QUICPay
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QUICPay(クイックペイ)は、「Quick & Useful IC Payment」の略で、モバイル決済推進協議会が推奨する非接触・モバイル決済スキームである。
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[編集] 概要
株式会社ジェーシービー (JCB) とイオンクレジットサービス株式会社(以下「ACS」)が開発した、FeliCaを用いるポストペイの決済規格であり、2005年4月に実用サービスを開始した。
JCBは、1999年にオープンしたお台場パレットタウンに有るメガウェブ館内のアトラクション・売店利用料の支払に利用出来る、独自方式の非接触ICカード「MEGA WEB Member's Card」で日本初の実用化サービスを開始した。これは2種類有り、現在の電子マネーと同じプリペイド方式と、利用日毎にクレジットカードとMember's Cardを現地窓口に提示して紐付けを行い、そのMember's Cardの利用代金を紐付けしたクレジットカードに請求する「リンク式ポストペイ(後払)方式」が有り、QUICPayはこのリンク式ポストペイ方式を用いたものである。なお2003年3月末で「MEGA WEB Member's Card」のサービスは終了している。
2003年には企業向けソリューションとして、リンク式ポストペイ方式による社内食堂利用や社員証・入館証・パソコンのログインID機能を備えた「Ofica」を実用化した。
一方ACSも大日本印刷が独自開発した、一つのICチップに接触ICクレジットカード(VISA Java規格)とイオンタワーで扱えるFeliCaによる電子マネー「AEON CASH」と社員証機能を兼ね合わせた「非接触ICチップ付ハイブリッドICクレジットカード」の実用化試験を2002年に行った。
これらの実績によりQUICPayを2003年頃から共同開発することとなった。なお、NTTドコモグループもおサイフケータイにQUICPayを搭載することを目論み、2004年の実用化テストなどに協力した。
100円程度の超少額決済もスピーディーに出来る点を飲料自動販売機などを用いた実用試験時にアピールしたが、協調していたNTTドコモが2005年にiD陣営に流れてしまったため、iDとSuicaショッピングサービスに対抗すべく同年10月にモバイル決済推進協議会を設立する運びとなる。
なお、2006年にはACSやイオングループもiD陣営に参入することになってしまう。
[編集] 今後の展望
UFJニコスのSmart Plusとビットワレットの電子マネーEdy、そしてQUICPayの3種類の決済方式に対応した共用の決済端末機 (CAT) を開発することを2006年5月に発表した。
これに先行してジェーシービーがセブン&アイ・ホールディングスと共同開発している電子マネーnanacoとQUICPayの相互利用(決済端末機の共用化)を発表している。
同年4月にiDとSuicaショッピングサービスの共用決済端末機の開発発表を行った事に対抗するものと受け入れられるが、これが実用化すると、一種類の端末で取り扱える決済手段は先の3種類ないしnanacoを加えた4種類とクレジットカード・デビットカードと「マルチペイメント化」され、取り扱えるカードの枚数は非常に多くなることが予想される。
以上のような動きも見られていたが、2006年9月、「Suica」と「iD」の共同決済インフラに対し「QUICPay」も「Edy」と共に利用できるようにすると発表された。
[編集] 利用方法
QUICPayに対応するクレジットカードに追加して申し込む形となり、クレジットカードの利用額にQUICPayの利用額が合算されて請求される。
携帯電話(おサイフケータイ)に内蔵されたFeliCaを用いるQUICPayモバイル(対応するキャリアはau、ソフトバンクモバイル、NTTドコモ)とカード型のFeliCaを用いるQUICPayカードから選ぶ事が出来る(いずれか一方にしか対応しない会社もある)。また、クレジットカードとの一体型カードもある(JCBのQUICPay/JCB一体型カードなど)。
紐付けするクレジットカードの限度額の中の一部がQUICPayの限度枠として自動設定され、QUICPay決済時に先の限度額を超えた場合は、加盟店側のCAT操作によって、QUICPayの限度額を紐付けされたクレジットカードの限度額から自動的に充当される仕組みとなっている。
[編集] QUICPayに対応するクレジットカード
2006年11月15日現在で次の会社・グループが発行するクレジットカード(一部を除く)がQUICPayに対応している。
- JCBグループ(株式会社新銀行東京を除く)
- トヨタファイナンス株式会社
- 株式会社クレディセゾン
- 株式会社オリエントコーポレーション
- UFJニコス株式会社 ※
- 株式会社セントラルファイナンス
- 株式会社オーエムシーカード
- 株式会社アイワイ・カード・サービス
- 日立キャピタル株式会社
- 株式会社ジャックス
- 札幌信用販売株式会社
※ UFJニコス株式会社が発行するJCBカードは、JCBグループに準ずる。
[編集] お試しQUICPay
お試しQUICPayは、利用期間を3ヶ月、利用限度額を1万円に制限したサービスであり、JCBが2006年9月に開始した。利用するには、JCBのJCBカード(一部を除く)とおサイフケータイ(対応するキャリアはQUICPayモバイルのそれに同じ)が必要である。尚、制限を超える期間・額を利用するにはQUICPayを申し込む必要がある。
[編集] 主な加盟店
公表加盟店数は全国1万店(2006年8月時点)とされている(加盟チェーン店一覧)
- コジマ全店舗(但し、一部のレジのみ対応の為、会計時に対応レジかの確認が必要)
- 神奈中ハイヤー
- ロイヤルホールディングス運営のレストラン
- ロイヤルホスト/シズラー/焼肉万歳 など。
- 高松シンボルタワー(エヌ・ティ・ティ・ドコモ四国との共同事業による)
- サンデーサン
- アパホテル
- 文明堂店舗・売店の一部
- カラオケ館の一部店舗
- スペースワールド
- セイコーマート(北海道内の一部)
- ザ・ガーデン自由が丘の一部店舗
- HMVの一部店舗
- MOVIXの一部劇場
- ドラッグユタカ
- 首都高速道路・九州長崎自動車道のパーキングエリア・サービスエリア内の一部売店
- コナカの一部店舗
- 天下一品直営店
- 千疋屋
以下は加盟を予定している店舗である。
- 上記チェーン店の他にも、JCB本社(南青山)・大阪支社(中央区 (大阪市)北浜)周辺や北海道・九州・沖縄県で加盟店が比較的多い。また、JCBグループが既存のJCB加盟店にQUICPayの導入を働きかけている模様。
- また、2006年の毎日放送主催イベント「オーサカキング」でもオフィシャルQUICPay(らいよんちゃんがデザインされた)が発行された。
- 加盟店側はQUICPay対応のCAT(オムロン製のCARD NET端末)に置き換えるだけで、既存のクレジットカード・デビットカードの取扱も引き継がれる為、対応端末の導入さえ普及すれば、QUICPayの利便性も大きく広がる事となる。