ボーイング777
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ボーイング777
エールフランス ボーイング777-200ER型機。識別の目安は6つの車輪がそれぞれの着陸装置に付いていることである。
- 用途:旅客機
- 製造者:ボーイング
- 運用者
- シンガポール航空 59機
- ユナイテッド航空 52機
- アメリカン航空 47機
- ブリティッシュエアウェイズ 43機
- エールフランス 41機
- 初飛行:1994年6月12日
- 生産数:591機 (2006年)
- 運用開始:1995年6月7日 (ユナイテッド航空)
- 運用状況:運用中
- ユニットコスト:
777-200: 178-195百万米ドル
777-200ER: 190-212.5百万米ドル
777-200LR: 219-243百万米ドル
777-300: 210-234百万米ドル
777-300ER: 237-264百万米ドル
777F: 232.5-240百万米ドル
ボーイング777(Boeing 777、ボーイング・トリプルセブン)は米ボーイング社が開発した長距離ワイドボディ双発ジェット旅客機である。初飛行は1994年。日本はYXの2機種目として開発に参加しており、21パーセントの分担比を占める。
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[編集] 概要
[編集] 開発の経緯
1980年代、ボーイング社は既に世界最大の旅客機メーカーとして君臨していたが、一方で猛追するエアバス社の脅威にもさらされていた。とりわけリタイヤが進んでいた3発ワイドボディ機ロッキードL-1011 トライスターやDC-10の後継機争いでは、MD-11やA330、A340に対抗しうる旅客機を持っていなかった。中でもA340はボーイング747-400よりは小さいものの、航続性能ではほぼ互角、しかもA340の方がはるかに燃費が良かった。そこでボーイング社はボーイング767-300とボーイング747-400の間の座席数の差を埋める機体を作るべく1986年暮れにそのクラスの機体の需要に関して市場調査を開始した。世界中の多くの航空会社に調査を行い、特にその中でもユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空、全日本空輸、日本航空、キャセイパシフィック航空、カンタス航空、ブリティッシュエアウェイズには機体の設計についても意見を求めた(ワーキング・トゥゲザー)。 そして、1989年12月8日にボーイング社の取締役会の承認を経て正式に新型機「767-X」として航空会社に提案されることが決まった。
その計画名の通り、当初ボーイング社はこの旅客機を767の派生型として計画しており、コックピットも従来の767とあまり変わらないものを考えていた。しかし767の後に作られた747-400の方がより進んだコックピットを有しており、ボーイング機を多数使用してきたユナイテッド航空や全日本空輸などはこの従来の767と変わり映えのしないコックピットを拒否し、747-400スタイルのコックピットにするよう求めた。そのためにボーイング社は747-400のコックピットレイアウトをベースに、さらに最新技術を盛り込んだコックピットを計画した。 また、機体規模についても航空会社などと詳細にすり合わせを行って調整した結果、767の胴体を捨て、標準で横に2通路9席を配置できる、より太い真円断面を用いた大きな胴体を採用することにした。 この767-Xに対して、アメリカのユナイテッド航空が1990年10月15日に34機発注し、機体名も「ボーイング777」に変更された。続いて全日本空輸、ブリティッシュエアウェイズ、日本航空なども発注した。
[編集] 特徴
777は、全体をコンピュータ上で設計された最初の商用航空機としても知られている。777の設計はCATIAを用い、世界各地の開発拠点で並行して進められ、コンピュータ上に構築された「バーチャル777」とも言うべき仮想の機体を使ってでさまざまな試験が行われた。また777の制御ソフトウエアは、ほぼ全てがAdaで作成されている。
777-300ER型機は747-400型機及び新しいエアバス A380-800型機に続く3番目に大きな商業旅客機である。最大離陸重量 (MTOW) 351メートルトンのテストも行われた。
777の翼幅、胴体長は747-400をも凌ぐほどで、双発機としては世界最大である。エンジンも巨大かつ強力で、その直径はボーイング737の胴体の直径に匹敵するほどである。また着陸装置(ランディング・ギア)は商業ジェット機の中でも特に大きな物で、装着されるタイヤも商業航空機としては非常に大きな物である。2本の主脚はそれぞれタイヤを6個備えており、このことからも777の巨大さが伺える。またメインデッキ下の貨物室が大きく、旅客で収益が得られなくても貨物で収益が得られる飛行機である。
