軽自動車
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軽自動車(けいじどうしゃ)は、日本の自動車の分類の中で、最も小さい規格に当てはまる自動車。最近ではK-Car(けい・カー)とも呼ばれる。また、125cc超250cc以下の二輪車のこと。四輪のものを軽四輪、二輪のものを軽二輪ともいう。
海外でも多数例のあるキャビンスクーターなどは、バブルカーと呼ばれ、趣味の世界では別の分類とされている。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 軽四輪
軽四輪の規格は道路運送車両法の施行規則で定められ、現在の規格は、長さ3.40m以下、幅1.48m以下、高さ2.00m以下、排気量660cc以下である。この条件を一つでも超えると白ナンバー(4ナンバー、5ナンバー、8ナンバー)登録となる。
日本以外でも1000cc以下の小型・軽量自動車の例は散見されるが、多くは市街地での短距離・低速走行を目的とした車両であり、50km/h以上での巡航を目的としたものは、世界的に珍しい存在である。
当初は自動二輪車の延長線上的な、簡易車両として設定された。そのため運転免許証も普通車、小型車とは区別されていた。このような車両は世界的にはサイクルカー、キャビンスクーターと呼ばれ、日本と同じく第二次世界大戦における敗戦国のドイツやイタリア、植民地運営が行詰り不況となったイギリスやフランスなどにも見られた。
1958年に「スバル360」が登場し、軽自動車規格の枠内でも、充分に本格乗用車の製造が可能であることが証明された。また、ホンダ・T360が貨物車として、ホープ・ホープスターON360(後のスズキ・ジムニーの前身)がオフロード車として実現し、以降、多種多様な車種が発売される。
この結果、世界では「サイクルカー」が姿を消していく中、日本の「軽自動車」は本格的な巡航自動車として残ることになった。その後、三度にわたって大幅に規格拡大されて、現在に至る。
ナンバープレートは、自家用・貸渡用・駐留軍は黄地に黒字、事業用は黒地に黄字。ただし、このナンバープレートに切り替わる以前に製造された軽自動車は、新規にナンバープレートを発行する場合でも従前どおり白と緑の配色で250cc以下の軽自動二輪車と同じ小型のナンバープレートを使用している。理由は現行のナンバープレートが構造上取り付けられない為。登録車のような所有権の登録制度がないので、届出に際し印鑑証明は不要である。
[編集] 軽二輪
軽二輪とは、125cc超250cc以下の自動二輪車のことである。この排気量帯の二輪車については、普通自動二輪車を参照のこと。
[編集] 成立までの経過
軽自動車の発展は、まだ日本の自動車普及率が高くなかった1950年代のモータリゼーション推進と日本の道路事情に見合った車の開発をめざした「国民車」構想の延長にあると、従来言われてきた。しかし、実際には、この構想において成功した自動車メーカーは、皆無であった。富士重工業における「スバル360」の開発は「軽自動車の枠で、普通乗用車と同じ能力を」という前提で開発されており、最初から、国民車構想をさらに上回る企画であった。
また、平均的日本人に於ける成人男子の体格が世界的に見て小柄であった事も、同車種が日本国内の市場に受け入れられた遠因に挙げられているが、当時のスバルやホンダの軽自動車がほぼエンジンのみを拡大して450cc~600ccとし、そのまま北米などに輸出され、好評であったことから、欧米人の体格でも日本の軽自動車サイズで問題なかったのである。
過去三度における大幅な規格拡大も、排気ガス抑制の為の4サイクルエンジンへの移行促進(360cc→550cc)、高速道路網の拡張への対応やカーエアコンの普及による馬力荷重の悪化(550cc→660cc)、衝突安全性の確保(660cc旧→660cc新)等が主たる理由であり、よく言われるように、日本人の体格向上は必ずしも重要ではなかった。
スバル360と同時期に発売されたイギリスの「MINI」(初代・I~III)はエンジンこそ1000ccであったが、室内容積は日本の(本格的な)軽自動車より狭かった。
