日産・VQエンジン
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VQエンジンとは、日産自動車のV型6気筒ガソリンエンジン。これまで、日産のV6エンジンはVG型・VE型があったが、それらに代わる新世代エンジンとして、1994年より生産を開始。最初に搭載された車種は2代目セフィーロで、それ以降日産の上級車種に採用されているほか、現在ではRB系エンジン(RB20)の後継も兼ねる形となっている。2000ccから4000ccまでの幅広いラインナップを用意し、全タイプツインカム。インジェクション仕様と直噴仕様(NEO-Di)を設定。前者は日産のエンジン形式ルールにより「E」、後者は「D」がつく。基本的にプレミアムガソリンを使用するが、3代目セフィーロ最終型(2001年以降)のVQ20DEと、VQ23DE、エルグランドに搭載されているVQ25DEはレギュラーガソリン仕様となっている。日産はVQエンジンの生産に当たって、福島県いわき市にVQエンジン専用の新工場を建設した。
VQエンジンは、アメリカのWard's AutoWorld magazine社が毎年選出する10best engineに、12年連続で選出されている。この記録は選出回数、連続記録ともに世界一の快挙である。
現在では、一部が事実上の親会社ルノーの上級車種にも使われている。
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[編集] バリエーション
[編集] VQ20DE
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ
- 排気量 1.995L
- ボア×ストローク 76.0×73.3
- 圧縮比 9.5 - 10.0
<出力・トルク>
- (1)114kw(155ps)/6,400rpm 186Nm(19.0kgm)/4,400rpm
- (2)117kw(160ps)/6,400rpm 196Nm(20.0kgm)/4,400rpm
- (3)110kw(150ps)/6,400rpm 186Nm(19.0kgm)/4,400rpm
<主な搭載車種>
- 1994-2002 日産・セフィーロ A32、A33
- 1995-1999 Nissan QX(セフィーロの輸出名) A32
VQ20DEは、セフィーロのみに搭載され、販売比率の多くを占めた。1994年デビューの2代目では当時のライバルトヨタ・マークIIを凌ぐ(1)の出力・トルクを発揮。1998年登場の3代目では、燃費性能の向上を狙い、リーンバーン化し、出力・トルクも(2)となったが、2001年の改良後の最終型では排ガス規制に対応するため、リーンバーンをやめ、経済性を重視したレギュラーガソリン仕様となり、出力・トルクは(3)となった。
[編集] VQ23DE
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量 2.349L
- ボア×ストローク 85.0×69.0
- 圧縮比 9.8
<出力・トルク>
- (1)127kw(173ps)/6,000rpm 225Nm(22.9kgm)/4,400rpm
<主な搭載車種>
- 2003 - 日産・ティアナ J31
2003年よりティアナのみに搭載されているエンジン。ローレルとセフィーロの統合車種として誕生した経緯から、販売の多くを占めていた2.0Lユーザーも無視できない観点から、中間的な排気量とし、経済性の高いレギュラーガソリン仕様とすることで、2.0Lと2.5Lユーザーの双方を囲い込むことを狙った。
[編集] VQ25DE
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量 2.495L
- ボア×ストローク 85.0×73.3
- 圧縮比 10.0 - 10.3
<出力・トルク>
- (1)140kw(190ps)/6,400rpm 235Nm(24.0kgm)/4,000rpm
- (2)154kw(210ps)/6,400rpm 265Nm(27.0kgm)/4,400rpm
- (3)136kw(186ps)/6,000rpm 232Nm(23.7kgm)/3,200rpm
<主な搭載車種>
- 1994 - 1998 日産・セフィーロ A32
- 1997 - 1999 日産・レパード(JY33)
- 1997 - 1999 日産・セドリック、グロリア Y33
- 2004 - 日産・フーガ
- 2004 - 日産・エルグランド(E51)
1994年に2代目セフィーロに初搭載。当時の出力・トルクは(1)であった。このエンジンはその後、セドリック、グロリア、レパードなどのFR系にも同スペックのものが搭載されていたが、直噴仕様の登場により、1999年以降一時的に姿を消す。しかし、直噴+リーンバーン化はカタログ数値の燃費は良くなるが、実用面では低速トルクが細い傾向にあり、結果的に燃費はそれほど向上せず、また厳しくなる排ガス規制に適合させるのも多額の費用がかかるため、2004年より再度このエンジンが起用されている。フーガで復活した出力・トルクは(2)となっているが、エルグランドに搭載されているものは、ライバルのトヨタ・アルファードの好調な販売に押され追加したもので、経済性を重視したレギュラーガソリン仕様としているため、出力・トルクは(3)となっている。
[編集] VQ25DD
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC (NEO-Di)
- 排気量 2.495L
- ボア×ストローク 85.0×73.3
- 圧縮比 11.0 - 11.3
<出力・トルク>