777はボーイング社の旅客機としては初めて操縦系統にフライ・バイ・ワイヤを採用した。しかし、同じフライ・バイ・ワイヤのエアバス製の機体と違い、従来からの操縦桿を残すなど、従来の機材を使ってきた航空会社でも違和感のなく移行できるコックピットになっている。また、コクピットの表示装置は従来のCRTディスプレイからLCDに変更されている。
航空会社ごとの仕様にもよるが、全座席後部に小型液晶ディスプレイを備え、乗客が個々に見たい番組を選択し視聴可能である。
[編集] ワーキング・トゥゲザー
777はボーイングと発注した航空会社が設計上の諸問題を解決したり、航空会社が個々の要望を出していく「ワーキング・トゥゲザー(Working Together)」を結成した。これは777を767の単純な拡大版で作ろうとした際、多くの航空会社に反対されたため、開発当初からユーザーである航空会社の意見を取り入れようと考え出されたものである。
主な航空会社の要望を以下に挙げる。
- ユナイテッド航空
- ローンチカスタマー(最初の発注者)であるユナイテッド航空は本拠地を置くシカゴの冬を想定して、各部の点検用アクセスドアを手袋をしたままでも開閉できること、またそれらの多くが大きな脚立などを用意しなくても手が届くような高さにすること、大型の横スライド式非常口は片手でも開閉できるようにすることを求めた。
- 全日本空輸
- 2番目に発注した全日本空輸は、これまで数多くのボーイング機を運行してきた立場から、トイレの蓋がバタンと閉まるのは乗客が不愉快に感じることが多いためにトイレの蓋をゆっくり閉める機能などの提案を行った。このトイレの蓋の提案に対しボーイング社は「いかにも日本らしい提案だ」として採用を決めただけでなく、他の航空会社へも積極的にPRを行った。現在でも「ワーキング・トゥゲザー」を語る際には必ず引き合いに出される事柄でもある。
- また、ボーイング社は777は機体の大きさから、空港での取り回しを良くするために主翼を折りたためる機能を標準装備にしようと考えていた。しかし、全日本空輸は主翼を折りたたむ機能は機体重量を増加させ、構造も複雑になり整備もしにくくなるとして、この機能を標準ではなくオプションにすることを強く求め、ボーイング社はその求めを受け入れた。これまでこの主翼折りたたみオプションを採用した航空会社は存在しないので、全日本空輸の判断は正しかったといえる。
- 他にも、整備用ハッチをキャビン床に取り付けること、ラジアルタイヤを標準仕様にすることも求めた。
- 日本航空
- 6番目に発注した日本航空は、発注と同時に「ワーキング・トゥゲザー」に招聘された。日本航空が参加した頃には、基本的な仕様はほぼ確定しており、日本航空の提案によって確定した基本仕様が大きく変更されることはなかったが、いくつかの提案は採用されている。
- 日本航空は、777-300ER型機のノーズギヤの緩衝装置の空気室を2つにするよう求めた。また、それに伴い、貨物積み下ろし時の重量変化に対する緩衝装置の伸び縮みが十分に小さいことを確認することも同時に求めた。
- また、英語圏以外の航空会社でもマニュアルの誤読などがなくなるよう、マニュアル類に使用されている英語を、極力平易なものにすることを求めた。
- 他にも、ノーズギヤのパーキングブレーキ表示灯、高度計のQNHとQNEの切り替え機能装備について求め、採用された。
[編集] 派生型
ボーイング社は777型機のバリエーションを明確にするために次の2つの特性を用いた。
- 機体サイズ。777-200型機は基本サイズ、777-300型機は胴体延長し、収容力を強化したサイズである。
- 航続距離。ボーイング社は路線距離の3分類を明確にした。
- A需要 - 3,900海里から5,200海里(7,200 km から 9,200 km)
- B需要 - 5,800海里から7,700海里(10,800 km から 14,250 km)
- C需要 - 8,000海里(14,800 km)以上
ボーイング社や777を運行する航空会社は777の派生型を区別するときに、モデル名である「777」と機体のサイズ(-200または-300)とを縮めてつなぎ合わせ、「772」とか「773」といった表記をよく用いる。また、時には上記にあるような航続距離の3分類を表す識別子を付加する。たとえば777-200は「772」また「772A」と、航続性能を強化した777-300ERは「773ER」や「773B」と表記される。これらは航空会社の時刻表やマニュアル類でよく見られる表記法である。また、A~Cの需要分類は、777の最大のライバル、「エアバスA340」と777とを比較する際にも用いられる。