[編集] 軽自動車の魅力と用途
軽自動車の魅力は
などである。このためセカンドカー(一世帯で保有する二台目以降の車)用途や、女性或いは運転免許を取得して間もない若年者などに人気がある。
また公共交通機関の便が悪い地方では、個人の通勤・買物等での移動手段という文字通り「足」として、一世帯で複数台の自動車を所有することが一般的である。その際コストを抑えるため軽自動車を購入する例が多い。特に農家では、作業用に軽トラックを所有することがほとんどである。
都市部でも経費節減のため、企業等で連絡・移動用の業務車両として、普通乗用車ではなく軽自動車(特に軽トラ同様商用車扱いのため、乗用車よりも税金など維持費の安い軽ボンネットバン)を導入する例は多く見られる。
[編集] メリット
[編集] 税金・保険の優遇
- 自動車取得税
課税対象額の3% (乗用登録車は5%) - 自動車重量税
3年で13,200円、2年で8,800円 (同0.5t以下の場合、3年で18,900円、2年で12,600円) - 軽自動車税
乗用 年7,200円、貨物 年4,000円 (同 自動車税 1000cc以下の乗用車で29,500円、貨物車・貨客兼用車(ライトバン等、積載量1000kg以下)で13,200円) - 自動車賠償責任保険(強制保険)保険料
24ヵ月契約で24,880円(乗用登録車は30,680円)※2006年3月より値上げ - 自動車保険(任意保険)保険料
同条件であれば乗用登録車より安い場合が多い。- ただし、メリットであると言えるほど極端に保険料は安くない。軽自動車の任意保険料が安いというイメージは、かつてのボンバンブーム時代に一般化したものであるが、これは軽自動車であるという理由より、貨物車であるということの方が大きい(軽自動車に限らず、ほとんどすべてのクラスで、貨物車は乗用車のほぼ半額である)。
[編集] その他の優遇
- 購入時に印鑑証明・車庫証明(保管場所証明申請)が不要。ただし、軽自動車の保管場所届出義務等の適用地域(おおむね人口10万人以上の都市)においては保管場所届出の必要がある。
- 自動車保管場所証明
手続きが届出制で標章交付手数料のみ500円。(登録車は申請後発行となり申請手数料・標章交付手数料併せて2,600円(東京都の場合))
- 自動車保管場所証明
- 高速道路の通行料が割安(1989年に普通車の約2割引程度に改定された)
- 貨物車の車検は2年毎(登録車=白ナンバーの貨物車は1年毎)
[編集] デメリット
- 豪華装備により、車体価格がコンパクトカー(1000cc~1500ccクラス)と同等、またはより高価な車も現れている。
- エンジンパワーの弱さから、登坂時や積載重量が多い際などに加速力不足を感じる場合がある。
- 長距離走行や連続高速走行時での疲労が大きい場合がある。
- 居住性を高めるために車高を高くしているものでは揺れが大きいほか、横風に弱い。
- ボディの安全性能を強化させようとするとボディ自体の質量がより大きく嵩んでき易い。したがって最近の軽自動車は車体重量増加&実燃費低下の傾向にある。
- アクセルペダルがフロントタイヤハウスの干渉を避けるべく左に寄っていて、足元が窮屈な車種が多い。
- 最近の軽自動車はラジエーターの冷却性能を良くする為、ナンバープレート(ライセンスプレート)が右か左にオフセットされ、このデザインを嫌うユーザーも多い。
- 装着タイヤが細く、ホイールが小さい場合が多い。この場合、燃費や乗り心地は良くなる一方、高速走行時やカーブでの安定性に欠ける傾向がある。 ※ただし現在販売されている低燃費小型車では、軽貨物車よりも細いタイヤを履いているケースも珍しくない(トヨタ・パッソやダイハツ・ブーンの1000cc車など)。
- 非力なエンジン出力や安価な(貧乏臭い)イメージから、軽自動車を軽蔑する一部の者がおり、ユーザがこれを間に受けて劣等感を持ったり、恥ずかしがる場合がある。
[編集] 優遇見直し論と現状