- (1)154kw(210ps)/6,400rpm 265Nm(27.0kgm)/4,400rpm
- (2)158kw(215ps)/6,400rpm 270Nm(27.5kgm)/4,400rpm
<主な搭載車種>
- 1999-2002 日産・セフィーロ A33 (JDM)
- 1999-2004 日産・セドリック、グロリア Y34
- 2001- 2006 日産・スカイライン V35
- 2001- 日産・ステージア(M35)
VQ25DDは、1998年登場の3代目セフィーロで初登場。当時の直噴エンジン流行の流れに乗り、高出力・低燃費を売りにデビューした。出力・トルクは(1)であったが、2001にデビューしたV35スカイライン、M35ステージアには、(2)の出力・トルクを発揮する仕様を設定している。
[編集] VQ25DET
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC インタークーラーターボ
- 排気量 2.495L
- ボア×ストローク 85.0×73.3
- 圧縮比 8.5
<出力・トルク>
- 206kw(280ps)/6,400rpm 406Nm(41.5kgm)/3,200rpm
<主な搭載車種>
- 2001-2004 日産・ステージア(M35)
2001年登場の2代目ステージアでデビューを果たした2.5Lのターボ仕様。近年では珍しく急激に加給が始まる、いわゆる「ドッカンターボ」型。ただ、搭載車種が1車種だけだったため台数が出なかったことや、燃費や環境性能に気を使う時代の流れなどにより、わずか3年間でカタログ落ちしてしまった。
[編集] VQ30DE
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ
- 排気量 2.987L
- ボア×ストローク 93.0×73.3
- 圧縮比 10.0
<出力・トルク(国内仕様)>
- (1)162kw(220ps)/6,400rpm 280Nm(28.5kgm)/4,400rpm
<主な搭載車種>
- 日産・セドリック Y33
- 日産・グロリア Y33
- 1994-1998 日産・セフィーロ A32
- 1995-1999 Nissan QX(セフィーロの輸出名) A32
- 1995-1999 日産・マキシマ 出力142kW
- 1996-1999 Infiniti I30(セフィーロのインフィニティ版) 出力142kW
- 2000-2001 日産・マキシマ 出力166kW
- 2000-2001 Infiniti I30 出力166kW
- 1998-2002 日産・バサラ
- 1998-2002 日産・プレサージュ
- 日産・レパード(JY33)
1994年にセフィーロで初登場したVQ30DEは、多くの車種に搭載されたが、直噴仕様の登場や、徐々に3.5Lへ移行していったため、出力・トルクは(1)のまま最終型のプレサージュ、バサラ(2002年)まで変更はなかった。
[編集] VQ30DD
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC (NEO-Di)
- 排気量 2.987L
- ボア×ストローク 93.0×73.3
- 圧縮比 11.0
<出力・トルク>
- (1)169kw(230ps)/6,400rpm 294Nm(30.0kgm)/4,000rpm (非eVTC)
- (2)177kw(240ps)/6,400rpm 309Nm(31.5kgm)/3,600rpm
- (3)191kw(260ps)/6,400rpm 324Nm(33.0kgm)/4,800rpm
<主な搭載車種>
- 2001-2004 日産・スカイライン
- 1997-1999 日産・レパード(JY33)
- 2001-2004 日産・ステージア(M35)
- 1999-2004 日産・セドリック Y34
- 1999-2004 日産・グロリア Y34
1997年に日産初の直噴エンジンとしてY33レパードに初搭載。その時の出力・トルクは(1)であったが、その後、セドリック、グロリアに搭載されたときには(2)に向上。2001年に登場したV35スカイラインでは、さらにパワーアップされ、(3)の出力・トルクを発揮するに至り、国内最強のスペックを誇った。ただ、現在は3.5Lに移行し、生産は終了している。
[編集] VQ30DET
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ インタークーラーターボ
- 排気量 2.987L
- ボア×ストローク 93.0×73.3
- 圧縮比 9.0
<出力・トルク>
- (1)199kw(270ps)/6,000rpm 368Nm(37.5kgm)/3,600rpm
- (2)206kw(280ps)/6,000rpm 387Nm(39.5kgm)/3,600rpm
<主な搭載車種>
- 1997-1999 日産・レパード(JY33)
- 1995-2004 日産・グロリア Y33 and Y34
- 1995-2004 日産・セドリック Y33 and Y34
- 1996- 日産・シーマ(FY33・F50 ターボモデルのみ)
VQ30DEをベースに、インタークーラーターボチャージャーを採用したエンジン。大排気量エンジンを思わせるセッティングにより、ターボは意外にもマイルドな印象。VQ25DETに比べると、かなり紳士的なターボエンジンといえる。Y33系のセドリック、グロリアで登場。当時の出力・トルクは(1)だったが、Y34系で(2)に向上し、現在もシーマに搭載されている。VQ系では現在、唯一生産されているターボ仕様である。
[編集] VQ35DE