[編集] 777-100型機(771B)
計画当初に考えられていた777-200の短胴型モデル。アメリカン航空の提案を受けて計画されていたが、実機は生産されないまま計画中止となり、767-400ERがこの計画機と同じマーケット向けのモデルとされている。
[編集] 777-200型機(772A)
ボーイング777シリーズの最初のモデル。最大航続距離は5,210海里(9,649km)。 日本では一部を除き国内線で運航されている。
[編集] 777-200ER型機(772B)
777-200の航続距離を延長させたもの(ER:Extended Range)。最大航続距離は7,730海里(14,316km)。 ジャンボジェットに代わり長距離路線に投入にしている航空会社(アメリカン航空、アリタリア航空等)と、ジャンボジェットと旅客数に応じて住み分けを行っている航空会社(英国航空、ユナイテッド航空等)の2つに分かれる。
[編集] 777-200LR型機 Worldliner(772C)
777-200ERの航続距離をさらに延長させたもの(LR:Longer Range)。世界最長の航続距離を持つ。最大航続距離は9,420海里(17,446km)。2005年11月10日、香港~ロンドン間11,663海里(21,600km)を連続飛行し、民間機の航続距離世界記録を更新した。 現在はパキスタン国際航空のみで運用されている。
[編集] 777-300型機(773A)
胴体を延長した A 需要向けの機材。747-100型機及び-200型機の代替として設計された。双発機で世界最長を誇る機体である(73.9m、ちなみに双発機でなければ最長はエアバスA340-600)。その747をも凌ぐ胴体長ゆえに、胴体後方下部にテールスキッドを装備し、GMCS(グランド・マニューバー・カメラ・システム)という新機能が搭載され、主脚が誘導路からはみ出さないようコックピットから監視できるようになっている。最大航続距離は5,955海里(11,029km)。 日本では全機国内線で運航されている。
[編集] 777-300ER型機(773B)
777-300型機の航続距離延長型であり、747-400型機の代替として設計された。この777-300ER型機は115,300 lbf(513 kN)の推力を生み出す現在世界で一番強力なターボファンエンジン、GE90-115Bエンジンを搭載したほか、多くの改造がなされた。最大航続距離は7,880海里(14,594km)。国内では全日本空輸、日本航空インターナショナルがこの型を運用中。この型の導入を進めている航空会社のほとんどは、ジャンボジェットで就航していた路線をこの型に置き換えている(例:ANA、エールフランス等。)
エールフランスはこの777-300ER型機の実質的なキックオフカスタマーであるが、諸般の理由から日本航空インターナショナルがキックオフカスタマーとされている(試験飛行に使用された2機は、日本航空インターナショナル発注の機材であった)。この型の初飛行は2003年2月24日である。
777型の長距離型(-200LR,300ER型)は開発に際し、それまでの派生型とは異なり、装備するエンジンをゼネラル・エレクトリックのものだけとした。これだけの大推力のエンジンを開発するリスクと、エンジンメーカーが共倒れするリスクを回避するためとされているが、ゼネラル・エレクトリック系のリース会社がこの派生型を購入するという条件をボーイングがつけた、と業界では言われている。つまり、9.11以降の業界の落ち込みを背景に、新機種開発にかかるコストをエンジンメーカーにも負担してもらうというリスクマネージメントを意識した開発を決断させたとされている。
[編集] 777型貨物機(777F)
777型貨物機(777 Freighter)は777型機の貨物機バージョンである。ボーイング社は古い 747F型 及び MD-11F型貨物機の代替として輸送力の大きな輸送機を必要としており、そのために開発された。このモデルは2004年11月15日に正式に引き渡しが始まる。
フェデックスも、長い間マクダネル・ダグラスを納入してきた。DC-10・MD-11の代替にエアバスA380-800Fを発注したものの、納入スケジュールの遅れが慢性化したなどの理由でフェデックスがエアバス社に立腹し発注をキャンセルした。その代替で、同機の受注に白羽の矢が立ったと言うわけだ。 [1]
[編集] 仕様
777-200 | 777-200ER | 777-200LR | 777-200F | 777-300 | 777-300ER | |
