ラスベガス
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ラスベガス(Las Vegas スペイン語:ラスベガス、英語:ラスヴェイガス)は、アメリカ合衆国西部のネバダ州南部にある同州最大の都市。気候は砂漠気候。
東海岸ニュージャージー州のアトランティックシティと並んで、カジノなどのギャンブルで有名。またネバダ州は法人税、個人所得税等がない上に、他の税金も非常に税率が低い為、シティバンクをはじめ大手有名企業が進出して来ていることでも知られる。
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[編集] 歴史
- 主要記事:ラスベガスの歴史
[編集] 発見
ラスベガスは1820年代後半、ソルトレイクシティからカリフォルニアを目指すモルモン教徒によって発見された。ネバダ砂漠の中にあってこの付近は窪んだ地形となっており、オアシスとなっていた。「ベガ」とはスペイン語で「肥沃な谷」の意で、「ベガス」はその複数形。これに女性定冠詞(複数形)を付けて「ラスベガス」となり、それが固有名詞となった。
[編集] ゴールドラッシュと鉄道の開通
1840年代末にカリフォルニアで金が発見され、ゴールドラッシュが起ると、砂漠の中の貴重な中継地点として、定住する者が現れた。
1905年、ユニオンパシフィック鉄道の開通に伴って、水の便の良いラスベガスは蒸気機関車への給水地となり、現在のダウンタウンに駅が造られた。
[編集] フーバーダムの建設
金鉱ブームも去った頃、1929年の株式大暴落に端を発した大恐慌が起り、さしたる産業のないネバダ州では、税収確保の為1931年賭博を合法化した。折しもルーズベルト大統領のニューディール政策によって、近郊にフーバーダムが建設されることとなり、労働者の流入と安価な電力の供給で街は大きく発展した。
1940年代に入るとダムから得られる豊富な電力を利用して、ネバダ砂漠に軍事基地や核実験場が続々と建設され、その関係者が町に住むようになった。
[編集] ホテルラッシュ
1946年、ベンジャミン・シーゲル(バグジーとして知られる)がフラミンゴホテルを建設し、カジノが収益を上げることが判ると、マフィアが続々とホテルを建設するようになったが、1960年代後半頃から当局の取締りが厳しくなるにつれ、マフィアは次々とホテルの経営権を手放すようになった。それに伴って投機ブームが起り、より広い土地が必要となったこともあって市街は南方に大きく拡張した。 そして1980年代の末頃から、巨大テーマホテルブームが起り現在に至っている。尚、客室数ベースで世界の12大ホテルのうち11軒がラスベガス地区に存在する。
ホテルが多い理由の一つとして、一定規模以上のカジノの建設は、客室数200室以上のホテルの付帯施設としてしか認可されないことも挙げられる。
[編集] 地理
ラスベガスは北緯36度11分39秒、西経115度13分19秒 (36.194168, 115.222060)1に位置している。アメリカ合衆国統計局によると、この都市は総面積293.6 km² (113.4 mi²) である。このうち293.5 km² (113.3 mi²) が陸地で0.1 km² (0.1 mi²) が水地域である。総面積の0.04%が水地域となっている。
山に囲まれたネバダ砂漠の中の盆地に市街地が広がっている。行政的には、ラスベガス市は現在ダウンタウンと呼ばれる地域一帯のみで、一般にラスベガスとして知られているのはラスベガス市を含むクラーク郡(ラスベガス都市圏)である。クラーク郡の人口は1,425,723人(2000年)で、ここ数年は毎年ほぼ75,000人ずつ増加している。
[編集] 人口動勢
2000年現在の国勢調査で、この都市は人口478,434人、176,750世帯、及び117,538家族が暮らしている。人口密度は1,630.3/km² (4,222.5/mi²) である。649.9/km² (1,683.3/mi²) の平均的な密度に190,724軒の住宅が建っている。この都市の人種的な構成は白人69.86%、アフリカン・アメリカン10.36%、先住民0.75%、アジア4.78%、太平洋諸島系0.45%、その他の人種9.75%、及び混血4.05%である。ここの人口の23.61%はヒスパニックまたはラテン系である。