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量 3.498L
- ボア×ストローク 95.5×81.4
- 圧縮比 10.0 - 10.3
<出力・トルク(国内仕様)>
- (1)177kw(240ps)/6,000rpm 353Nm(36.0kgm)/3,200rpm
- (2)200kw(272ps)/6,000rpm 353Nm(36.0kgm)/4,800rpm
- (3)206kw(280ps)/6,200rpm 363Nm(37.0kgm)/4,800rpm
- (4)216kw(294ps)/6,400rpm 350Nm(35.7kgm)/4,800rpm
- (5)170kw(231ps)/5,600rpm 333Nm(34.0kgm)/2,800rpm
<主な搭載車種>
- 2001-2004 日産・パスファインダー
- 2002-2004 日産・マキシマ
- 2002-2004 Infiniti I30
- 2003- 日産・フェアレディZ(Z33)
- 2002- 日産・スカイライン V35
- 2003- 日産・ティアナ
- 2003- 日産・プレサージュ
- 2004- 日産・フーガ
- 2000- 日産・エルグランド(E50後期型~)
- 2001- 日産・パラメディック(高規格救急車、1998-2001までのモデルはVG33Eを搭載)
- 日産・クエスト
- 日産・ムラーノ
- 日産・アルティマ
- Infiniti FX35
- Infiniti G35(スカイラインのインフィニティ版)
- Infiniti I35
- 日産・ステージア(M35)
- Infiniti M35(フーガのインフィニティ版)
- 2001- ルノー・ヴェルサティス(サフランの後継車)
2000年にエルグランドに初搭載された3.5Lエンジン。大排気量らしい豊かなトルクと、素性のよさで日産の中心的なエンジンとして、国内外の幅広い車種に採用されている。ただ、日本国内においては3.5Lという排気量は大きく、3.0Lの復活を望む声も聞かれる。出力・トルクは(1)がエルグランド、高規格救急車のもの。(2)がスカイライン、ステージアに搭載されているもの、(3)がスカイラインクーペ、フーガ、フェアレディZ(5AT)に搭載されているもの、(4)がフェアレディZ(6MT)専用、(5)がFF向けでティアナ、ムラーノ、プレサージュに搭載されているものである。
[編集] VQ40DE
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量 3.954L
- ボア×ストローク 95.5×92.0
- 圧縮比 9.7
<出力・トルク(海外仕様)>
- (1)201kw(273ps)/5,600rpm 395Nm(40.3kgm)/4,000rpm
<主な搭載車種>
- 2005 - 日産・フロンティア(ピックアップトラック、日本販売無し)
- 2005 - 日産パスファインダー
北米向けのラージSUVに搭載されるVQエンジン最大の排気量を持つエンジン。日本国内には搭載車種は販売されていない。
[編集] VQ30DETT
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ インタークーラーツインターボ
- 排気量 2.987L
- ボア×ストローク 93.0×73.3
2002年度全日本GT選手権(現在のSUPER GT)にて当時GT500に参戦中のスカイラインGT-Rを車両全体をより低重心にさせ、運動性能の上昇を図る為、ベースとなるエンジンのVQ30DEを改良し、競技用エンジンとして中盤に投入された。それ以降現在もGT500にてVQ30DETTが使用されている。
[編集] VQ25HR
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量 2.495L
- ボア×ストローク 85.0×73.3
- 圧縮比 10.6
<出力・トルク>
- 165kw(225ps)/6,800rpm 263Nm(26.8kgm)/4,800rpm
<主な搭載車種>
- 2006- 日産・スカイライン V36
[編集] VQ35HR
- タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量 3.498L
- ボア×ストローク 95.5×81.4
- 圧縮比 10.6
<出力・トルク(国内仕様)>
- 232kw(315ps)/6,800rpm 358Nm(36.5kgm)/4,800rpm
<主な搭載車種>
- 2006- 日産・スカイライン V36
- 2006年にデビューのV36スカイラインでデビューした新世代VQエンジン。VQ型と名乗っているものの、80%以上を新設計した事実上の新開発エンジンであり、「HR」とはハイレスポンス、ハイレボリューションを意味する。これまでのVQ35DEよりも、1,200回転レブリミットを上げることにより、高回転まで胸のすくふけ上がりを実現。出力・トルクだけでなく、環境性能や燃費性能も大幅に向上する。
- なお、このエンジンについては諸説諸々あり、FZという形式に変更されるのではないかとか、3.7ℓに拡大される、かつてのNEO VVLに似たVELと呼ばれる可変バルブリフト機構が採用されるなどと様々な憶測が飛び交った。しかし、VELは結局は見送られ、給排気側の両方にeVTCを備えることで燃費とパワー、好レスポンスを得られる。次期GT-Rのベースエンジンになることは間違いないので、高回転が苦手なVQエンジンは、大きな進化を遂げることになった。
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