東海地方
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東海地方のデータ | ||
四県の合計 | ||
面積 | 29,316.53km² | |
総人口 | 15,021,055人 (2005年10月1日) |
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人口密度 | 512.37人/km² (2005年10月1日) |
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位置 | ||
東海地方(とうかいちほう)とは日本の地域区分の一つで、本州中央部のうち太平洋側の地方。中部地方を北陸地方(日本海側)や中央高地(内陸側。甲信地方とも)と区別する場合に用いられるが、中部地方の西部日本海側を狭義の北陸地方、西部太平洋側を中京地方、東部を甲信越静として区分する事もあり、甲信越静を関東地方とあわせて広域関東圏とする事もある。近畿地方に属する三重県を含む事が多い。
目次 |
[編集] 範囲
[編集] 国語辞典の解釈
[編集] 様々な用例
- 茨城県から三重県にかけての太平洋岸
- 静岡県、愛知県、三重県
- 静岡県、愛知県、岐阜県
- 「東海3県」とは、本来は東海地方のいずれか3県の組み合わせを意味する語であり、三重県を近畿地方に区分する場合には、三重県以外の東海道に属する3県を指す。
- 愛知県、岐阜県、三重県
- 静岡県
- 東海4県から中京3県を除いた範囲。
- 静岡県、愛知県、岐阜県南部
- 静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
- 様々に区分される4県を総称して、「東海四県」と呼ぶ。
[編集] 自然地理
北は富士山、赤石山脈、木曽山脈など火山活動や造山運動により形成された中央高地と接し、南は太平洋に面している。
南東端の伊豆半島は火山活動と海面の上昇で形成されたリアス式海岸に山地が迫った地形である。
伊豆半島の西側に広がる駿河湾岸は火山活動や造山運動により形成された山岳地帯を狩野川、富士川、安倍川、大井川といった大河川の浸食作用で形成された小規模な平野が分断している。
駿河湾の西側の遠州灘沿岸部及び三河湾沿岸部は駿河湾岸より火山活動や造山活動の停止が比較的早かったため、海面の下降により形成された台地が広がっている。
南西部は木曽三川の氾濫により形成された濃尾平野が広がっている。北西端の鈴鹿山脈で近畿地方と区画され、南西端の志摩半島・熊野灘にはリアス式海岸が広がっている。
地質的には、糸魚川静岡構造線(糸静線)や中央構造線が縦断している。沿岸がプレート境界になっているため、東海地震や東南海地震などの警戒区域になっている。
沿岸部は気候が温暖なので、農業では、柑橘類や緑茶や菊などの生産が盛んである。
- 山脈・山地:赤石山脈、木曽山脈、伊吹山地、鈴鹿山脈
- 山:富士山、秋葉山、鳳来寺山、大日ヶ岳、恵那山、御在所山
- 川:狩野川、富士川、安倍川、大井川、菊川、天竜川、豊川、矢作川、木曽三川、鈴鹿川、雲出川、櫛田川、宮川、熊野川
- 海:相模灘、駿河湾、遠州灘、三河湾、伊勢湾、熊野灘
- 湖:浜名湖
- 半島 : 伊豆半島、渥美半島、知多半島、志摩半島、紀伊半島
- 台地 : 牧之原台地、磐田原台地、三方原台地
- 景勝:石廊崎、御前崎、中田島砂丘、二見浦
[編集] 歴史
関東と畿内との間の「廊下」として、鎌倉時代以降に権力者から重視された。
[編集] 畿内政権の時代
平野部は気候が温暖なので、登呂遺跡に見られるように、古代から人類の定住が見られた。特に濃尾平野においては、弥生人の勢力が隆盛を誇った。
律令制の五畿七道で東海道が整備されたが、東海道は字義通り、「東へ通じる海の道」であった。律令時代は山陽道が大動脈だった時代で、東海道は関東から畿内や北九州へ向かう防人の通行路となった。
律令時代の国府所在地を見ると、川辺の都市が多いのが特徴的である。伊勢国は鈴鹿(鈴鹿川)、尾張国は稲沢(木曽川)、三河国は豊川市(豊川)、遠江国は磐田(天竜川)、駿河国は静岡(安倍川)、伊豆国は三島となっている。当時から、東海地方は、海沿いで川の多い、水が豊富な地方としての歴史が綴られていた事が窺える。
[編集] 幕府の時代
- 鎌倉時代から室町時代まで
源頼朝は熱田神宮の宮司の子として生まれたが、京都での内部抗争の末に、伊豆国の蛭ヶ小島に流刑された。後に頼朝が鎌倉幕府を開くと、富士山南麓に当たる伊豆国と駿河国は、鎌倉に近い要衝として位置付けられた。
戦国大名が濫立すると、東海道は権力争いの場となった。中でも尾張国と西三河の2地域からは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった「戦国三大武将」を輩出した。特に、糸静線のすぐ脇に位置する駿府(静岡)は、今川義元と徳川家康の有力武将二名の本拠地となった。
江戸幕府が開かれると、江戸(東京)と京都を結ぶ東海道五十三次が整備され、その往来は日本第一の規模となった。この東海道沿線の中には、宿場町や城下町から発達した都市も多い。
[編集] 東京政権の時代
- 明治から第二次大戦まで
