マヨネーズ
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マヨネーズ (mayonnaise) とは、本来フランス料理のソースの一種であり、食用油・酢・卵を主材料とした半固体状ドレッシング。一般的には、サラダ等に使用されることが多い。近年では調味料として様々な料理に広範に利用されている。卵は卵黄のみ使用するものと全卵を使用するものがある。
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[編集] 製法
マヨネーズには様々な製法があるが、家庭で作る場合の典型的な製法は以下の通りである。
- 卵黄1個に対し、酢を大さじ1程度入れる。
- それをハンドミキサーなどで十分に撹拌する。
- 卵黄1個に対し200cc程度の食用油を少しずつ加えてさらに撹拌する。
- 塩やうま味調味料などを好みで加えて味を整える。
日本農林規格 (JAS) には「ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料品質表示基準 [1]」というものがあり、マヨネーズとは「半固体状ドレッシングのうち、卵黄又は全卵を使用し、かつ、必須原材料、卵 黄、卵白、たん白加水分解物、食塩、砂糖類、香辛料、調味料(アミノ酸等)及び酸味料以外の原材料を使用していないものをいう。 」となっている。また、ドレッシングは「1、食用植物油脂(香味食用油を除く。以下同じ。)及び食酢若しくはかんき つ類の果汁(以下この条において「必須原材料」という)に食塩、砂糖類 、香辛料等を加えて調製し、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液 状の調味料又は分離液状の調味料であって、主としてサラダに使用するもの。 2、1にピクルスの細片等を加えたもの」、半固体状ドレッシングは「ドレッシングのうち、粘度が30Pa・s以上のものをいう。」と規定されている。
[編集] 語源
マヨネーズの語源に関してはたくさんの説があり、メノルカ島のマオン、マヨルカ島、フランスのバイヨンヌなど地名説だけでもいくつもの説が存在する。毎日放送の世界ウルルン滞在記ではマヨルカ島がマヨネーズの語源として紹介されていた。
マヨネーズの語源が元で起きた裁判がある。フジテレビの「クイズ$ミリオネア」で、解答者がマヨネーズの語源を問う4択問題が出題された際「人の名前」を選んだが、番組が示した正解は「町の名前」(マオン)だった。これに疑問を抱いた解答者がインターネットで調査し、「人の名前」も一説にあると主張。番組に対し本来獲得できた7,500,000円の差額、6,500,000円を支払うよう訴訟を起こした。裁判では、「クイズの正解の設定権はテレビ局側にある」という理由で原告側が敗訴している。
[編集] 栄養と食品衛生
上記製法からわかる通り、マヨネーズには食用油が多く含まれている。卵や酢の影響で油臭さを感じないため多く使いがちであるが、1日あたり大さじ1杯以上のマヨネーズを食べる事は、人によっては栄養学上好ましくない場合がある。しかし、植物油を用いて作られたマヨネーズなら不飽和脂肪酸や酸が健康に役立つ面もあるので、摂取量さえ気をつければ栄養的に優れた食品ともいえる。
マヨネーズは水分活性が低く、酸性度が高いため、細菌が生存できる環境ではない。ゆえに長期保存しても安全である。 市販のマヨネーズにサルモネラ菌などの食中毒菌を付着させても、1日~数日で死滅する。(全国マヨネーズ・ドレッシング類協会が調べた資料[2]による)
ただし、撹拌が十分でない、酢が少ない、水などで薄まっているといった場合には雑菌が繁殖するので注意が必要である。
[編集] その他
マヨネーズは、時々「マヨ」と略されて呼ばれることもある。(ちなみに英語でも"mayo"(ただし発音は「メイヨー」)と略される。)
マヨネーズが好きな人は「マヨラー」と呼ばれ、極端なマヨラーとなるとマヨネーズを容器からそのまま食べたり(「マヨチュッチュ」とも呼ばれる)、和洋問わずあらゆる料理にかけて食べる人もいる。
国産初のマヨネーズは1925年3月9日に発売されたキユーピーマヨネーズ。
ソフトチューブ入りか瓶入りで販売されている。中身は同じなのに、瓶入りのほうがおいしいという声があるが、これは瓶のほうが密閉性が高く、外気圧に影響されないからだという。一方、マヨネーズは空気に触れていると変質が進むため、ソフトチューブの中の空気を追い出してから蓋を閉めることで、むしろ瓶入りよりも鮮度が保てるという意見もある。
健康への配慮から、卵を使用せずに、大豆など植物性原料のみで作った「大豆マヨネーズ」(「豆腐マヨネーズ」「ソイネーズ」「とうにゅうず」など名称は多彩)も販売されている。アメリカでは、Nayonaise が有名。
タルタルソースより普及が早かったこともあり、定食や家庭料理のフライに、タルタルソースに代えて添えられる場合が多い。