大で詳細な注釈は斬新なものとして受け止められた。
1981年には、高橋源一郎が現代詩のコンテクストを持つ『さようなら、ギャングたち』でデビュー、群像新人長篇小説賞優秀賞を受賞。1983年にはロシア文学に造詣の深い島田雅彦が『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビューし、芥川賞候補になるが落選。翌1984年には歌舞伎に造詣の深い小林恭二が『電話男』でデビューし、海燕新人文学賞受賞。この高橋源一郎、島田雅彦、小林恭二らはその後も独自の作風で執筆を続けたことから、ポストモダン文学の三旗手と呼ばれた。
[編集] 海外の代表的なポストモダン作家
- トマス・ピンチョン
- ドン・デリーロ
- ジョン・バース
- リチャード・パワーズ
- マーク・Z・ダニエレブスキー
- ウラジミール・ソローキン
- アレクセイ・スラポフスキー
- ポール・オースター
- エルンスト・ユンガー