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全長 | 63.7 m (209 ft 1 in) |
73.9 m (242 ft 4 in) |
||||
全幅 | 60.9 m (199 ft 1 in) |
64.8 m (212 ft 7 in) |
60.9 m (199 ft 1 in) |
64.8 m (212 ft 7 in) |
||
胴体横幅 | 外部 6.19m 内部 5.86m | |||||
乗客数 3Class | 約300 | 0 | 365-368 | |||
乗客数 2Class | 400 | 0 | 451 | |||
乗客数 1Class | 440 | 0 | 550 | |||
貨物 | 150 m³ (5,302 ft³) 6 パレット(244 cm x 318 cm) + 14 LD-3 + ばら荷 17 m³ (600 ft³) |
合計 653 m³ 上部デッキ 518 m³ 27パレット 下部デッキ 117.5m³ 10パレット + ばら荷 17m³ 最大ペイロード 103.9 t |
200 m³ (7,080 ft³) 8 パレット + 20 LD-3 + ばら荷 17 m³ |
|||
最大離陸重量 | 247,210 kg | 297,824 kg | 347,452 kg | 347,450 kg | 297,560 kg | 351,534 kg |
最大搭載燃料 | 117,335 L | 171,160 L | 202,287 L | 181,280 L | 171,160 L | 181,280 L |
航続距離 | 9,649 km (=ロンドン-ニューヨーク間) | 14,316 km (=東京-シドニー間) | 17,446 km (=ニューヨーク-シンガポール間,約19時間) | 9,195 km (=東京-サンフランシスコ間,パリ-香港間) | 11,029 km (=東京-シンガポール間) | 14,594 km (=ニューヨーク-香港間,シンガポール-ロンドン間,約15時間) |
エンジン | GE90-77B (77,000 lbf) | GE90-94B (93,700 lbf) | GE90-110B1 (110,100 lbf) | GE90-110B1L (110,000 lbf) | GE 90-94B (93,700 lbf) | GE90-115B (115,300 lbf = 512 kN) |
巡航速度 | マッハ0.84 |
[編集] いくつかのボーイング777型機の事実
- 伊丹空港は、騒音対策として2005年4月からボーイング747-400 / -400D以外のエンジン3基以上のジェット機について同空港への乗り入れを禁止し、さらに2006年4月1日からは全てのエンジン3基以上のジェット機の乗り入れを禁止した。このため、全日本空輸や日本航空は同空港と東京国際空港や新千歳空港などを結ぶ幹線にこれまで以上に就航させるものと見られる。
- 全日本空輸は現在「北米777化計画」の名の下太平洋路線の全路線に777を就航させている。また、日本航空もロンドン、パリ、フランクフルト、アムステルダムといったヨーロッパ線に就航させている。
- 777型は当初、767型と見分けがつかないといわれ、全日本空輸では777-200型機初期に受領した3機は就航当初、垂直尾翼に「ANA」の代わりに「777」と書き、これがカタカナの「フフフ」に見えることから航空ファンには「笑うジェット機」と呼ばれていたこともある。777-300型機は初期に受領した2機は就航当初「風」のイラストを描いて運航していた。
[編集] トラブル概略
- 2005年12月15日にエンジンの製造上の欠陥があったと報告されている。プラット・アンド・ホイットニー製エンジンの製造工程の欠陥で高圧タービンブレードの内部にメッキ液が残留してブレードが腐食し、エンジン運転中に破損して飛散するトラブルがあったことが判明し、全日空・日本航空ではボーイングやプラット・アンド・ホイットニーと協議の上、部品交換などの対策を進めている。参考リンク1、参考リンク2
[編集] 外部リンク
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レシプロ旅客機:40A | 80 | 221 | 247 | 307 | 314 | 377 |
ジェット旅客機:367-80 | 707/720 | 717 | 727 | 737 | 747 | 757 | 767 | 777 | 787 |
構想・開発中止:2707 | 7J7 | NLA | ソニック・クルーザー | Y1 | Y3 |