ホームシアター
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ホームシアター(米home theater、英home cinema)は、家庭 (home) に大画面テレビやマルチチャンネルスピーカーなどを設置し、まるで小型の映画館 (theater) であるかのように設備を組むことである。 なお、日本では富士通ゼネラルが昭和38年から「ホームシアター」を商標登録していたが、平成11年に無償開放した。
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[編集] 概説
かつては大画面を実現できる装置はプロジェクターや発売当初低輝度だったリアプロジェクションテレビなどで、高価で大掛かりな設備が必要だったため、庶民には手の届かない娯楽であった。そこに大画面のプラズマテレビが開発され、液晶テレビの大型化と価格低下にともない、徐々にホームシアターが一般に浸透してきた。
DVDの普及もそれに拍車をかけた。DVDにはVTRにはないデジタル記録による劣化の少ない映像、ドルビーデジタルによる、フロント左右、リア左右、センター、サブウーハーの5.1ch(ウーハーは低音のみの再生なので0.1ch)のサウンド再生。大画面・高画質の映像と臨場感のあふれるサウンドで、映画がより楽しめる環境を安価で構築することが可能になってきたのである。
ドルビーデジタルより高音質のDTSというフォーマットもある。この規格はライセンス料が安価であるが、ドルビーより後発の規格であるため、初期の機器には未対応機種も存在する。そのため現状ではDVDに両規格の音声が収録されることも多い。
なお、これらの設備には様々な映像・音響機器が組み込まれ、付属する複数のリモコン取り扱いだけで、利用者を辟易させる。そのため近年では学習リモコンと呼ばれる機器で、一元的に操作できるように工夫する消費者もいる。これは機器によっては空調、照明といったリモコン操作を受け付ける設備すべてをコントロールすることができる物もある。反面、多くの機器を操作できるようにするための設定に、結局プロの手を借りなくてはいけない場合がある。
[編集] ホームシアターを組む為の機器
- 機器からスクリーンに投射する非直視型。100インチ以上の大画面も家庭で楽しめる。(展示会には100インチを超えるプラズマディスプレイも登場している。)ただし投影式のために前を横切れず、設置場所の確保や部屋を遮光したりして暗くする必要がある。価格は10万円代の安価なものから、200万円を超す高価なものまで差が激しい。透過型液晶やLCOS(反射型液晶)、DLPプロジェクター、3管式など様々で、機器の投影方式が映像に大きく影響する。部屋をある程度暗くして楽しむので、映画館に近い感覚になる。日常生活をしながらの視聴には不向き。
- 40~60インチクラスの薄型・大画面ディスプレイの代表。2005年あたりから「1インチ1万円」と言われるようになる。42V型・50V型くらいがサイズ、価格ともにコストパフォーマンスが良い。50インチを超えたあたりから「1インチ1万円」とはいかず、価格が跳ね上がり、100万円を超える物も珍しくない。応答速度の速さ、視野角の広さが良く、日常生活の明かりの下での映画再生には最適なディスプレイである。欠点は液晶テレビより低寿命。
- かつては小型のディスプレイの代名詞であったが、近年50インチを超える大型も製品化されるようになった。とはいえ、住宅事情が変わったわけではないので、26V型、32V型が一番よく売れている。応答速度の点でプラズマディスプレイに一歩劣るが、使いやすく汎用性に富む。欠点と言われていた液晶ディスプレイの明るさは向上し、薄型モニターの中では最も売れている。
- プロジェクターをテレビの内部に組み込み、画面に映像を映し出す方式。発売当時大画面を謳っていたが、あまりにもの低輝度が不評を買い、日本では悪印象だけが残った。結果日本国内では市場が小さいが、米国や中国では普及している。プラズマテレビや液晶テレビに比べやや厚みはあるが、かなり安価である。日本ビクターやEPSONが開発したリアプロジェクションテレビは高輝度、高精細さを再現、第三の薄型テレビとして注目されている。
- 本来はDVD-Videoの再生のための機器だが、テレビ番組の記録ができるDVDレコーダーや、DVD-Audioが再生できる「ユニバーサルプレーヤー」などラインナップが豊富。プレイステーション2やXBOXといった家庭用ゲーム機でも代用は可能だが、その表現能力は同価格帯の専用機種には及ばない。低価格帯ではプログレッシブ再生ができるか、中価格帯ではHDMI出力を備えているかが特徴になる。現在は数千円の海外製プレーヤーも多く販売されている。
- 2006年頃から、さらに高解像度の映像を記録・再生が可能なブルーレイ(BD)やHD-DVD規格の機器や、映像ソフトが市場に出現しはじめている。
- ホームシアターのための必需品とも言える。映像・音声信号セレクターの役割も果たし、5.1chや6.1ch出力された音声信号を6本から10本の各スピーカーに分配、増幅して送る機器。センタースピーカー、フロントRスピーカー、フロントLスピーカー、リアRスピーカー、リアLスピーカーの5個のスピーカーと低音域再生専用スピーカー1個の計6本の組み合わせを5.1chという。6.1chはバックサラウンドが1本、7.1chではバックサラウンドが2本になる。9.1chではさらにサイドスピーカーが2本追加される。安価な物から高価なものまで幅広く、スピーカー同様各メーカーの個性が出やすい。THX規格のアンプは比較的高価。
- 5.1ch分で数万円程度で売っている安価なセット物もあれば、1台1台別売りの高級スピーカーまで幅広い。高級スピーカーは値段の上限がない。センタースピーカーは主に会話を再生するため、その特性を生かすように設計されている。また、サラウンドスピーカーはメインスピーカーより小さな物を使用してもよいと言われている(再生成分がメインに比べて少ないため。ただしスピーカーの特性も若干変化するため、経済的に余裕があるのならば同じスピーカーでもよい)。AVアンプ同様、THX規格に準ずる製品は比較的高価。
- ホームシアター・システム(ホームシアター・イン・ア・ボックス)
- 欧米を中心に、DVDプレーヤーとAVアンプが一体になった機械部分と、数本のスピーカーとサブウーハーのセットが人気を集めている。これを一般的に「ホームシアター・システム」と呼ぶ。アメリカではこれらが一つの箱に入って販売されているので、「ホームシアター・イン・ア・ボックス」とも呼ばれている。家庭で手軽にホームシアターを楽しめるセット。多数のスピーカーから出る音の遅延を補正することにより音場の補正をし、より臨場感を高める製品や、フロントのスピーカーだけでサラウンド効果を実現しようとする製品もある。