明治維新で中央集権体制が成立すると、名古屋が地方統治の拠点となり、それ以来は政府機関が集中するようになった。又、廃藩置県期の東海道沿線には、三重県、度会県、愛知県、額田県、浜松県、静岡県が分立していたが、1876年8月以後は三重県、愛知県、静岡県に削減され、現在に至っている。
1889年2月には東海道本線が開業し、天竜川と木曽三川の間の地域は、綿織物工業の中心地となった。
- 第二次大戦後
高度経済成長期以後、首都たる東京への一極集中が強まると、東海道線沿線には東海工業地域や中京工業地帯が造成され、工業生産の中心地帯になった。
[編集] 地域
五街道の東海道に沿って、国道1号・国道25号沿線の地域別特徴を、西から東へ順に挙げる。
安倍川(糸魚川静岡構造線)または大井川を境にして、西側と東側では文化的連関が大きく異なるため、大井川以東と大井川以西の繋がりは浅い傾向にある。
- 鈴鹿峠以西
- 三重県の旧伊賀国に当たる。
- 名目上は三重県に属するので、東海地方に入れられる事もあるが、実態は近畿地方の一部で、奈良県の一部と誤認される事もある。いわゆる「三重府民」の居住地で、奈良や大阪の影響力を強く受けている。
- 伊勢湾岸
三重県の伊勢湾岸、愛知県の旧尾張国と西三河地方に当たるこの地域は、西三河を除いて近畿地方に区分された事もあり、三重県は現在でも正式は近畿地方である。
- プロ野球では中日ドラゴンズの地盤で、Jリーグでは名古屋グランパスエイトの地盤。
- 遠州灘沿岸
- 豊川と大井川に挟まれた地域。愛知県の東三河地方と、静岡県の旧遠江国に当たる。天竜川流域で、いわゆる広域関東圏に含まれる事もある三遠信の一角。
- 農業では、菊やメロンや緑茶の生産が多い。富士山麓まで含めた東海地方の中部に位置する。
- プロ野球では中日ドラゴンズの地盤で、Jリーグではジュビロ磐田の地盤。
- 富士山南麓
- 大井川と愛鷹山の間の地域。静岡県の旧駿河国に当たる。富士川流域。
- 山梨県、神奈川県、東京都との文化的連関が深い。糸魚川静岡構造線よりも東側に位置し、富士山の眺望が良い為に、関東地方として扱われる事もある。
- プロ野球では、関東地方の各チームを応援する者が多い。Jリーグでは清水エスパルスの地盤。
- 沼津以東
- 静岡県のうち、伊豆半島と御殿場線沿線に当たる。
- 富士箱根伊豆国立公園を形成する。専ら鎌倉や東京の影響力を強く受けており、こちらも関東地方として扱われる事もある。東海ではなく関東の一部だ、という意識が非常に強い。東京への遠距離通勤圏内で、いわゆる「静岡都民」も少なからずいる。
[編集] 交通
[編集] 鉄道・軌道
幹線 |
連絡線 |
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[編集] 主な道路
[編集] 高速道路
[編集] 一般国道
[編集] 港
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[編集] 空港
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[編集] 経済
太平洋ベルト上に位置しており、日本を代表する工業地帯が形成されている。このうち、愛知県及び三重県の一帯を中京工業地帯、静岡県の主に臨海部一帯を東海工業地域と呼ぶ。
多くの工業都市が連なり、産業と人口が集積していることから、東京都区部から大阪市にかけての都市群を「東海道メガロポリス」という事もある。
[編集] 人口
ISO 3166-2 | 都道府県名 | 順位 | 人口 | 割合 |
---|---|---|---|---|
JP-21 | 岐阜県 | 17 | 2,115,336 | 1.70% |
JP-22 | 静岡県 | 10 | 3,792,982 | 3.00% |
JP-23 | 愛知県 | 4 | 7,161,891 | 5.60% |
JP-24 | 三重県 | 22 | 1,864,185 | 1.50% |
14,934,394 | 11.80% |
※順位・人口・割合は2003年10月1日のデータによる。
[編集] 年齢構成
次のグラフは岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の人口を合計した。
年齢5歳階級別人口
2003年10月1日現在推計人口
総計 [単位 千人]
年齢 | 人口 |
---|---|
0~4歳 | 729 |
5~9 | 742 |
10~14 | 729 |
15~19 | 814 |
20~24 | 897 |
25~29 | 1070 |
30~34 | 1177 |
35~39 | 1015 |
40~44 | 924 |
45~49 | 905 |
50~54 | 1150 |
55~59 | 1091 |
60~64 | 987 |
65~69 | 848 |
70~74 | 705 |
75~79 | 538 |
80歳以上 | 601 |
年齢5歳階級別人口
2003年10月1日現在推計人口
男女別 [単位 千人]
- データ出典:第10表/都道府県、 年齢(5歳階級)、 男女別人口-総人口
(総務省統計局)