この都市内の住民は25.9%が18歳未満の未成年、18歳以上24歳以下が8.8%、25歳以上44歳以下が32.0%、45歳以上64歳以下が21.7%、及び65歳以上が11.6%にわたっている。中央値年齢は34歳である。女性100人ごとに対して男性は103.3人である。18歳以上の女性100人ごとに対して男性は102.5人である。
この都市内の世帯ごとの平均的な収入は44,069米ドルであり、家族ごとの平均的な収入は50,465米ドルである。男性は35,511米ドルに対して女性は27,554米ドルの平均的な収入がある。この都市の一人当たりの収入 (per capita income) は22,060米ドルである。人口の11.9%及び家族の8.6%は貧困線以下である。全人口のうち18歳未満の15.4%及び65歳以上の8.3%は貧困線以下の生活を送っている。
2005年4月現在、ラスベガス・バレー全体の人口は約200万人であり、ハワイ州外で、最大のハワイ系コミュニティーが含まれる。
[編集] ホテル
- アラジン Aladdin プラネット・ハリウッドによりリニューアル中
- インペリアル・パレス Imperial Palace
- ウィン・ラスべガス Wynn Las Vegas
- エクスカリバー Excalibur
- MGMグランド MGM Grand
- オーリンズ Orleans
- サーカス・サーカス Circus Circus
- シーザーズ・パレス Caesars Palace
- スターダスト Stardust(2006年10月末閉鎖)
- ストラトスフィア Stratosphere Hotel
- TI:トレジャー・アイランド TI: Treasure Island
- トロピカーナ Tropicana
- ニューヨーク・ニューヨーク New York New York
- ハードロック・ホテル Hard Rock Hotel
- パームス Palms
- ハラーズ Harrah's
- バリーズ Bally's
- パリス Paris
- ヒルトン Hilton
- フーターズ Hooter's
- フォーシーズンズホテル Four Seasons
- フラミンゴ Flamingo
- ベネチアン Venetian
- ベラージオ Bellagio
- マンダレイ・ベイ Mandalay Bay
- ミラージュ Mirage
- モンテカルロ Monte Carlo
- リオ Rio
- ルクソール Luxor
[編集] 観光
大規模なホテルのほとんどにカジノが併設されており、24時間営業を行っている。それに伴って24時間営業のレストラン等もほぼ全てのホテルに存在する。「眠らない街」と呼ばれる由縁である。主に行われるギャンブルは、テーブルゲームではブラックジャック、クラップス、ルーレット、バカラ、ポーカーなど、マシンゲームではスロットマシン、ビデオポーカー、ビデオキノなど、その他にスポーツブック(スポーツベッティング)、キノなどである。
[編集] ショー
カジノの集客の為、各ホテルで様々なショーが開かれている。ヘッドライナーショーと呼ばれる有名歌手のショーは、古くはフランク・シナトラやエルビス・プレスリー、リベラーチェ。最近ではセリーヌ・ディオン、エルトン・ジョン等が常打公演を行っている。また、近年ブロードウェイでヒットしたミュージカルなども公演されており、ノートルダム・ド・パリ、シカゴ、ブルーマングループ、マンマ・ミーア!等が過去上演され、あるいは上演中である。2005年現在、シルク・ドゥ・ソレイユがサーカスを発展させた新しいタイプのショーを複数並行して公演しており人気を集めている。その他アクロバットを売物にしたショー、各種のマジックショー、プロダクションショーと呼ばれるレビュー形式のショーやスタンダップコメディ(漫談)等も盛んである。
[編集] ラスべガスで常打公演を行った歌手(概ね年代順)
- フランク・シナトラ
- ディーン・マーティン
- サミー・デイヴィスJr.
