変奏曲
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変奏曲(へんそうきょく)とは、ある旋律(主題)と、その旋律の変奏から成る楽曲をいう。ほとんどの場合、変奏は複数持たれるため、例えば英語では variations と複数形で呼ばれる。
変奏(ヴァリエーション、variation)とは、ある旋律にさまざまな装飾を付けるなどして変化を付けることである。場合によっては、調や拍子を変えることも行われる。
変奏曲が独立した楽曲として作曲される場合、「○○変奏曲」と呼ばれる。また、「○○の主題による変奏曲」「○○による主題と変奏」というような正式名称を持つものが多い。また、大規模な作品の1楽章として変奏曲の形が取られることもある。
作品によっては、主題に「Thema」を、各変奏に「Var. I」、「Var. II」、「Var. III」のように番号を、付す場合がある。
変奏曲は、自作でない旋律を主題とすることも多く、その当時流行っていた通俗的な旋律を主題に持つものもある。
また、バロック時代の舞曲で、中間部などにdouble(ドゥーブル)と書かれたものがある。これも、変奏曲のひとつである。
目次 |
[編集] 著名な変奏曲
[編集] 独立した変奏曲
- コレッリ:「ラ・フォリア」(ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5の第12番)
- J・S・バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」〈クラヴィーア練習曲集 第四部「アリアと種々の変奏」〉
- モーツァルト:きらきら星変奏曲〈フランスの歌曲「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲〉
- ベートーヴェン:6つの変奏曲〈パイジェッロの歌劇「水車屋の娘」の二重唱「わが心もはやうつろになりて(うつろな心)」の主題による6つの変奏曲〉
- ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)
- ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲
- ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
- ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
- ブラームス:パガニーニの主題による練習曲
- フランク:交響的変奏曲
- チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲
- エルガー:エニグマ変奏曲
- レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲
- ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(「24の奇想曲」の第24番の主題による)
- アルノルト・シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲 作品31
- ブラッハー:パガニーニの主題による変奏曲
- マリピエロ:主題のない変奏曲
- ジェフスキー:不屈の民の主題による変奏曲
- ポランスキー:寂道(クロフォード変奏曲)
- ドナトーニ:フランソワーズ変奏曲
- 宮澤一人:主題のない変奏曲
[編集] 大規模な作品の1楽章としての変奏曲
- J・S・バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番BVW1004の第5楽章「シャコンヌ」
- ハイドン:弦楽四重奏曲ハ長調op.76-3「皇帝」の第2楽章
- モーツァルト:クラリネット五重奏曲の終楽章
- モーツァルト:ピアノソナタ第11番(トルコ行進曲付き)の第1楽章
- モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番の終楽章
- ベートーヴェン:交響曲第3番の終楽章
- ベートーヴェン:交響曲第5番の第2楽章
- ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」の第3楽章
- ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番「熱情」の第2楽章
- ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番の終楽章
- パガニーニ:24の奇想曲の第24番
- シューベルト:ピアノ五重奏曲「鱒」の第4楽章(自作歌曲「鱒」による)
- シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」の第2楽章
- ブラームス:交響曲第4番の終楽章(パッサカリア)
- ドヴォルザーク:交響曲第8番の終楽章
- チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」の第2楽章
- プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番の第2楽章
- バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番の第2楽章
- ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番の第1楽章
- レスピーギ:「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲の第3楽章「シチリアーナ」
[編集] 作品の一部に変奏曲を含む
- ブリテン:青少年のための管弦楽入門「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」(パーセルの劇付随音楽『アブデラザール』の「ロンド」の主題による)
- ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 レニングラード第1楽章展開部
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