小さな車体のため衝突安全性強化が重要な課題であり、度重なる規格改定が行われ、安全性は近年飛躍的に強化されてきた。このため登録車(特にリッターカークラス)との違いが小さくなってきており、優遇税制の見直し論議も高まっている。トヨタ自動車の奥田碩相談役(2006年現在)や、スポーツカー支持層が主な優遇税制廃止論者である。
しかし優遇税制廃止によって軽自動車税が引き上げられると、逆にユーザーが減り、特に軽自動車所有率の高い地方では市町村の税収が減収する可能性も高い。これは自動車税が都道府県税となるのに対して、軽自動車税は市町村税であることによる。この税収減により自民党の政治基盤にダメージを与える恐れもあるし、低排気量車の優遇をやめると京都議定書の目標達成が難しくなる可能性も考えられる。その為、自民党政権は協議会こそ成立したものの、それ以上の進展は今のところない。
また、トヨタ自動車は従来からの子会社である軽自動車第二位(2006年のシェアは第一位になる見通し)メーカーのダイハツ工業に加え、ゼネラルモーターズより富士重工業株を取得して筆頭株主となり、間接的にも軽自動車市場に関連しており、以降も優遇税制廃止論を唱えていくかどうかは微妙である。
2005年頃からのガソリン価格の高騰により、軽自動車以外の登録車の売れ行きの減少に対し、軽自動車の売れ行きが伸びているといわれ、一種の軽自動車ブームとなっている。
[編集] 沿革
[編集] 黎明期(200/300cc)
- 1949年7月 軽自動車の規格が制定される。
- 1950年7月 規格改定
- 長さ3.00m、幅1.30m(高さ2.00m)
- 1952年 軽自動車運転免許を新設。
[編集] 普及前夜(240/360cc)
- 1951年8月 規格改定
- 4サイクル車は360cc、2サイクル車は240cc
[編集] 大メーカーの本格参入(360cc)
- 1955年4月 規格改定
- 4サイクル車、2サイクル車とも360ccに統一
- 1955年 スズキ、スズライト発売
- 1957年8月 ダイハツ工業、ミゼット発売。
- 1958年3月 富士重工業、スバル360発売。
- 1960年 マツダ、R360クーペ発売
- 1962年 三菱自動車工業、ミニカ発売。
- 1967年3月 本田技研工業、N360発売。高出力競争の火付け役となる。
- 1968年9月 軽自動車運転免許を廃止し、限定免許(審査未済)として存続。
[編集] ボンネットバン黄金時代(550cc)
- 1976年1月 規格改定
- 長さ3.20m、幅1.40m(高さ2.00m) 550cc
- 1983年3月 三菱自動車、ミニカ・アミL/エコノにターボエンジンモデルを追加。
- 軽自動車初のターボ車の登場。
- メーカー間のパワー競争が激化。協定により64PS(47kW)が上限となる。しかし過給器付の軽自動車の大半は、排気系の抵抗を増大して形式登録を受けており、排気系を簡単に(合法の枠内で)改善するだけで、自主規制をオーバーし、80~90PSは出てしまうものがほとんどである。
- 税金が安かった貨物車型のメリットが小さくなり、市場は乗用車型(5ナンバー車)へと大きく変化。
[編集] 軽自動車の小型(普通)車化(660cc)
- 1990年1月 規格改定
- 長さ3.30m(幅1.40m、高さ2.00m) 660cc
- 市場は乗用車型からスペース型へと徐々に変化。
- 1998年10月 規格改定
- 長さ3.40m、幅1.48m(高さ2.00m)
- 1998年 マツダ キャロルをスズキOEMに切り替え、自主開発から撤退
- 2000年10月 高速道路での最高速度80km/h制限撤廃
- 小型車と同じく100km/hに。
- 2001年10月 ダイムラー・クライスラー日本、スマートK発売。
- 正規輸入車初の軽自動車。
[編集] 現在販売されている軽自動車車種
(※・・・OEM車種。それぞれ※印のあとの車名が原車種。)
[編集] 関連項目
[編集] リンク
- (社)全国軽自動車協会連合会
- 都道府県別の軽自動車保有台数(2000年3月末)
- 軽自動車検査協会
- 山梨県軽自動車協会
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