- ジェリー・ルイス
- リベラーチェ
- トニー・ベネット
- デビー・レイノルズ
- エルビス・プレスリー
- ジョニー・マティス
- ジャック・ジョーンズ
- エンゲルベルト・フンパーディンク
- トム・ジョーンズ
- ニール・セダカ
- ポール・アンカ
- ウェイン・ニュートン
- セリーヌ・ディオン
- エルトン・ジョン
- バリー・マニロウ
[編集] ホテル自体のアトラクション
各ホテル屋外あるいは屋内で様々なアトラクションが行われている。有料のアトラクションについては、以前は集客の為、安価に設定されることが多かったが、近年客層の変化(ギャンブルをしない客の増加)の為か料金が高騰する傾向である。その一方で、ベラージオホテルの噴水ショー、ミラージュホテルの火山のアトラクション、T.I.(トレジャー・アイランド)の『サイレンズオブT.I.』など無料で観覧できる上質なアトラクションも数多く存在する。その他にも、ラスベガス・ヒルトンの『スタートレック・ジ・エクスペリエンス』などのような、有料のアトラクションも多い。
また格闘技系スポーツイベントも頻繁に行われ、ボクシングの重量級の世界タイトルマッチは特に人気で、10,000人規模の観客を集める。
[編集] 近郊への観光
近郊ではフーバーダム及びそのダム湖であるミード湖の観光が盛んである。レッドロック・キャニオン、デスバレーも近い。また、近郊といっても500 km余り離れているが、グランド・キャニオン、モニュメント・バレー、ザイオン国立公園、ブラック・キャニオン、パウエル湖等へはラスベガスからのツアーで行くことが一般的である。更に、ヨセミテ国立公園へのツアーなども存在する。
[編集] コンベンション
近年、コンベンション(大規模展示会、見本市)の誘致が盛んであり、毎月のように数万人規模のものがスケジュールされている。中でも、通常閑散期となる6月、11月頃は特に大規模なコンベンションがほぼ週末毎に開かれる。コンベンションの主催者にとって、参加者数をいかに増やすかが至上命題であり、コンベンション以外にも娯楽の多いラスベガスは、参加者にとって、ひいてはコンベンション主催者にとって魅力的な開催地となっていることが、その背景にある。
会場としてはラスベガスコンベンションセンター(LVCC)、サンズコンベンションセンター(SCC)が大きいが、大きなホテルの中には自前で施設を持つものも少なくない。
[編集] 結婚式
ラスベガスには結婚式場、あるいは専ら結婚式のみを行う為の教会が数多く存在し、Wedding Capital of the World を標榜している。要因としてネバダ州は婚姻の手続(離婚もだが)が簡単なことが挙げられ、アメリカの他州の多くで求められる血液検査や、婚姻許可前の再考期間もなく、日本でいう住民票があればよい。
[編集] アクセス
日本からのアクセスは、かつては、ロサンゼルス国際空港あるいはサンフランシスコ国際空港で国内線に乗り継いでラスベガスに入っていたが、1998年からノースウェスト航空と日本航空がそれぞれ成田国際空港-マッキャラン国際空港間にノンストップ便の運行を開始。しかし、NWA は2001年3月で撤退、JAL も同年9月のアメリカ同時多発テロ以降、本数を週3本に減便し、2006年9月限りで撤退した。
鉄道のアムトラックは1997年にラスベガス駅の旅客取扱を廃止した。高速バスのグレイハウンド (バス)もロサンゼルスとの間に14往復(所要時間6~7時間程度)が運行されているものの、ロサンゼルス側の停留所は比較的治安の悪い場所にある(特に夜間)。
同名の都市が、ニューメキシコ州、サンタフェの東にある。ネバダ州のラスベガスに倣ってか、農地を利用して「牛糞カジノ」が開催される事で、名が知られるようになった。第14回アメリカ横断ウルトラクイズの優勝賞品にも、この牛糞カジノのオーナー権が選ばれている。詳細はw:Las Vegas, New Mexico を参考のこと。
[編集] 外部リンク
- City of Las Vegas(英語版)
- ラスベガス市観光局(日本語版)
- Las Vegas Metropolitan Police Department(英語版)
- Egional Transportation Commission of Southern Nevada(英語版)
- KCLV Ch2(英語版) 市営テレビ局
- ラスベガス大全
- ラスベガスの何処
- 賢者のラスベガス
- ベガスカフェ
- ようこそラスベガス
- エンジョイ!ラスベガス
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