1982年の日本シリーズ
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[編集] 戦評
広岡達朗監督率いる西武ライオンズと近藤貞雄監督率いる中日ドラゴンズの対決となった1982年の日本シリーズは、西武が4勝2敗で勝利し、球団創設4年目で日本一(西鉄時代を含めると4度目)。西武はプレーオフから中8日、中日は優勝から中4日置いてのシリーズで両チームともコンディション自体は万全であった。第1・2戦は中日の先発投手がピリッとしなかった。西武は移籍・外人・生え抜き組の田淵幸一、山崎裕之、黒田正宏、片平晋作、石毛宏典、テリー、スティーブ、大田卓司らを中心とした打撃陣でチーム打率.322と打ちまくり、投手陣も東尾修を中心に、松沼博久、松沼雅之、森繁和、永射保らを中心とした投手陣も日本一に貢献した。
中日はシーズン中の「野武士軍団」の活躍が影を潜めて敗れ、伏兵上川誠二の活躍だけが目立つとともに、シーズン中のように勢いに乗れている時はいいが勢いに乗れないときは無策であるという野武士野球の弱点も露呈させてしまい、失策がことごとく失点に絡んだりするなど課題点も多く見つかった。また、4勝2敗で中日を破った西武は1980年代以降、パ・リーグの常勝軍団となり、一方の勢いに乗らないと勝てないという体質だった中日はその後星野政権が誕生するまで低迷の時代を迎えることになった。
また、ナゴヤ球場で行われた第2戦で中日が第1戦同様にふがいない戦いをしてしまい、まだ試合途中であるにもかかわらず中日ファンがスタンドからテープやゴミをまきちらしたりと試合は荒れに荒れ試合が一時中断となる有様だった。そして7-1で中日は大敗、試合後も西武の選手に固形物を投げつけたりグラウンドにゴミを投げ捨てるファンが後を絶たず、広岡監督と西武の選手へのインタビューも急きょ中止となるなどプロ野球の球史に大きな汚点を残してしまった。
両者相星で迎えた第5戦で、両チーム無得点の三回表の中日の攻撃は2死2塁(走者は田尾)という場面、打者平野は一塁線を抜ける打球を放つが、これが一塁塁審村田康一の足に当たり、二塁手山崎の前に転がる。山崎はボールを拾うと三塁に投げ、三塁を回っていた田尾は戻れずにタッチアウトとなった。「ルール上は審判は石ころと同じ」であるため、このプレイはルールに抵触しない。これにより中日は先制機を逃して結果的に敗北したことから、「シリーズの流れを変えた『石ころ』」といわれた。
[編集] 試合結果
[編集] 第1戦
10月23日 ナゴヤ 入場者29196人
西武 | 0 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 7 |
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中日 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
(西)松沼博、○東尾(1勝)-黒田
(中)●小松(1敗)、堂上、鈴木、郭、安木-中尾
勝利打点 黒田1
本塁打
(西)スティーブ1号ソロ(3回小松)、大田1号ソロ(8回郭)
(中)モッカ1号2ラン(3回松沼博)
[審判]セ山本文(球)パ藤本 セ福井 パ前川(塁)セ丸山 パ村田(外)
[編集] 第2戦
10月24日 ナゴヤ 入場者29194人
西武 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
(西)杉本、○小林(1勝)、森-黒田、大石
(中)●都(1敗)、藤沢、堂上、安木、三沢、小松、牛島-中尾
勝利打点 テリー1
本塁打
(西)西岡1号ソロ(9回牛島)
[審判]パ村田(球)セ丸山 パ藤本 セ福井(塁)パ斎田 セ久保田(外)
[編集] 第3戦
10月26日 西武 入場者25342人
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
西武 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
(中)都、鈴木、○牛島(1勝)-中尾
(西)高橋直、永射、●東尾(1勝1敗)-黒田、大石
勝利打点 なし
本塁打
(中)上川1号3ラン(7回高橋直)
[審判]セ久保田(球)パ斎田 セ丸山 パ藤本(塁)セ山本文 パ前川(外)
[編集] 第4戦
10月27日 西武 入場者29323人
中日 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
西武 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
(中)三沢、堂上、安木、○小松(1勝1敗)、S牛島(1勝1S)-中尾
(西)松沼博、柴田、森、●小林(1勝1敗)、永射、松沼雅-黒田、大石
勝利打点 谷沢1
本塁打
(中)谷沢1号ソロ(9回小林)
[審判]パ前川(球)セ山本文 パ斎田 セ丸山 (塁)パ村田 セ福井(外)
[編集] 第5戦
10月28日 西武 入場者26230人
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
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西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | X | 3 |
(中)鈴木、●小松(1勝2敗)、堂上、都-中尾
(西)杉本、○東尾(2勝1敗)-大石
勝利打点 スティーブ1
本塁打
(中)大島1号ソロ(5回杉本)
[審判]セ福井(球)パ村田 セ山本文 パ斎田(塁)セ久保田 パ藤本(外)
[編集] 第6戦
10月30日 ナゴヤ 入場者28725人
西武 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 2 | 9 |
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中日 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
(西)高橋直、森、工藤、○小林(2勝1敗)、S東尾(2勝1敗1S)-大石
(中)三沢、都、●鈴木(1敗)、牛島、安木、小松-中尾
勝利打点 片平晋1
本塁打
(西)大田2号3ラン(3回三沢)、片平晋1号ソロ(7回鈴木)、テリー1号ソロ(7回鈴木)
[審判]パ藤本(パ)セ久保田 パ村田 セ山本文(塁)パ前川 セ丸山(外)
最終打者は大島康徳で空振り三振。
[編集] 表彰選手
- 最高殊勲選手賞 東尾修(西)
- 敢闘賞 上川誠一 (中)
- 優秀選手賞 大田卓司、スティーブ・オンティベロス (以上、西)、中尾孝義 (中)
[編集] テレビ・ラジオ中継
(第7戦の放送予定については書きかけです。)
[編集] テレビ中継
- 第1戦:10月23日
- 第2戦:10月24日
- 第3戦:10月26日
- 第4戦:10月27日
- 第5戦:10月28日
- 第6戦:10月30日
[編集] ラジオ中継
- 第1戦:10月23日
- 第2戦:10月24日
- 第3戦:10月26日
- 第4戦:10月27日
- 第5戦:10月28日
- 第6戦:10月30日
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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